【感想・ネタバレ】見えるか保己一のレビュー

あらすじ

江戸時代、国内最大の叢書『群書類従』の編纂に生涯を懸けた、全盲の学者・塙保己一。盲人とは思えぬ前代未聞の偉業の傍らに常にあったのは、目明き――妻、学者仲間、門弟らとの、すれ違いだった。 “天才・塙保己一”の目に映っていたのは、絶望か希望か、それとも――。「あのお方は、我々には見えぬものまで見えているのさ」

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Posted by ブクログ

ネタバレ

塙保己一も「群書類従」もこの本を読んで初めて知りました。盲目で本発行するってどういうことと興味津々で購入。
文章も読みやすく、自分が知ってる歴史上の人物が出てきたりして楽しく読めました。特に根岸鎮衛が実はあの人で…というのがあって、根岸様好きなので嬉しかったです。
最初の方は、保己一視点で話が進むので、周りの人達の無意識に発した言葉や、良かれと思ってついた嘘にこちらも一緒に振り回されました。
最初の奥さんになった人がお弟子さんと浮気してるのですが、保己一視点だと奥さんの言葉を鵜呑みにして浮気に気づかなかったり、お弟子さんに嘘をつかれて疑心暗鬼になってしまったり…。あと輝ちゃん…。何してんだこの人と思いました。
最後に保己一が盲なんだから見えるわけないだろって切れるところ好きでした。なんか、すみませんでしたって気持ちになりました。
なお、保己一の生涯に焦点が当たっているため、「群書類従」については詳しく触れられてませんでした。
あとで「群書類従」について検索してみましたが、どういう本なのか分かったような、分からないような。

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2026年05月19日

Posted by ブクログ

ネタバレ

面白かった。目が見えないと騙され続けて猜疑心の塊になるのわかる。塙保己一、天才がゆえに周囲の人が自分と比べてしまい悩むのもわかる。
全然本筋と関係ないけど、今の今まで塙保 己一だと思っていた。保己一さんだったんですね。途中でああ、あの塙保己一!と気づいて驚いた。

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2026年05月10日

Posted by ブクログ

★5 江戸時代に盲人ながら群書類従を編纂した国学者の評伝、晴眼者との関係を描く #見えるか保己一

■あらすじ
全盲の国学者である塙保己一の物語。両親や友人に愛されながらも、幼年期に失明した彼の人生を描く。どんな本でも一度聞けば覚えてしまう記憶力で、国学史をまとめた『群書類従』を編纂していく。保己一は普段から近くにいる妻、友人、弟子たちとどんな関係だったのだろうか、そしてそれぞれの胸中は…

■きっと読みたくなるレビュー
★5 洗練された文章、物語に引き込んでくるプロット、心に訴えかけてくる人物描写、もうかなり凄い。びびった

蝉谷めぐ実先生のご活躍ぶりは色々拝見してまして、『万両役者の扇』で山田風太郎賞を受賞されてます。さらに本作も山本周五郎賞候補にもなってるようですし、そう遠くない未来に直木賞を受賞しても全然おかしくない。また本作は映像化されても本質的な面白さを伝えるのは難しいんじゃないかなーと思ってまして、できれば文字を目で追って楽しむのをおすすめしたい作品です。

本作は塙保己一を描いた伝記小説。江戸時代に盲目ながらも全600冊以上の国学史『群書類従』として編纂。後に国学の研究教育機関である和学講談所をした設立した人物。なんとなく名前は聞いたことがありましたが、何をどうした人物かは存じ上げず。はー、読書ってのは勉強になりますよね。

とんでもなく優秀な人物なのは想像に難くないんだけど、以下の有名な川柳が全てを物語る。健常者の弟子たちが、全盲の保己一に学んでいる様子を皮肉った川柳です。

「番町で 目明き盲に 道をきき」

本作はそんな保己一の幼年期から総検校(盲人の最高役職)まで出世するまでを描いていく。若い頃は学問を志すも受け入れられない、あん摩師になるよう強いられるも不器用といわれ落ちこぼれ。しかしその後一時的に学問を許され、保己一の類稀なる能力を発揮、出世の道が開かれていく… という筋立てです。

この物語は彼の努力っぷりが滔々と語られる――というわけではなく、メインは盲人である保己一と晴眼者である彼の周囲にいるひとたちとの関係性を描いていくのです。

保己一は目が見える妻、友人、弟子たちのことを、どう思い、どのように扱っているのか。一方、健常者たちは保己一を尊敬しながらも、嘘をついたり、都合の良く扱ったりもする。だからこそ保己一は、どのような行動をとることになるのか… 不安で切ない心の深い部分まで描写していくのです。

このあたりは章のタイトルの読み方が2種類あるんです。
第1章:むしの子(虫/霧視) 第2章:えんていの水(淵底/園庭) など
これも、見えている側、見えていない側の両面から表現されてるってことだと思いました。

読み味が深く高品質な伝記、評伝小説ですね、お時間をとってゆっくりと味わってほしい作品でした。

■ぜっさん推しポイント
最終章である第6章:眩くて眩む(まばゆくてくらむ)が印象的でしたね~。これまで学問にまっすぐ生きてきて、周囲にも優しく力強く関係性を築いてきた保己一が、幼馴染と出会う。これまでの語られてきたエピソードを想うと、そこで交わされる会話に心が揺さぶられるんすよ。

