【感想・ネタバレ】戸籍の日本史(インターナショナル新書)のレビュー

あらすじ

古代律令制時代に生まれた戸籍はなぜ、何のために明治に甦ったのか? そしてその制度が21世紀の今日まで生き続けているのはいったいどういう理由なのか。
夫婦別姓問題、同性婚、このほか種々の国際化の「見えざる障壁」になっている、日本独自の国民管理制度を暴く。
「天皇には戸籍があるか」「江戸時代の戸籍制度は」など、戸籍をめぐる小ネタも満載!

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Posted by ブクログ

ネタバレ

良書。
身近なのによく知らない戸籍。日本人の証。
家単位は独特、明治に納税・兵役の為で歴史は浅い、終戦時GHQの監査を巧みに抜けて続いた。
国の都合で続けられた。今の時代に合わないように思う。
朝鮮、台湾、沖縄、北海道、満州は本土の都合で酷い目にあってきたことがわかる。

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2026年04月18日

Posted by ブクログ

ネタバレ

戸籍の本質は、日本人であることの証明。日本は血統主義なので、親のいずれかが日本人であれば、どこで生まれても日本人として戸籍に入る。無国籍の日本人は出生届が出されていない人。親が日本人か、よりも戸籍の有無が重視されてしまう問題。日本人同士の結婚であれば、新しい戸籍が作られる。国際結婚の場合、夫婦の戸籍は作られない。しかし、外国人の相手の戸籍は作られない。
アメリカは出生地主義なので、不法に入国してもアメリカで生まれればアメリカ人。トランプ大統領が移民の排除に熱心な理由のひとつ。

古代日本にも戸籍制度はあったが、有名無実化していた。明治になって復活させた。明治4年壬申戸籍が編まれた。もともとは670年に庚午年籍、690年庚寅年籍が作られた。口分田を与えて、税を徴収するための名簿。税負担を逃れるために、出家して戸籍を脱するものが現れた。僧侶の公認制度のために授戒師を招聘した。鑑真和尚のこと。税を逃れるために、性別を偽ったり貴族に寄進するものが現れて公地公民は破綻して、戸籍も形骸化した。

明治政府の戸籍は、家長制度(戸主制度)を武家に習って設定した。明治民法には家族の規定があるが、今の民法にはない。一緒に住んでいても戸主が認めたもの以外は家族ではない。一緒に住んでいなくても家族になれる。戸籍とは家のこと。婚姻によって家に入る、は戸籍に入るのこと。子ハ父ノ家ニ入ル、は子供は父の戸籍に入る、という意味。戸主とは家=戸籍における天皇。
イエとは、イヘ、のこと。ヘとはへっつい(竈)のこと。同じ釜の飯を食うのが家。使用人も同じ釜の飯を食うが、明治民法では家族ではない。
民法にはフランスのナポレオン民法をお手本にしたボアソナード民法が作られたが、個人主義的との批判があり、民法典論争で御蔵入りになった。明治民法と同時に戸籍法が改定された。紙の上では大家族。弟も残っていれば一緒の戸籍に入る。武家社会の慣習と同じ体裁を整えた。

律令制では、隠居年齢は70歳。明治民法では60歳から。個人の意志プラス裁判所の許可が必要。女戸主は許可は不要。応急的な措置に過ぎないから。

家の存続のために婿取りをする風習は世界で稀。
中国、朝鮮では、血統を重んじる。姓は血筋を表すもの。古来より夫婦別姓が基本。同姓の結婚もできない。朝鮮では、姓の数が少ないので、同姓本貫(出身地)が同じだと結婚できない。韓国では2008年に家単位の戸籍が廃止。個人単位の家族関係登録制度になった。

日本も明治の苗字の義務化のときは、夫婦別姓が原則だった。明治民法で夫婦同姓になった。
日本は、儒教精神を曲げてでも、家の存続に意義を見出した。

阿Q正伝でも、血統が途絶えて子孫から供養されないことを恐れた。
妾は明治維新後も残った。妾は妻と同じ2親等。不平等条約の改正に生涯となって、1880年刑法で妾が削除。明治民法で廃止、一夫一婦制が確立。

