【感想・ネタバレ】見えるか保己一のレビュー

あらすじ

江戸時代、国内最大の叢書『群書類従』の編纂に生涯を懸けた、全盲の学者・塙保己一。盲人とは思えぬ前代未聞の偉業の傍らに常にあったのは、目明き――妻、学者仲間、門弟らとの、すれ違いだった。 “天才・塙保己一”の目に映っていたのは、絶望か希望か、それとも――。「あのお方は、我々には見えぬものまで見えているのさ」

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Posted by ブクログ

ネタバレ

時代小説と言われあまり読んだことの無いジャンルだなぁと思いつつ読んでみたけれど、読みやすかったです!
面白かったな〜
今まさに叫ばれている「差別と区別のちがい」「平等とは」を痛いほど思い知らされた。
序盤のお母さんとの関係では私も子どもがいるので、自分の子どもに「絶対によくなるから」「治るから」と言って必死になりそうと苦しくなる。見えなくても貴方は貴方よ、と安心させてあげられるか…と思うと、保己一のお母さんの気持ち良くわかるし、でも保己一のお母さんは立派だと尊敬する気持ちもめちゃくちゃあります。お父さんのことは保己一からはあまり語られない。でもお父さんも、保己一を凄く支えた一人だった。お父さんとの関係があるおかげで保己一も他の目の見えぬ人たちと違う道に行けたように思う。最後の方であの時の商人と会えたのは胸が熱くなった。
中盤で目の見えぬ人たちと仲間になるも浮いてしまう、同じ目の見えぬ人たちとはいえ一人ひとり違う人間、合う合わないはあるんだよと思う。ラベリングといったところか。保己一自身も他の人とは違う!目が見える人たちと同等だ!と苦しむわけだけれど、だからと言ってやはり同じ境遇で分かることもある。のちにまた出てきたときの有一のこととかも良くわかるな〜と思ってしまう。
見てる視点が違うだけでこうも違ってくるのだなと驚き。それが顕著になったのは、やはりお丁とのこと。絶対に仕えてる奴と不倫してるだろと思ったら案の定だったけれど、女の方からしたらそう感じることもあるのだなぁとその心の機微に一喜一憂してしまう。それから娘の方も成長がある。新しい奥さまの考え方も凄い偉いし、妾の気持ちも分かる。熊太郎を跡継ぎにさせなかったことも、家を出てからちゃんと幸せに暮らしているというんだから最初から次男と比べるようなやり方や伝え方じゃなく「お前はお前のやりたいことをやっていいんだよ」の精神で接していたからこそ捻くれずに育ったんじゃないかなぁと思ってしまう。保己一がやりたいことを好き勝手やってるんだから、それを見たら分かってしまうだけなのかもだけど(笑)
金十郎さんとはどうなったのかな〜、最後まで弟子として一緒にいるし元旦那という立場は変わってなかったけれど、よりを戻してても良かったのになぁ〜!違う人と結婚しちゃったのかな〜!と史実を調べたくなります。
そして終盤の、てるちゃんとの会話。
泣きました。てるちゃん。タイトル回収なんかもうアツい。
納得の面白さでした。
乱文失礼しました

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2026年07月18日

Posted by ブクログ

ネタバレ

直木賞受賞は逃しましたが、今回の直木賞ノミネート作品群の中でわたしの最推し、ほんとうにおもしろかった。言葉にある熱の温度を確かめながら読み進めてしまう、言葉に熱のある作品はそうない、本当に素晴らしい

盲だからこその感覚の表現が心地よい。文体も美しゅう。
しかし彼の人生に美しさはほとんどなく、第4章 版木・半疑(この言葉遊び的章題も美しいが)なんてずっと揺さぶられる。
目明きも盲も正しく見えるものなんてこの世に何一つありゃしねえ。どちらであっても何一つ見えちゃいねえのさ。

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2026年07月16日

Posted by ブクログ

ネタバレ

かなり面白かったです。二回読んで二度楽しめました。私のハイライトは、保己一が「たしかに美しいな」と静かに言ったところ。とせ子、金十郎、保己一はみんな同じものについて言っていない、三人はズレているはずなのに、うまいこと収斂して収まる。収めるためにそれぞれ変化していく過程があり、それが丁寧に書かれていて本当に面白かった。だからこそもう一度読み返しました。お丁と葉次郎と保己一のトリオもめちゃめちゃよかった。こちらも絶妙に三者すれ違うんだけど、かんざしが最高にかっこいい。最後まで「違うこと」を扱っているのだけど、こんなに巧みに美しく物語に落とし込む著者すごいです。

追記:
直木賞受賞ならずとのことで驚いております。巧み過ぎた?綺麗にまとまり過ぎたのでしょうか…。物語の世界はこんなにも豊かなんですね。読者にとっては幸せなことです。

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2026年07月18日

Posted by ブクログ

ネタバレ

最初の数ページで保己一のお母さんを思い涙が止まらず、その後も何度かぐすぐすしながら読み進め、最後の章は嗚咽しながら泣き崩れたい衝動にかられた。
一番刺さったのは「今更見えてたまるかよ!」の台詞。

保己一を始め全盲の人達は「目が見えたら色んなことがわかるだろう」と考え、晴眼者は「全盲の人は見えないからこそ私たちには見えない何かがわかるのだろう」と考える。
でも心は誰にも見えないんですよね、目が見えようが見えまいが。
勝手に期待して勝手に裏切られたような気になったりするのも人間あるあるだし。
そこが目の見える人と見えない人の話になることで、こんなにもこんがらがってしまうものなんだなあ、上手いなあ〜と思って読みました。
保己一が名を残したのは、血の滲むような努力と学問に対する熱意があったからなんでしょう。
全盲だったからでも、聖人だったからでもない。

