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江戸時代、国内最大の叢書『群書類従』の編纂に生涯を懸けた、全盲の学者・塙保己一。盲人とは思えぬ前代未聞の偉業の傍らに常にあったのは、目明き――妻、学者仲間、門弟らとの、すれ違いだった。 “天才・塙保己一”の目に映っていたのは、絶望か希望か、それとも――。「あのお方は、我々には見えぬものまで見えているのさ」
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Posted by ブクログ
もうこれ優勝。 最高に素晴らしい作品です。 さすが、山本周五郎賞。直木賞も確実と思っていたけど、、、 埼玉県の偉人である塙保己一のお話。 偉人の話と言っても伝記のようなものでは全くなく、彼の人となり、心の内を感じられる作品。 盲の彼には何が見えていたのか、本当に見えていなかったのか。 晴眼者には...続きを読む彼がどのように見えたのか。 晴眼者は彼の見えないものが見えているのか。 SNSなどの言葉や映像・画像で容易に見えた気持ち、わかった感覚に陥ってしまっている現代社会だからこそ、この作品の美しさが輝くと感じている。 ぜひ多くの方に読んで欲しい大好きな作品。
偉人の苦労話&サクセスストーリーにとどまらず、周囲の人間から見た美談ではない話を軸にして描いているのがすごい。 最初に「見えるか」が文中に登場したときは、いろんな意味で鳥肌が立った。
タイトルと表紙の雰囲気から、勝手に妖怪の話だと思い込んでいたが、江戸時代実在した人物の話だった。 幼少期の病が元で盲目となった保己一。明晰な頭脳を認められ、やがて学者となっていく。 タイトル「見えるか」の問いが、物語の終盤にキーワードとなっていく。こういう展開もあったかと唸らされた小説だった。
伝記だったのか…すごい小説を読んだと思ってたら最後の参考文献で気付かされた。見える者と見えない者、見たいものと見たくないもの、相容れないから成り立つ事とそうでない事。両方書いてあって辛いけど、幸せを書いたんだろうなと思った。
⭐️5+ 江戸時代の偉人 塙保己一の生涯 幼くして失明し、武蔵の国から江戸に出て、学問で身を立てた保己一 盲の世界で既存の階段を登りつつ、誰も歩んだことのない道を開く 江戸時代の世相や風俗が沢山描かれていて興味深かった 人は何を見て何が見えないのか 示唆に富む作品でした
もともとはダヴィンチ・プラチナ本から。その後、書評での賛辞も複数見たし、否が応でも期待が高まっていたもの。奇しくも直木賞発表のタイミングで読むことになり、『これはもう、本作が取っちゃうでしょ』と確信的に思ったけど、なんと、受賞ならずでした…。さておき、それで本作の素晴らしさが減じる訳もなく、前に読ん...続きを読むだ著者の作品より格段にリーダビリティも高く、これからのご活躍にも期待が持てようというもの。見えない保己一と周りの温度差も、視点人物の変更で適宜描かれていくんだけど、その濃淡の書き分けがまた秀逸で、同情一辺倒に陥りがちなところを、そうしていないのもお見事。凄い作品だな。
著者の作品を読むのは『化け物心中』『おんなの女房』に続いて3作目だが、本作はこれら過去作を大きく上回る、掛け値なしの傑作だ。 江戸時代に実在した全盲の国学者・塙保己一を主人公に据えた作品で、目が見えないことで視覚以外の感覚が研ぎ澄まされて天才への階段を登っていった、といった分かりやすいサクセススト...続きを読むーリーを前面に押し出さなかった点にまず好感を持った。そのうえで「見えない」ことによって引き起こされる周囲の人間との軋轢・勘違い・ズレがとても面白く、不謹慎ながら第三章以降では何度も笑ってしまった。 主人公を聖人化せず、俗人的な部分にフォーカスを当てたうえで、普通の人間としての主人公の魅力を存分に味わうことができた点も素晴らしいし、ミステリの仕掛けのように各章の核となる出来事を表裏それぞれの視点で描いているあたりも、物語に深みと奥行きをもたらしていて良かったと思う。 文章について、過去作は読みごたえはあったものの、読み解くために必要な想像力が自分のキャパ以上に要求されている感じがしていて、実は少し苦手意識を持っていたのだけど、本作に関してはどういうわけか非常に読みやすくなっていて驚いた。 単なる作品との相性なのか、慣れただけなのかもしれないけど、失礼ながら『化け物心中』を最初読んだ時は、ニッチな読者は付くかもだけどメジャー級になるのは難しいかな、と考えていたので、短期間でまさかここまでリーダビリティの高い作品を書くようになるとは思わなかった。蝉谷さん、過小評価しちゃってごめんなさい。これからも付いていくので許して!
