【感想・ネタバレ】見えるか保己一のレビュー

あらすじ

江戸時代、国内最大の叢書『群書類従』の編纂に生涯を懸けた、全盲の学者・塙保己一。盲人とは思えぬ前代未聞の偉業の傍らに常にあったのは、目明き――妻、学者仲間、門弟らとの、すれ違いだった。 “天才・塙保己一”の目に映っていたのは、絶望か希望か、それとも――。「あのお方は、我々には見えぬものまで見えているのさ」

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群書類従の塙保己一の一代記。ちょうど検校について大河ドラマ「べらぼう」で学んだところだったので、わかりやすかった。そして面白かった!!さすが第39回山本周五郎賞!
最後、目あきでもわかる血の匂いがわからなかったのは、作者の意地悪か、保己一が目あき以上に鼻が効かなくなっていたのか。あと一回出た臓腑は筋弛緩剤使わないと腹腔内には戻らないです。とは言っておきたい。

辰之助は飛蚊症のような状態からだんだん見えないところが増えて行った。母は嘆き悲しみ、隣村の医師のところに処方してもらいに通うが、一向に良くならずに悪くなっていく。

目が見えなくなってから8年。辰之助は15歳になっていた。その間に母のきよはなくなった。江戸に行き、太平記を語る職につきたいと希望している。父親は一緒にいると見えているのか?と聞きたくなる時がある。

辰之助は千弥と名を替えている。あんまを生業としている。雨富検校の一座に入り、貸した金の取り立てなどもしている。あんまも鍼も三味も上手くないので、金の取り立てを任される。

学問をしたいと検校に訴えたら、按摩おわりに客が本を読み聞かせてくれるようになった。先輩たちには反感を持たれている。一度身を投げたが助かった。名前を保木野一と替える

あれからまた経って、塙保己一と名を改めている。大田南畝と懇意にしている。目あきの女房お丁を貰ったが、三ヶ月前から手を繋いでもらえない。簪をプレゼントしたがこんなものは要らないと言われてしまう。お丁さんは保己一の弟子の葉次郎と密通していたが、それは保己一に相手にされていないと思ったからだった。

お丁はおとせを産んで出て行った。おたせを後添えにもらう。群書類従を編纂している。家と蔵が燃えた。版木がだいぶ燃えた。おとせは金十郎と結婚するが離縁。寅は死に、妾が熊太郎と次郎を産む。

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2026年06月28日

購入済み

保己一の盲人としての苦しみや学者としての矜持、保己一の家族や門弟らの崇拝や劣等感等、複雑な感情が描かれます。他人を信じられなくなり血の繋がった家族だけを信じる保己一の姿が痛々しく感じられました。目が見えていても見えていなくても他者を理解するのは難しく、結局見たいものを見たいようにしか見ないのかなと思いました。

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2026年06月27日

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盲目の国文学者、塙保己一を題に取った時代小説。

久しぶりに、星5をつけたくなるにも関わらず、「面白かった」という感想を述べづらい、それでは言葉が軽すぎる…そんな印象の本だった。

目明きと盲。
保己一は、ずっと目明きの人と同列に扱われたくて、見てもらいたくて、ただその一心で生き抜いた。
そして自分が好きな学問に専心すればする程に周囲は感心してくれる。
これで己の道を立てていくしかない。

この話には、見える者/見えない者の対比とともに、嘘/まこと、善意/悪意、理想/現実……数々の対比が登場し、時にそれが人の心を傷つけ、時にそれが人の心を明るく照らしていく。

保己一は、学問に、文字として記録される世界に、真実を求めた。それこそが目明きの人たちと通ずる手段だと信じた。
彼が成した業績は間違いなく偉業であり、後世に語り継がれている。
しかし、奇しくも本作の中では、文字や言葉では"真実を言い表せない"と思い知らされることが、あまりにもたくさん描かれる。