宗門別人別帳は江戸時代の戸籍。秀吉の太閤検地から始まる家数人数帳が始まり。課税台帳の役割。江戸時代の寺請制度で宗門改のもととなったのが、宗門別人別帳。毎年作成された。武士は分限帳、僧尼や神官も別のもの。人別帳から漏れているものは無宿、木枯し紋次郎。勘当が主な要因。
札付きの語源=勘当されそうな物を人別帳上で札を付けておいたことから。
長谷川平蔵野作った人足寄場は、無宿でも前科者でも、手に職を持てば生きていける、ことを実現する場。
佐渡送りは、死刑宣告に近い。原則無期。出るのは金より人の首のほうが多い、と言われた。

壬申戸籍(明治4年)で、戸籍に記載があるものが日本国民となった。血統主義でなく居住地主義。そこでアイヌと琉球をどうするかが問題になった。
北海道屯田兵として家族を含めて4万人を送り、北海道を本籍と定めさせた。この結果北海道が日本になった。アイヌには苗字がなかったが、アイヌ向け創氏政策でロシア風の名前を変えさせた。ロシアからロシア国民との主張をされないように。
琉球は中国への朝貢国だった。苗字は地名を表すもので移動すれば変わった。それを変えた。
小笠原は、定住者がいなかったが、捕鯨ブームで1830年に西欧人など20数名が移住。それを戸籍を作って日本人として日本の村をつくった。戸籍を作ることで帰化させた。

戸籍は徴兵のためのもの。徴兵告諭には血税と書かれていて、各地で血税一揆がおきた。
徴兵は国民皆兵wぽ原則としたが、戸主、長男、養子、家産家業の管理者は兵役を免除。養子になって徴兵を忌避することを徴兵養子という。立憲政友会総裁の鈴木キサブローは、徴兵逃れのためもあり、鈴木家へ養子になった。高村光雲(高村光太郎の父)も高村家へ養子にいった。
北海道、沖縄に本籍を移すことも徴兵逃れ。夏目漱石は25歳のとき、岩内郡に転籍。
失踪宣告制度も徴兵逃れに利用された。死亡診断書を偽造してニセの死亡届を出す者もいた。戸籍から抹消されても、生きていけた。
除籍簿があるおかげで、明治時代までは家系図を作ることができる。
国勢調査は、戸籍制度の欠陥を埋めるために行われた。
戸籍はどこにおいてもいい。日本人が最も多いのは皇居(千代田区千代田1番)。日本の領土ならどこにでも戸籍は置ける。歯舞諸島、北方四島、尖閣諸島、竹島などに本籍を置いている人もいる。領土関係で対外的主張の根拠となっている。

戦前の無国籍問題。資本主義の発展で東京大阪に人口移動がおきた=日雇い労働者、浮浪者の流入でスラム街が発生、無戸籍の人が集中。住民票制度がなかったため、戸籍がないと年齢を証明できない。
方面委員=戦後は民生委員に変更、が戸籍整理を担当。
一家揃って無戸籍でも、近隣扶助があれば問題なく生きていけた。
サンガ(山窖)の民=戸籍がない漂泊集団も存在したが、国勢調査で戸籍を申告させた。

族称=華族、士族、平民の3つにわけた。壬申戸籍には、職業、前科、檀那寺も記載されていた。元穢多、元非人、新平民なども記載された。警察行政のため。
これらが公開されていたため、犯罪調査、探偵興信所による身元調査に使われた。1968年まで公開。それ以降もなりすましや、職務上請求書などで公開させることはできたが、2008年改正で制限が厳しくなった。
婚外子差別は21世紀まで。明治民法では婚外子は認知されても戸主の許可がなければ、父親の戸籍に入れない。婚外子は私生子男、と記載された。
犬神家の一族では、3姉妹はいずれも庶子女と記載されていた。横溝正史は、家族の複雑さを経験していた。