現代で天才といわれる人物というと、たとえば将棋の藤井聡太さんでしょうか。常人には理解できないレベルで生きているひとたちも、ただその時その時を必至に生きているだけのような気がしますね。

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2026年05月07日

Posted by ブクログ

すごい小説と出会ってしまった。
読み終えても、すぐには言葉にならないくらい。でもとりあえずメモしておこう。
まず驚かされるのが、盲目の人そのものの描写、文章の表現だ。この文体、表現力。目が見える自分には理解できないような感覚を覚える。入りから衝撃的。

盲人にとって、「見える」とは、「見えざる」とは、どういうことなのか、常人に見えているはずのものが、見えていないのはもちんのこと、他の人に見えないものが「見えて」いたりするのも盲人なのだ。
そして、「真実」か「嘘」なのか、どう見えるのか。そしてそれが、人によって様々に捉えられ、人生をも変えていく。

塙保己一の生き方や業績を辿るという筋立ての小説ではないが、それを知ることも有意義だと思うし、知れば驚きの偉業を目の当たりにする。
だがこの小説では、次々と現れる、または過去に登場した人物たちに見えているもの、見えなかったものに注目していなければならない。
それぞれの人物たちは、善人も悪人も、その生き様が、テーマに沿って計算され、描かれている。そして、意外な方向へと人生を進めていく。
あちこちに細やかな伏線が張り巡らされており、一概に物語のあらすじさえ語れない。ところどころに表れる言葉も考えなければ前に進めない。舞台から消えるもののいれば、最後まで居続けて仰天させる者もいる。
読み手の自分にも、通り一遍のものの見方など通用しないと、次々に覆してくる。それが心地よく、また衝撃的だった。

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2026年04月24日

Posted by ブクログ

大作を読み終えた充実感が心地よく拡がる作品だった。
偉人、塙保己一の生涯の一端を、こうして小説で知ることになろうとは。
裏切りに遭いながら、そして盲目なこともあり不信のどん底に突き落とされながらも、学を一心に求め、そして極めた生き様に頭が下がる。
天才には天才の苦悩があるのだろうが、その周囲の人間もまた大いに苦労があるのだろう。

それにしてもあのような結末は想定していなかったので、得した気持ちになってしまった。

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2026年03月28日

Posted by ブクログ

力作。
山本周五郎賞、受賞すると思う。
最近感じてることとゴールが一致してた。30歳も違うのに、著者はすごい。
最初の20頁で惹き込まれてしまい、延滞してちゃいけないから、買おうと思ったのに、買いに行く時間も惜しくて読み切った。

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2026年04月27日

Posted by ブクログ

ネタバレ

塙保己一という偉人を寡聞にして知らなかったので江戸時代にこんな人が居たんだなぁ、ヘレン・ケラーも尊敬する人?この人が居なければいまの昔話はなかったかもしれない……なんて見たら読むしかない。
しかも発売日にオーディブルでも配信されていた。著者の蝉谷さんの希望らしい。保己一同様話を聞いていくことを体験することになるんだからとオーディブルで聞いた。

物語は等身大というか、保己一の一生に関わった人達からの視点も描いていて、仕事に人間関係に四苦八苦している様子が可笑しい悲しい。
最後の保己一とてるあきのやり取りに感動した。保己一はずっと自分であん摩は下手くそだと言っていたのに、それは学問をしたくてわざと下手にしていると勘違いし、そうあって欲しいという願望の押し付けだったことがわかるし、あまつさえ手前勝手な願望で感動していたり、自分の子供にさえ急に飛びついて来られるのに心底驚いていたり。

彼が後世に残した偉業を小説内ではほとんど書いてなくて、読み終わってから少し調べただけでめっちゃびっくりするくらいすごいことをしていたって分かる。

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2026年03月19日

Posted by ブクログ

史実を時系列でなぞる事よりも、普遍的な人間の在りように主眼が置かれているので、佇まいは歴史小説というよりも時代小説の方が近く、塙保己一でなくとも物語が成立し得るのではないかという部分は多少気になりましたが、見えるもの見えないもの、視たいもの視たくないもの、人が目や意識を通して他者との間に作り上げるそれら歪な像の存在を全盲者と晴眼者の隔てなく描いているという点に於いて、本当に誠実な小説だと思いました。

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2026年04月17日

Posted by ブクログ

穏やかな話なので綺麗に終わるかと思いきや!最後の最後でそんな伏線の回収ありっ?!ととても驚かされた
やっぱり目の見えない人には共感しづらく、途中で閉じようかとも思ったけど、結果的に我慢して最後まで読んだ甲斐があった
江戸時代の社会福祉に対する理解の深さにも驚いた!日本人って本当に素晴らしいし、今の私達も身につまされる
あのヘレン・ケラーが保己一を尊敬していたらしいけどどこでどうやってその偉業が耳に届いたのか気になる
実在の人物のはずなのに、ちょっと調べたらすごい人だってわかるのに、今まで知らなかったのがちょっとショックです
この本をきっかけにもっと注目されてほしい

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2026年03月26日

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