架空の人物輝ちゃんがなかなかのスパイス(というには刺激が強いが)になっていて全体に深みを加えてくれていて、読み応えありました。

直木賞獲ってほしい。

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2026年07月04日

Posted by ブクログ

ネタバレ

塙保己一という偉人を寡聞にして知らなかったので江戸時代にこんな人が居たんだなぁ、ヘレン・ケラーも尊敬する人?この人が居なければいまの昔話はなかったかもしれない……なんて見たら読むしかない。
しかも発売日にオーディブルでも配信されていた。著者の蝉谷さんがどうしてもと希望されたと記事で読みました。なるほど確かに!保己一同様話を聞くことを体験することになるんだからとオーディブルで聞きました。
人の話を聞き想像して、実際にはただの言葉なのにそれが人に見え、風景に見え、感情にも見える。この小説はほんとうに強い。

物語は等身大というか、保己一の一生に関わった人達からの視点も描いていて、仕事に人間関係に四苦八苦している様子が可笑しい悲しい。

最後の保己一とてるあきのやり取りに感動した。
保己一はずっとあん摩は下手くそだと言っていたのに、学問をしたくてわざと下手にしていると勘違いされ、そうあって欲しいという願望の押し付けでしかなかった。
あまつさえ手前勝手な願望で感動していたり、自分の子供にさえ急に飛びついて来られるのに心底驚いていたり。

彼が後世に残した偉業を小説内ではほとんど書いてなくて、読み終わってから少し調べただけでめっちゃびっくりするくらいすごいことをしていたって分かる。

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2026年03月19日

Posted by ブクログ

ネタバレ

見えない保己一のその「見えなさ」にフォーカスして物語を作る、その真正面からの描きように感動した。

評価が高いのも頷ける。
独特の語り口も新鮮だった。

最後の輝明との対決は、評価を分けるところなのではないかな?
わかりやすさという点ではこの結末は良かったのかもしれない。一気に謎が解けて、尚且つ、見えないことへの答えも出される。
腑に落ちてスッキリはしたのだけど、最後で謎解きしてしまう小説にしたのは、勿体無い気もするんだよね。
そいう意味では、朝倉かすみの「けんぐぁい」の方が、好みでした。

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2026年07月16日

Posted by ブクログ

ネタバレ

発売当初から話題になって、山本周五郎賞も受賞して、ずっと読みたかった1冊。
塙保己一という実在の人物をもとに、見えるとは何か、見えないとは何かを生涯をかけて考えさせられる。

正しく見えるものなんてこの世に何一つとしてない、だから目明きも盲も一緒で、どちらであっても何一つ見えちゃいない⋯ラストの幼なじみ、輝明の台詞。

時々「見える」人物の視点で描かれるも、特に前半は基本的に保己一の視点。つまり、周りの景色や人物描写もわからないまま、読者は読み進めることになる。その代わり、音や匂いの描写は頻繁に出てきて、保己一の世界を少しだけ体感できる。

見えないから、素直に情報を信じたこともあった。保己一視点から晴眼者視点に移って、もう一度同じシーンを繰り返すと、保己一が好意的に捉えていたことでも、相手には強い悪意があったことも。やがて、保己一も気づく事もあるが、あえて見えていないのだから傷つけないようにと嘘をついているケースもあって、いたたまれない。

ラストを含め、時折見せる人間臭さが、保己一をより魅力的にみせる。盲だからって、聖人君子のようではないんだぞ、と。

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2026年07月15日

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ネタバレ

見えてほしいと願う親、盲なのに勘が悪いという兄弟子たち、見えないことへの考えの違いに胸が締め付けられた。
幼い頃を一緒に過ごして、家族や兄弟子ほど近くにいない幼なじみが、一番見えないことにこだわってないと思った。

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2026年07月15日

Posted by ブクログ

ネタバレ

類稀な記憶力で、全盲でありながら国内有数の国学者となった塙保己一
見えていないはずなのに、何もかも見えているようだと賞賛、尊敬を集める
その輝かしい経歴の裏には、周囲の人たちとのすれ違いがあった
妻と一番弟子は駆け落ちし、学者仲間からも疎まれ、弟子を信頼することができなかった
最後は圧巻だった
塙保己一は、幼馴染に自分の本心を曝け出す
盲は見えないのだ、心眼なんかあるわけないのだと
それが真理なんだろう

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2026年07月14日

Posted by ブクログ

ネタバレ

若くして盲目になった主人だが、秀でた記憶力を活かし江戸で学問を志す。
目明き、めしい双方で、見える/見えないことでどういったことが起きたかなどの人間模様が書かれる。
目が見えないことでどのようなことを感じ取れるようになるのかの描写が全般的に好み。
目が見えていようがいまいが、人間関係に至ってはそんなに見えない(変わらん)という話で締められている。

本書で興味が出て塙保己一という人物の実績を検索してみたが、これは怪物だった。
現代ならともかく、当時だったらどうやってそこまでの地位に上り詰められたのか想像もつかない。

当時だったらたぶんめくらと呼ばれていたと思うだが、残念ながら現代基準ではNGなので多分使われていなかったはず?
それなら目明きもまずい気もしないでもないが、そんな話をしてしまうとせっかくの物語が進まないななどと思った。

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2026年07月10日

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