新たに日本の領土となった台湾、朝鮮の問題が生まれた。
台湾は2年以内に退去しない場合は日本臣民となるとされた。ただし漢族のみ。それ以前の部族は番人と総称。国籍日強制の原則=国籍選択条項を設けることが通例。
朝鮮では国籍法が施行されなかった。満州にもたくさんの朝鮮人がいた。中国に帰化してしまえば、取り締まれない。朝鮮人の保護のため、という理由で派兵できる。

旧慣習を尊重するために異なる法律体系を用意せざるを得ず、そのため、外地、異法地域という区別ができた。
慣習をもとに朝鮮戸籍をつくった。
樺太は内地の戸籍法が施行されてない知人になった。アイヌは1933年から戸籍法が適用された。
台湾には戸籍制度がなく、結婚などで手続きが煩雑。内縁が増える原因。内地延長主義で台湾戸籍が作られた。種族、前科、アヘンの吸引歴なども記載された。

帝国臣民の中は、内地人、朝鮮人、台湾人の区別ができた。兵役は外地人は対象外。忠誠心が期待できない。最終的には招集されたが軍属として徴収された。武器をもたせることに危惧があったのだろう。その代わり参政権が制限選挙で与えられた。

創氏改名は強制だったか。届け出までは設定創氏、届出後は強制的に従来の姓を氏とした。法定創氏と呼ばれる。
近代国家は国民が存在しなければその体をなさない。
国籍法は満洲国になかった。
日本の国籍法は、帰化したものは日本国籍を失う=満洲国に移住したものを満州国民とすると、日本国籍を失う。
国籍法がなくても、建国宣言で慣習法として扱うこととした。そのかわりに民籍法を定め、徴兵の導入をした。大多数90%は漢民族。

戸籍は多数が戦災で消失。本人の申し出で再編された。特に東京の戸籍。なりすまし事件も起きた。松本清張『砂の器』はその例。
家制度は戦争で機能不全になり、御家断絶が激増。
日本国憲法で夫婦が平等となり、民法改正の前に、「日本国憲法の施行に伴う民法の応急的措置に関する法律」ができた。家制度が廃止。

ポツダム宣言によって大日本帝国は解体、あらたに日本人の再編が必要になった。内地にいる朝鮮人や台湾人をどうするか。講和条約までは引き続き日本人と扱った。
朝鮮人は残留を希望するものが多かった。台湾人は、中華民国政府の法律により中国国籍を獲得した。
日本人だったが参政権はない。戦前の朝鮮籍、台湾籍がそのまま残ったため。
外国人登録令により外国人となった朝鮮籍、台湾籍の人々は結婚相手が日本人でも参政権を失った。外地戸籍。内地戸籍に入ると、参政権も行使できる。
平和条約発効時点で、朝鮮籍、台湾籍はそれぞれお朝鮮人、台湾人になった。これは国際法の「領土変更に置ける国籍非強制の原則」に反する。
日本国籍を失うことで、参政権、公務就任権、社会保障の受給権も失う。
沖縄では、戦火で戸籍は原本も副本もすべて消失。沖縄住民は旧戸籍法をもとに臨時戸籍を作って戸籍の再製を図った。沖縄復帰のための布石。

天皇には戸籍はない。戸籍とは天皇の臣民を表すものだから。皇籍を離脱する場合は、臣籍降下として戸籍を作る。姓を賜るので賜姓降下ともいう。
天皇の戸籍は皇統譜。どこからを始めとするか、など揉めた。
宮号とは、皇族男子に天皇が授けるもの。
家父長制の最後の砦。
天皇の譲位としての隠居は、奈良時代以来慣例となっていたが、旧皇室典範で禁止された。内紛のもとになるため。
外国に行く場合はパスポートは不要=元首の扱い。皇族の場合は、外交旅券が発行される。

