あらすじ
古代律令制時代に生まれた戸籍はなぜ、何のために明治に甦ったのか? そしてその制度が21世紀の今日まで生き続けているのはいったいどういう理由なのか。
夫婦別姓問題、同性婚、このほか種々の国際化の「見えざる障壁」になっている、日本独自の国民管理制度を暴く。
「天皇には戸籍があるか」「江戸時代の戸籍制度は」など、戸籍をめぐる小ネタも満載!
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Posted by ブクログ
・戸籍に登録されてはじめて日本人となる
その背景に、外圧 国難にどう対応するか→天皇を頂点とし、家単位で従う 国体
95頁 壬申戸籍においては、今日のような血統主義ではなく、移住地主義によって日本人が確定されていた ex.鹿児島 苗代川 朝鮮人集落
101頁 戸籍への登録による同化 例えば苗字など=創氏改名政策は、朝鮮支配以前から行われていた
143頁 無戸籍解消のための方面委員(今の民生委員)
145頁 無戸籍であっても特段の不利益は生じていなかった(ex.昭和初期 無戸籍の世帯であっても隣近所が手伝って葬式(本来死亡届がないと火葬できない)を行っていた)
→戸籍は特段の恩恵がない 一方で
146頁 戸籍事業を精神的救済と位置付け 家の秩序に回収しようとした
149頁 的が浜事件 無戸籍のサンカの集落に対する焼き払い
Posted by ブクログ
これは素晴らしい本!
選択的夫婦別姓制度が裏テーマとしてありながら、そんなことはおくびにも出さす
大和時代の壬申戸籍に始まる日本の戸籍の歴史を追いかける。
国家という概念がはじまり、税の徴収のために生まれた仕組み。
しかし荘園制度とともに立ち消えになる。
それが復活したのが幕末。尊王開国のために徴兵が必要となり、戸籍の必要性が
改めて生まれる。それまで農民は姓などなかった。
それも家単位の戸籍となり、家父長制が制度としても確立する。
その後、明治政府が生まれ、戸籍はより強固になる。
長男は徴兵されない、ということで、新たな戸籍を無理くり作り、
徴兵逃れがはびこる。夏目漱石も北海道に転居し、逃れた。
当時は北海道民には徴兵の義務がなかったとか。
やがて敗戦となり、占領軍に旧来の仕組みを否定されても戸籍は生き残った。
様々な問題があり、住居と紐づかなくなり、それを補うための住民票、
マイナンバー制度が誕生しても、なお戸籍は生き残った。
それはもはやイデオロギー。
明治時代に幻想のように生まれた家父長制の維持だけのために、戸籍制度は残る。
制度が残るということは、その維持のためにコストがかかる。無駄にかかる。
戸籍がないと、姓が違うと、家庭が壊れる。
何て言い草だろうか。
同じ姓でも壊れている家庭はいくらでもある。違う姓でも家庭は成り立つ。
明治時代、ほんの百数十年前に徴兵のために生まれた戸籍制度に何の意味があるか。
男系天皇制を維持するため、国民にも家父長制を強いる?
次の天皇にふさわしいのは愛子さんだろうし、今のやり方では維持できないのは
誰が見てもわかる。
なぜそれを無理やり守ろうとするのか。
戸籍の歴史を追うことで、今の問題点を明らかにしてくれる、良書!
Posted by ブクログ
「日本史」の時間に覚えたキーワードが沢山出てきて、今更ながらに驚くことばかり。昔は高校受験程度で戸籍謄本提出したものだけど、プライバシーもへったくれも無かったなーとつくづく。
今も続く不平等や、差別感情の根っこはそもそも、不完全でご都合主義な「戸籍制度」から生まれたものなのでは?と思うほどだが、マイナンバー制度がもっと普及したら(それはそれで嫌なんだけど)戸籍制度自体が無くなる!なんてこともあるかもね?
「寄り道」のコラムも楽しく勉強になりました。
S氏に感謝を込めて。
Posted by ブクログ
「戸籍は家を管理し、維持するための制度」という論旨で貫徹され、その制度運営上の困難や矛盾について歴史を具体的に紐解きながら著述されており、大変おもしろかった。
すごく硬い印象の文がずっと続いた後、「サザエさん」の章で雲行きがやや怪しくなり、後書きでコンカフェに通うヲタクであることが明らかにされたところで、読み手としてはズッコケた笑
Posted by ブクログ
戸籍の本質は、日本人であることの証明。日本は血統主義なので、親のいずれかが日本人であれば、どこで生まれても日本人として戸籍に入る。無国籍の日本人は出生届が出されていない人。親が日本人か、よりも戸籍の有無が重視されてしまう問題。日本人同士の結婚であれば、新しい戸籍が作られる。国際結婚の場合、夫婦の戸籍は作られない。しかし、外国人の相手の戸籍は作られない。
アメリカは出生地主義なので、不法に入国してもアメリカで生まれればアメリカ人。トランプ大統領が移民の排除に熱心な理由のひとつ。
古代日本にも戸籍制度はあったが、有名無実化していた。明治になって復活させた。明治4年壬申戸籍が編まれた。もともとは670年に庚午年籍、690年庚寅年籍が作られた。口分田を与えて、税を徴収するための名簿。税負担を逃れるために、出家して戸籍を脱するものが現れた。僧侶の公認制度のために授戒師を招聘した。鑑真和尚のこと。税を逃れるために、性別を偽ったり貴族に寄進するものが現れて公地公民は破綻して、戸籍も形骸化した。
明治政府の戸籍は、家長制度(戸主制度)を武家に習って設定した。明治民法には家族の規定があるが、今の民法にはない。一緒に住んでいても戸主が認めたもの以外は家族ではない。一緒に住んでいなくても家族になれる。戸籍とは家のこと。婚姻によって家に入る、は戸籍に入るのこと。子ハ父ノ家ニ入ル、は子供は父の戸籍に入る、という意味。戸主とは家=戸籍における天皇。
イエとは、イヘ、のこと。ヘとはへっつい(竈)のこと。同じ釜の飯を食うのが家。使用人も同じ釜の飯を食うが、明治民法では家族ではない。
民法にはフランスのナポレオン民法をお手本にしたボアソナード民法が作られたが、個人主義的との批判があり、民法典論争で御蔵入りになった。明治民法と同時に戸籍法が改定された。紙の上では大家族。弟も残っていれば一緒の戸籍に入る。武家社会の慣習と同じ体裁を整えた。
p51
Posted by ブクログ
<目次>
第1章 「日本人」としての証明書
第2章 「古代の制度」がなぜ復活したか
第3章 明治国家が作り出した「家制度」
第4章 戸主という名の「君主」
第5章 「婿」と「妾」の国・日本
第6章 創り出された「日本人」
第7章 早くも現れた「限界」
第8章 戦前の「無国籍」問題
第9章 差別の温床として
第10章 「大日本帝国」の戸籍~朝鮮、台湾、そして満洲
第11章 国破れて「家」あり
第12章 「日本人」の再編
第13章 天皇に戸籍はあるか
第14章 『サザエさん』に見る戦後の「家」
終章 戸籍がなくても生きていける
<内容>
戸籍をめぐる近代の歴史の本。こういう視点は歴史学にはないよね。著者は政治学者。日本史と歌いながら、古代から中世はちょっとだけ(最も中世に戸籍的発想はない。みんな自力救済)。近代以降の戸籍および「家」の追究。「家制度」が壊れている中、この本を読んでも保守陣営はなぜこだわるのかわからない。著者は、「家制度」はもう終ったから、夫婦別姓などを柔らかくと考えるべき、言っているが…。