目が見えるから事物を正しく見ることができるのか、目が見えないと事物を正しく見ることはできないのか。
嘘だからそれは悪なのか、まことだからそれは善なのか。
そもそも何がまことなのか。
自分が見ている相手の姿は真の姿なのか。見たいと思った姿をただ投影しているだけではないか。
目が見えていても、いなくても、他人のことを正しく見ることなど出来るのだろうか。
そして、仮に出来なかったとして、それは悪なのか。

最後はとんでもないすれ違いで物語を閉じる。
…しかし、希望を持って。

えもいわれぬ重さをみぞおちにずしりと残す作品だった。

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2026年06月24日

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ネタバレ

江戸時代の実在の学者の生涯。幼い時分に視力をなくしたけれど、持ち前の向学心、向上心で江戸の町に出たけれど、あん摩では満足できなかった。栄花物語の暗記とか、視力以外の感性を働かせての普段の生活での冴えわたる生き様、驚いてしまいます。周りの人たちとの関わり合いも特筆すべき点でそれも、裏もその裏もあったり。最後の最終章まで楽しめた。章ごとのかな文字に当て字も秀逸で気がついた時には得した気分。
「正しく見えるものなんてこの世にありゃあしないんだよ」幼なじみのてるちゃんの言葉。染みました。

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2026年06月11日

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ネタバレ

全盲の天才学者が感じたのは、絶望か希望か。

塙保己一って何者か?
多くの人に彼の生き様を知ってほしい!

歴史小説って、難しいのでは…?
と思う人も多いかもしれません。

安心してください!
本作は、ただの歴史小説というよりも、彼の周りの人を描いた人間ドラマに近い。 
かなり読みやすい作品です◎

私も、一気読みしてしまったほど。

【「太平記」の一説】
「人の五体の内には、眼にすぎたる物ばかりなし。眼を失はば、万の人に劣れる事、乞児に等し。さればこそ、けん人せい人も、眼を第一に重んじて、万の巻物、経論の文を読み、万里の外をも望み見る事、眼の力に依るなり」
とあるように、1番失って怖い五体は「眼」だと思う。

何も見えない中で、「何を信じて、どう生きるのか…?」
このことを問いかけられてるような作品でした!

今は、オーディオブックがあり、眼が見えなくても、音だけで本を読める時代だが。
でも、彼の生きていた時代は、人の読み聞かせのみで6万冊もの書物を暗記していた彼の記憶力は恐ろしい…

そんな彼の頑張りを見ると、自分ももっと頑張っていこうと勇気をもらえる1冊。

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2026年06月06日

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 塙保己一。江戸時代の全盲の天才国学者の彼は、数多の古典を分類し、合冊した叢書『群書類従』を刊行したことで知られています……とこれは日本史の教科書(とか用語集)にはこんな感じで書かれていて、正直、私もお名前を知っているだけでした。本書はそんな全盲の学者の半生を綴った作品になっています。
 幼い頃に失明を経験し、それでも学問の道を志し、周囲から評価されていき、『群書類従』の刊行にいたるまでの成功のプロセスを描いた作品……と表現しても決して間違いではないのですが、たぶん〈そういう話〉をイメージして読みはじめたひとほど、作中から受ける印象は異なってくるのではないか、と思います。評価されればされるほど深まっていく周囲との溝、疑心暗鬼、嫉妬劣等感、折り合いの付かなくなる己の感情。安易に流されてしまいそうに感覚に鋭利な刃を突きつけてくるような作品でした。特に後半、保己一の感情が噴き出す場面は強烈に胸に迫ってきました。
 傑作です。

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2026年05月27日

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今の時代には使わないような言葉づかいに、(その時代を生きてはいませんが)保己一が生きた江戸時代の空気感がイキイキと伝わってきた。
目が見えないゆえに、周りから支えられたり、目が見えないゆえに、裏切られたり…。それでも壮大なことを成し遂げた保己一の人生は本当に見事。
目が見えない人の世界は、わたしが漠然と想像してるのとは全く違う世界なのだとも思った。