盲目でありながら苦労して、学問で身を立てた人の成功譚…という単純なものではなく。 見えないけれど察せる心眼があるばかりに必要以上に崇められたり、でも結局は見えないから機微が感じられなくて自分の価値観だけで人を苦しめたり。 特別扱いはされたくないけど、認めてほしい。 いろんな葛藤が渦巻いていて、結局は...続きを読む見えようが見えまいが、人を察するのは不可能に近いという。 良かれと思うことが、他方にとっては騙されたと感じたり、迷惑だったり。いつの世もそうですよね。 聖人からたまーに漏れ出る本音が、よかった! そして、「見えない」を使ってたまに純真無垢な感じになるところが、若干あざとくて面白い。 初読の作家さんだったのですが、読ませますね⭐︎ 面白かったです! この本も、少し寝かせて再度したい深い本でした。
こういう時に書ける言葉を持っていない。 \わぁぁぁぁぁー!!/感震 と、Clickしたら音声でそのまま、 聴こえるならば少しは伝わるだろうか? ◇◇◇◇◇◇ 【タイトル】見えるか保己一 【 著者 】蝉谷めぐ実 【 出版社 】角川書店 ◇◇◇◇◇◇ 読み終わって、精神消耗が激しかった。...続きを読む どっと、疲れたというか、走りきった後のもう無理。って倒れ込む感覚と爽快感。 言葉を選ばず言うなら、 『すげぇーーーっ!!』 と、鳥肌たち、心臓というか胸のあたりというかが痺れる感じで満たされる。 ◇◇◇◇◇◇ 一人の人の人生を 同じ強度で歩んできた。 痛みも、 当人から見えぬ裏の歪みも、 一緒くたにくらって。 それでも、 その生き様が静かに熱くて、 目の前が真っ赤に染まった。 ◇◇◇◇◇◇ 記したい言葉、 話したい部分はあるけれど、 まだ読んでない方も多いだろうから、 今は口を秘しておこうと思う。 ◇◇◇◇◇◇ これは、保己一の人生だから。 最初から最後まで読み通して、 同じように生きて、 感じてほしい。 それだけ重たくて厚い必読すべき『人間』の物語です。 -------------------------------------------------------------------------------------- 辰之助の目が悪いのなんて、や次郎の背が低いのと茂吉の手先がぶきっちょうなのと、なんも変わりゃあしねえのさ 蚕の糞ほど小さくて、悪意ともいえぬほどの何か 目が見えぬのは足が遅いのと同じこと 私はあなたのそばに少しでも近づきたくなってしまった この世には言葉に一つも必要としない繋がりというものがあるのでございます この世にあるものはすべて目に見えぬものこそ、言葉にできぬものこそ素晴らしいのございます 風が吹き続けてその先にある、己が繋いだ未来が、見えるか保己一 正しく見えるものなんてこの世に何一つありゃしねえんだよ! 目明きも盲も一緒さ。どちらであっても何一つ見えちゃいねぇのさ だけどときには好きに見させてやってくれ。それで救われる者だっている。
保己一を、ただ聖人として書いていないのが良かったです。 綺麗な上澄みの部分だけでなく、濁った澱まで欠かさず描ききった作者の技量に感服しました
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