あらすじ
古代律令制時代に生まれた戸籍はなぜ、何のために明治に甦ったのか? そしてその制度が21世紀の今日まで生き続けているのはいったいどういう理由なのか。
夫婦別姓問題、同性婚、このほか種々の国際化の「見えざる障壁」になっている、日本独自の国民管理制度を暴く。
「天皇には戸籍があるか」「江戸時代の戸籍制度は」など、戸籍をめぐる小ネタも満載!
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Posted by ブクログ
「戸籍は家を管理し、維持するための制度」という論旨で貫徹され、その制度運営上の困難や矛盾について歴史を具体的に紐解きながら著述されており、大変おもしろかった。
すごく硬い印象の文がずっと続いた後、「サザエさん」の章で雲行きがやや怪しくなり、後書きでコンカフェに通うヲタクであることが明らかにされたところで、読み手としてはズッコケた笑
Posted by ブクログ
<目次>
第1章 「日本人」としての証明書
第2章 「古代の制度」がなぜ復活したか
第3章 明治国家が作り出した「家制度」
第4章 戸主という名の「君主」
第5章 「婿」と「妾」の国・日本
第6章 創り出された「日本人」
第7章 早くも現れた「限界」
第8章 戦前の「無国籍」問題
第9章 差別の温床として
第10章 「大日本帝国」の戸籍~朝鮮、台湾、そして満洲
第11章 国破れて「家」あり
第12章 「日本人」の再編
第13章 天皇に戸籍はあるか
第14章 『サザエさん』に見る戦後の「家」
終章 戸籍がなくても生きていける
<内容>
戸籍をめぐる近代の歴史の本。こういう視点は歴史学にはないよね。著者は政治学者。日本史と歌いながら、古代から中世はちょっとだけ(最も中世に戸籍的発想はない。みんな自力救済)。近代以降の戸籍および「家」の追究。「家制度」が壊れている中、この本を読んでも保守陣営はなぜこだわるのかわからない。著者は、「家制度」はもう終ったから、夫婦別姓などを柔らかくと考えるべき、言っているが…。