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2026年05月26日

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ネタバレ

塙保己一も「群書類従」もこの本を読んで初めて知りました。盲目で本発行するってどういうことと興味津々で購入。
文章も読みやすく、自分が知ってる歴史上の人物が出てきたりして楽しく読めました。特に根岸鎮衛が実はあの人で…というのがあって、根岸様好きなので嬉しかったです。
最初の方は、保己一視点で話が進むので、周りの人達の無意識に発した言葉や、良かれと思ってついた嘘にこちらも一緒に振り回されました。
最初の奥さんになった人がお弟子さんと浮気してるのですが、保己一視点だと奥さんの言葉を鵜呑みにして浮気に気づかなかったり、お弟子さんに嘘をつかれて疑心暗鬼になってしまったり…。あと輝ちゃん…。何してんだこの人と思いました。
最後に保己一が盲なんだから見えるわけないだろって切れるところ好きでした。なんか、すみませんでしたって気持ちになりました。
なお、保己一の生涯に焦点が当たっているため、「群書類従」については詳しく触れられてませんでした。
あとで「群書類従」について検索してみましたが、どういう本なのか分かったような、分からないような。

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2026年05月19日

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ネタバレ

面白かった。目が見えないと騙され続けて猜疑心の塊になるのわかる。塙保己一、天才がゆえに周囲の人が自分と比べてしまい悩むのもわかる。
全然本筋と関係ないけど、今の今まで塙保 己一だと思っていた。保己一さんだったんですね。途中でああ、あの塙保己一!と気づいて驚いた。

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2026年05月10日

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★5 江戸時代に盲人ながら群書類従を編纂した国学者の評伝、晴眼者との関係を描く #見えるか保己一

■あらすじ
全盲の国学者である塙保己一の物語。両親や友人に愛されながらも、幼年期に失明した彼の人生を描く。どんな本でも一度聞けば覚えてしまう記憶力で、国学史をまとめた『群書類従』を編纂していく。保己一は普段から近くにいる妻、友人、弟子たちとどんな関係だったのだろうか、そしてそれぞれの胸中は…

■きっと読みたくなるレビュー
★5 洗練された文章、物語に引き込んでくるプロット、心に訴えかけてくる人物描写、もうかなり凄い。びびった

蝉谷めぐ実先生のご活躍ぶりは色々拝見してまして、『万両役者の扇』で山田風太郎賞を受賞されてます。さらに本作も山本周五郎賞候補にもなってるようですし、そう遠くない未来に直木賞を受賞しても全然おかしくない。また本作は映像化されても本質的な面白さを伝えるのは難しいんじゃないかなーと思ってまして、できれば文字を目で追って楽しむのをおすすめしたい作品です。

本作は塙保己一を描いた伝記小説。江戸時代に盲目ながらも全600冊以上の国学史『群書類従』として編纂。後に国学の研究教育機関である和学講談所をした設立した人物。なんとなく名前は聞いたことがありましたが、何をどうした人物かは存じ上げず。はー、読書ってのは勉強になりますよね。

とんでもなく優秀な人物なのは想像に難くないんだけど、以下の有名な川柳が全てを物語る。健常者の弟子たちが、全盲の保己一に学んでいる様子を皮肉った川柳です。

「番町で 目明き盲に 道をきき」

本作はそんな保己一の幼年期から総検校(盲人の最高役職)まで出世するまでを描いていく。若い頃は学問を志すも受け入れられない、あん摩師になるよう強いられるも不器用といわれ落ちこぼれ。しかしその後一時的に学問を許され、保己一の類稀なる能力を発揮、出世の道が開かれていく… という筋立てです。

この物語は彼の努力っぷりが滔々と語られる――というわけではなく、メインは盲人である保己一と晴眼者である彼の周囲にいるひとたちとの関係性を描いていくのです。

保己一は目が見える妻、友人、弟子たちのことを、どう思い、どのように扱っているのか。一方、健常者たちは保己一を尊敬しながらも、嘘をついたり、都合の良く扱ったりもする。だからこそ保己一は、どのような行動をとることになるのか… 不安で切ない心の深い部分まで描写していくのです。