日本は協議離婚=双方の同意、だけで離婚が成立する。簡単に離婚ができる。離縁状制度(三行半の由来)でも、妻の合意が必要だった。

住民票は戸籍が現住所を反映しないために作られた。最初は寄留制度~寄留地として登録する。戦時体制では世帯台帳によって管理した。戦後は、生活物資の不正受配が横行したため、寄留制度に変わる住民登録制度を作ることとしたが、実施したのは1951年。
未成年でも15歳以上であれば世帯主になれる。事実婚でも住民票では夫婦になれる。
無国籍は民法の嫡出推定によるもの。300日以内に生まれた子供は、前夫の子供になる規定。これを嫌って届け出を出さないまま、無国籍になる。
国籍がなくてもパスポートはつくられる。義務教育社会保障選挙権などもある。戸籍がなくても住民票は作れる。

マイナンバー制度の普及によって、戸籍制度の重要性は低下する。
次の議論はいつ戸籍制度を解体するか。韓国は廃止した。日本は温存しているため行政コストが増大。

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2026年01月07日

Posted by ブクログ

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<目次>
第1章  「日本人」としての証明書
第2章  「古代の制度」がなぜ復活したか
第3章  明治国家が作り出した「家制度」
第4章  戸主という名の「君主」
第5章  「婿」と「妾」の国・日本
第6章  創り出された「日本人」
第7章  早くも現れた「限界」
第8章  戦前の「無国籍」問題
9章  差別の温床として
第10章  「大日本帝国」の戸籍~朝鮮、台湾、そして満洲
第11章  国破れて「家」あり
第12章  「日本人」の再編
第13章  天皇に戸籍はあるか
第14章  『サザエさん』に見る戦後の「家」
終章  戸籍がなくても生きていける

<内容>
戸籍をめぐる近代の歴史の本。こういう視点は歴史学にはないよね。著者は政治学者。日本史と歌いながら、古代から中世はちょっとだけ(最も中世に戸籍的発想はない。みんな自力救済)。近代以降の戸籍および「家」の追究。「家制度」が壊れている中、この本を読んでも保守陣営はなぜこだわるのかわからない。著者は、「家制度」はもう終ったから、夫婦別姓などを柔らかくと考えるべき、言っているが…。

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2025年11月08日

Posted by ブクログ

ネタバレ

著者は戸籍を滅ぼしたい様だ、戸籍制度により『家』をベースに戸主という国家の基を矮小化した権力者を創設したが個人生活重視の現代、更に様々な多様化した家族形態を前に家制度は崩壊した、にも関わらず『戸籍』制度はふりがなを付けたり広域発行が可能になるなど秘かにバージョンアップして存続を図る様が滑稽で苦々しく思っている様だ
著者は戸籍制度創設の歴史を使い過去から全てを揶揄・否定に取り掛かる
「庚午年籍」により日本国民は規定された、集権的国家をつくる事でアジアの激動から守る強さを求めたが、制度はすぐに形骸化、ルールを破る為に日本国民はあらゆる欺瞞を弄するw
「宗門人別帳」は犯罪防止的な意味で税も統計も関係ない、明治となって再び国家に危機が迫る状況で「壬申戸籍」が生まれた、戸主が「家」をベースに個人主義に走るのを防ぎその延長に組織が積み上げられ「国家」に統合される、家制度の軛は戦後の「新戸籍法」つまりGHQが国家主義のベースである戸籍を解体せんと襲い掛かるのだが、日本人特有のぶらかし?言い逃れで逃げ切ってしまった、そしてマイナンバーで完全カード式個別登録が成されたが戸籍制度はまだ生き延びている、と著者の憎悪はまだ続く
改めて著者は戸籍を「『日本人』の輪郭を映す鏡」と呼ぶ、マイナンバー時代になっても残るこの制度は、国際結婚や多文化共生の「見えざる障壁」となり続けている
選択的夫婦別姓や同性婚の議論とも深く絡むため、単なる過去の話で終わらない、戸籍研究の第一人者による本書は、身近な制度を通じて日本近代史を再考させる怨念こもる入門書、戸籍を「ただの家族記録」と思っている人にこそ、手にとってほしい一冊である

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2026年04月06日

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