あらすじ
北条時頼は執権を辞し、最明寺入道と呼ばれる身となった。軛から解き放たれたためか、不思議と大モンゴル国が、高麗が、南宋が、日本の輪郭がよく見える。この国を滅ぼさせてはならぬ。使命感は一層強くなっていた。幼い時宗を長い旅に出し、自らも様々な人間に会った。夏島では造船が進み、妻の葛西が独自に開いた交易の道も藤乃、今福船隊の働きで太くなってきている。だが、時間が足りない。そんな感覚を拭い去ることはできなかった。
高麗は京や大宰府への使者もむなしく、大モンゴル国による殲滅戦の様相を呈していた。風の王・波瀬祐佳を筆頭に一族は、ある限りの力を振り絞って、高麗王族の血をひく張結華を守りぬく決意を固める。ただ、愛ゆえに。
クビライは、ムスリムの商人だったアフマドやバアトルの子・安童と定童を臣下に入れるなど、ますます勢力を拡大しつつ、末弟のアリクブケの度重なる挙兵を「兄弟喧嘩」としてあしらい続けた。これは帝の継承争いなどではない。だが、真意が末弟に伝わることもまたなかった。南宋の将軍・孟宣を蹴散らし、鉄壁に思えた襄樊の堅牢な守りに罅を入れ・・・・・・闘いの先にあるのは、あの日、草原に似たようにも思えた海だった。
運命は、海にあり――希望の第三巻!!
■著者プロフィール
北方謙三(きたかた・けんぞう)
1947年佐賀県唐津市生まれ。中央大学法学部卒業。70年、同人誌に発表した「明るい街へ」が雑誌「新潮」に掲載され、デビュー。81年『弔鐘はるかなり』で単行本デビュー。83年『眠りなき夜』で第4回吉川英治文学新人賞、85年『渇きの街』で第38回日本推理作家協会賞長編部門、91年『破軍の星』で第四回柴田錬三郎賞を受賞。2004年『楊家将』で第三八回吉川英治文学賞、05年『水滸伝』(全19巻)で第九回司馬遼太郎賞、07年『独り群せず』で第1回舟橋聖一文学賞、10年に第13回日本ミステリー文学大賞、11年『楊令伝』(全15巻)で第65回毎日出版文化賞特別賞を受賞。13年に紫綬褒章を受章。16年「大水滸伝」シリーズ(全51巻)で第64回菊池寛賞を、17年同シリーズで第6回歴史時代作家クラブ賞特別功労賞を受賞。20年に旭日小綬章を受章。24年『チンギス紀』(全17巻)で第65回毎日芸術賞を受賞。『三国志』(全13巻)、『史記 武帝紀』(全7巻)ほか、著書多数。
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Posted by ブクログ
2026/7発売の森羅記 3 流星の塵を読んだ。
久しぶりの森羅記。といっても、チンギス紀に激ハマリしてたのが今年の4月だから、まだ4ヶ月も経ってないくらい。それでもどこか懐かしく、モンゴル熱を再燃させるには十分の作品だった。
チンギス紀で感じた北方ワールドをたっぷりと感じる1作。
・地理的な展開と盤面の複雑さ
元々地政学に興味があるように、地図を中心に展開される物語は大好き。今作は、過去の森羅記と比べてもよりその色が強い。モンゴルでは、皇帝に即位したクビライの弟・アリクブケが、クビライの敵である南宋や高麗と連携しそうな動きを見せた。また、日本に視線を移すと、鎌倉に対抗する勢力として、京が大陸と接近する様子が描かれていた。このような地理的や謀略は大好きなので、「北方ワールドといえばこれ!」という気持ちになった。今後の展開は読み切れない部分が多く、京が高麗・南宋・はたまたモンゴルのどこにつこうとしているのか、南宋と高麗の微妙な勢力関係など、今後どうとでもなりそうな不安定な状態。展開が楽しみ。
・時の流れの速さ
クビライの副官バアトルが、そして時頼を初期から支えてきた重時が、それぞれ亡くなった。この、重要人物が次から次へと去っては、新たな人物が現れる感じ。まさに北方ワールドだな。
上記以外にも、今作はストーリーとして大きな進展の種が撒かれたように思う。日本では、鎌倉を中心に各地の精力が段々と1つになりそう。これは時頼が大陸と戦う前提条件としていたもので、非常に重要な1歩。京が大陸と不穏な動きを見せたことで、図らずも鎌倉側の勢力が炙り出された形(佐志将監など)。若狭の波瀬水軍については、微妙な立場。父の影響で高麗陣営の色が強く、仮に高麗がモンゴルに征服された場合、日本侵攻の先鋒になることは想像に難くない。日本人同士の戦になってしまうのか。
また、モンゴルのクビライについても、初めて「海を我がものにしたい」という思いが明確に言語化された。これまで漠然と描いていた海とその向こう側について、クビライが明確に意識を向けたのは大きな一歩。次作からは造船も本格的に始まりそうなので、モンゴル軍の水軍の成長も楽しもうと思う。
Posted by ブクログ
ハードボイルド作家・北方は登場人物に格好良い台詞を喋らせようとする~南宋攻略中に皇帝で兄でもあるモンケの死が伝わり、軍を戻そうとする将軍が多いが、フビライは攻め続け、敵将の孟宣を痛撃し、後継と目されるようになった。それを面白くないと感じる弟のアリクブケのもとに現れる勢力を叩きながら、フビライは皇帝としての地歩を固め,南宋との闘いには海の船が必要と考えはじめた。燕京に新都建設を命じられたアフマドは造船所作りを命じられる。出家して自由を得た時頼は次の執権である時宗の大陸を見たいという希望を叶えさせるため、ウラジオストクへの船に乗せる~なかなか『元寇』とはなりません。長いのオ