このあたりは章のタイトルの読み方が2種類あるんです。
第1章:むしの子(虫/霧視) 第2章:えんていの水(淵底/園庭) など
これも、見えている側、見えていない側の両面から表現されてるってことだと思いました。

読み味が深く高品質な伝記、評伝小説ですね、お時間をとってゆっくりと味わってほしい作品でした。

■ぜっさん推しポイント
最終章である第6章:眩くて眩む(まばゆくてくらむ)が印象的でしたね~。これまで学問にまっすぐ生きてきて、周囲にも優しく力強く関係性を築いてきた保己一が、幼馴染と出会う。これまでの語られてきたエピソードを想うと、そこで交わされる会話に心が揺さぶられるんすよ。

現代で天才といわれる人物というと、たとえば将棋の藤井聡太さんでしょうか。常人には理解できないレベルで生きているひとたちも、ただその時その時を必至に生きているだけのような気がしますね。

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2026年05月07日

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すごい小説と出会ってしまった。
読み終えても、すぐには言葉にならないくらい。でもとりあえずメモしておこう。
まず驚かされるのが、盲目の人そのものの描写、文章の表現だ。この文体、表現力。目が見える自分には理解できないような感覚を覚える。入りから衝撃的。

盲人にとって、「見える」とは、「見えざる」とは、どういうことなのか、常人に見えているはずのものが、見えていないのはもちんのこと、他の人に見えないものが「見えて」いたりするのも盲人なのだ。
そして、「真実」か「嘘」なのか、どう見えるのか。そしてそれが、人によって様々に捉えられ、人生をも変えていく。

塙保己一の生き方や業績を辿るという筋立ての小説ではないが、それを知ることも有意義だと思うし、知れば驚きの偉業を目の当たりにする。
だがこの小説では、次々と現れる、または過去に登場した人物たちに見えているもの、見えなかったものに注目していなければならない。
それぞれの人物たちは、善人も悪人も、その生き様が、テーマに沿って計算され、描かれている。そして、意外な方向へと人生を進めていく。
あちこちに細やかな伏線が張り巡らされており、一概に物語のあらすじさえ語れない。ところどころに表れる言葉も考えなければ前に進めない。舞台から消えるものもいれば、最後まで居続けて仰天させる者もいる。
読み手の自分にも、通り一遍のものの見方など通用しないと、次々に覆してくる。それが心地よく、また衝撃的だった。

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2026年04月24日

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大作を読み終えた充実感が心地よく拡がる作品だった。
偉人、塙保己一の生涯の一端を、こうして小説で知ることになろうとは。
裏切りに遭いながら、そして盲目なこともあり不信のどん底に突き落とされながらも、学を一心に求め、そして極めた生き様に頭が下がる。
天才には天才の苦悩があるのだろうが、その周囲の人間もまた大いに苦労があるのだろう。

それにしてもあのような結末は想定していなかったので、得した気持ちになってしまった。

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2026年03月28日

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ネタバレ

塙保己一とは珍しい名前なので、その昔、歴史の教科書で耳に入ったまま放置してたけど、群書類従とはどういうものか、検校とは何か(べらぼうで知ったけど)気になってた。本作は、盲人となった保己一の半生を小説として描いたものだけど、見える世界と見えない世界とのギャップを対比させるなど、読み応えのある内容になっている。20字×20字原稿の元祖であることにも驚いたが、特に前半のエピソードに感動した。小説の力を強く感じさせる力量は凄く、今後書かれる作品を楽しみにしたい。

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2026年06月22日

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 江戸時代の全盲の天才国学者・塙保己一の生き様を中心に描く秀作でした。単なる偉人の生涯を記録した伝記ではなく、保己一の人間くさい人物像を深く掘り下げた評伝、いやそれをさらに超越した優れた歴史小説であり人間ドラマと感じました。

 物語の核心は、見える者と見えない者は互いに分かり合えるか、でしょう。著者は、保己一を偉人としてのみ際立たせるのではなく、主人公以外に周囲の晴眼者の視点を時に替えながら、「人を理解すること」の本質・難しさを描き、読み手に問いかけているようです。

 読み進めるほどに、人間の業とも言うべき欲望や葛藤の描写が繰り返されます。保己一の孤独や絶望と疑心暗鬼、晴眼者の無理解や誤解の他、悪意や嫉妬と傲慢さが、独特の語り口で綴られることで、保己一にしか見えない世界を想像させながら、わからなさ具合が突き付けられます。

 しかし、(晴眼者に限らず)人は努力を重ねても、どうしても想像できないことやわからないことがあって、この辺の人間心理がとても丁寧に描かれています。とりわけ終盤、読み手の思い込みを覆すミステリー仕立てのような驚きの構造が待ち受け、物語が平坦にならない構成が効いている気がします。

 特殊詐欺が横行し、簡単に人を傷つける機会が多い世の中でも、「知らぬが仏」「嘘も方便」も時に必要だろうと思います。終末は改めて、人の生き方や幸せって何?と自問自答しましたし、突き詰めるほど切なくなりました。

 人どうしが心底わかり合えるのは、悲しいかな困難でしょう。それでも、コミュニケーションは互いのわかり合えないところから始まる気もします。わかり合えなくても寄り添うことはできますから…。

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2026年06月21日

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ネタバレ

江戸時代中期、家重・家治・家斉の時代。
当時、物語は紙で出来ており燃えたり古くなって消失していた。勿体無いと考えて日本全国から集めて再編した、「群書類従」という666巻の全集を作った盲目の塙保己一の話。

最初の妻は弟子と不倫して離れて行ったり、娘の婿も嘘をついて信じられなくなって離縁させたり。(嘘は不倫の話が太平記にいたずら書きされていたのを秘匿した)

どんどん群書類従を版にしていくが、途中火事で全部焼けたり。見えないモノも見る必要があったり。みんなは大丈夫と泣きながら言っていても、泣いてることを見えなければならなかったり。

最後、将軍に学者として謁見して終わり。
最終章は、子供の頃からの友達の輝明視点。神童と呼ばれていたのが太平記読みで負けてから崩れる。バカにしようと江戸に出てきて嘘をつくも単純に尊敬され、浮気をそそのかしたり、火を放ったり散々悪行を行うがバレず、最後には間違えて殺される。土壇場で幼馴染同士で会って、言い合うのがクライマックス。何も見えない!保己一。盲なんだぜ!?と叫ぶ。この物語の叫びが全て入ってる。

良かったと思うが若干難しい作品でした。


ーーーー

仏典がおっしゃるところに、五体不具の子を設くるは、皆過去現在共に、悪心而已を起こし、悪業を造故なり。
つまり盲は二親が前世で犯した業により、その報いとしての仏罰で生じるものとされている。


「人の五体の内には、眼にすぎたる物ばかりなし。眼を失はば、万の人に劣れる事、乞児に等し。さればこそ、けん人せい人も、眼を第一に重んじて、万の巻物、経論の文を読み、万里の外をも望み見る事、眼の力に依るなり」
→目が一番大事で目が見えないヤツは乞食。という内容だが、保己一は目は見えなくとも心眼が一番大事と理解した。

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2026年06月14日

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江戸時代に活躍した盲目の国学者・塙保己一の生涯を描いた小説。
超人的な記憶力を武器に学問の道を突き進んでいく保己一だが、盲と目明きの間には、単に見える・見えない以上の隔たりがあった。同じものを見ようとしても、保己一が見ている世界と周囲の人々が見ている世界は違う。二重の意味を持たせた各章のタイトルがそのテーマを象徴的に表していて秀逸。
互いに理解したいと願いながらも、解り合えない人間同士のすれ違いが切ない。特に保己一の才能に心酔しながらも、同じ世界を見ることができないことに絶望した最初の妻・お丁と、学問至上主義の目線からでしか周りの人間を見ることができない保己一の姿は読んでいてやるせない気持ちになった。
偉人伝としてだけでなく、「見える」とはどういうことかを考えさせられる。

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2026年06月12日

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幼少期に全盲となったが、その知識欲、記憶力で学問を究めた国学者の塙保己一を主人公に綴られた物語。学問に対する情熱は強く周囲の方の協力も得ながら、自身の道を突き進む様はすごいなと思った。最後に『見えぬわっ!』と本人が叫ぶのも面白かった。

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2026年06月11日

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力作。
山本周五郎賞、受賞すると思う。
最近感じてることとゴールが一致してた。30歳も違うのに、著者はすごい。
最初の20頁で惹き込まれてしまい、延滞してちゃいけないから、買おうと思ったのに、買いに行く時間も惜しくて読み切った。

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2026年04月27日

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ネタバレ

塙保己一という偉人を寡聞にして知らなかったので江戸時代にこんな人が居たんだなぁ、ヘレン・ケラーも尊敬する人?この人が居なければいまの昔話はなかったかもしれない……なんて見たら読むしかない。
しかも発売日にオーディブルでも配信されていた。著者の蝉谷さんの希望らしい。保己一同様話を聞いていくことを体験することになるんだからとオーディブルで聞いた。

物語は等身大というか、保己一の一生に関わった人達からの視点も描いていて、仕事に人間関係に四苦八苦している様子が可笑しい悲しい。
最後の保己一とてるあきのやり取りに感動した。保己一はずっと自分であん摩は下手くそだと言っていたのに、それは学問をしたくてわざと下手にしていると勘違いし、そうあって欲しいという願望の押し付けだったことがわかるし、あまつさえ手前勝手な願望で感動していたり、自分の子供にさえ急に飛びついて来られるのに心底驚いていたり。

彼が後世に残した偉業を小説内ではほとんど書いてなくて、読み終わってから少し調べただけでめっちゃびっくりするくらいすごいことをしていたって分かる。

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2026年03月19日

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塙保己一についてはほぼ知らずでこの作品を手に取った。後で調べたところヘレン・ケラーが目標にしたと語ったとか。タイトルの「見えるか保己一」という一文が何度も作品内で登場するが、背景、意味は様々で保己一をはじめとした人々の人間臭さが伝わってきた。

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2026年06月26日

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江戸時代の全盲の国学者・塙保己一を主人公に
驚異的な五感の描写と緻密な人間ドラマで魅せる
圧倒的な熱量を持った歴史時代小説

山本周五郎賞だけでなく
直木賞ノミネート作品になって嬉しすぎる〜!



主人公は幼くして失明しながらも
驚異的な記憶力で「知の巨人」へと
昇り詰めていく塙保己一

目が見えない彼が世界をどのように捉え
どのように言葉を紡いでいくのか…
その「視覚なき五感」の描写が
息をのむほど鮮烈で
読んでいるこちらの感覚まで極限まで
研ぎ澄まされていくような興奮を覚えました

泥を這うような苦悩の果てに
彼が文字の海へと潜り、知性を爆発させる展開は
とてもスリリングで胸が熱くなりました!



深い青と鮮烈な朱が混ざり合う
おどろおどろしくも美しい絵画のような表紙から
闇の底から立ち上がる意志の強さを感じます!

言葉の力を信じるすべての人に
そして魂が震えるような生き様を目撃したい人に
間違いなく自信を持っておすすめできる
至高の大傑作です♡

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2026年06月21日

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ネタバレ

よくできた本なんだと思う。途中えぇーと思いながらそういう本じゃなかったんだとぐるりとされる感じだし、伏線もたくさんで読み返すとあちこちに上手に入ってるし(結局2.5回読んだ)、ただ私は、輝明が辛すぎてダメだった。最後、輝明本人は救われたって言ってるけど、救われてるか?と。よくできてる話だと思うけど、好きにはなれない、という感想。

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2026年06月18日

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群書類従の人の本と思って手にとったけど、思わぬところで考えさせられた。

晴眼者と全盲の者のすれ違いだけで無く、全盲同士でも分かり合えない描写がある。みんな見たいものを見たいように見て、信じたいものを信じたいように信じて、言いたいように言う。自分というフィルターを通してしか世界を認識できない。一方の視点では善い事も別の視点から見れば余計な事だったりする。「見えている」ひとなんているのか。見えるってどういうことなのか。

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2026年06月15日

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幼少期に盲目になった塙保己一を題材に、目の見えないものの苦しみと、それを取り巻く見えるものの苦労を描く

目が見えないからこそのすれ違いが度々描かれるが、似たようなすれ違いは見える者同士でも起きているだろう

程度の差はあれ、何を見るかは当人の意思や心がけ次第なのかもしれない

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2026年06月10日

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ネタバレ

見えるか保己一

著者:蝉谷めぐ実
発行:2026年3月13日
KADOKAWA
初出:「小説 野性時代」特別編集2024年冬号、2025年3~4月号、6~9月号、11月12月合併号、特別編集2025年冬号

江戸時代の全盲の国学者・塙保己一の長い長い物語。
国内最大の叢書『群書類従』の編算を果たす
驚異的な記憶力で人に読んで貰った本を全て頭の中の箪笥に整理する。他人からは、目が見える人間にも見えないものまで見える、心眼を期待される。

しかし、彼は実は人一番怖がりでもあった。小さな子供に手を触られるだけで震えが来ていた。一番最後に、そんな彼の姿も明かされる。

文章は決してうまいとは言いがたい。描写において自分の世界には入りすぎて、状況がよくわからない箇所が多い。

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荻野
きよ:母、辰之助に学問をさせる、12歳の時に病死
宇兵衛:父、養蚕業
辰之助:寅之助から6歳で改名(2歳マイナス)、のち多聞房(たもんぼう)との修験道の名前になり修験者の正覚房に弟子入りしたが生覚房は金をもって消える、
卯え門:弟
桐淵:眼医師
作次郎:近所のおじさん?
内野伝左衛門:名主
輝明:てるちゃん、同い年、生糸問屋の長男
茂吉:2歳下
や次郎:1歳上
九郎左衛門:江戸から来る絹商人、宇兵衛から辰之助を江戸で学ばせてくれと頼まれる、

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2026年05月25日

Posted by ブクログ

史実を時系列でなぞる事よりも、普遍的な人間の在りように主眼が置かれているので、佇まいは歴史小説というよりも時代小説の方が近く、塙保己一でなくとも物語が成立し得るのではないかという部分は多少気になりましたが、見えるもの見えないもの、視たいもの視たくないもの、人が目や意識を通して他者との間に作り上げるそれら歪な像の存在を全盲者と晴眼者の隔てなく描いているという点に於いて、本当に誠実な小説だと思いました。

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2026年04月17日

Posted by ブクログ

穏やかな話なので綺麗に終わるかと思いきや!最後の最後でそんな伏線の回収ありっ?!ととても驚かされた
やっぱり目の見えない人には共感しづらく、途中で閉じようかとも思ったけど、結果的に我慢して最後まで読んだ甲斐があった
江戸時代の社会福祉に対する理解の深さにも驚いた!日本人って本当に素晴らしいし、今の私達も身につまされる
あのヘレン・ケラーが保己一を尊敬していたらしいけどどこでどうやってその偉業が耳に届いたのか気になる
実在の人物のはずなのに、ちょっと調べたらすごい人だってわかるのに、今まで知らなかったのがちょっとショックです
この本をきっかけにもっと注目されてほしい

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2026年03月26日

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