あらすじ
この国の騎士爵家の三男とは、家の為に献身を求められ、やがて民の為に死ぬ運命にある存在だ。
私には前世の記憶と、幸いなことに持って生まれた『ギフト』があった。
その恩恵のおかげで私は王都の魔法学院に入学することができた。
華やかな貴族社会で羽目を外す婚約者を尻目に、私はただひたすら学院の環境を活かして、家族のために己の研鑽を積む。なぜなら、彼らは前世で経験したことのない愛情を私に与えてくれたからだ。
民草を護り、王国の安寧に寄与すると壮大で殊勝で矜持に満ちた父や兄達とは違い、私にはそのような大それた信念は無い。ただ、私を愛してくれた者達が安寧に暮らしていける手段を求め続けているだけだ。
だから、買い被りはよしてくれ。
私は、辺境の子であり、騎士爵家の三男であり……自分の名前すらわからない「名もなき」存在なのだから。
感情タグBEST3
匿名
Xで紹介されていて、なにげなく試し読みして、あっという間に世界観に引き込まれました。
転生ものであり、王子に婚約破棄された公女のザマアもあり、この先大成するだろう騎士爵家の三男の物語ではあるものの、重厚で読み応えがありました。
先を信じて読み進め!
かなり雰囲気を出した文章で書かれており、言葉の選択、言い回しなど、慣れるまで読みにくく感じます。
特に序盤は、読む側は文章にまだ慣れておらず、本側も面白くなる前なので、この本は面白くないんじゃないか?と疑いたくなります。
ところが1割くらい読み進めると、そこからは面白さでぐいぐい引き込まれ、雰囲気のある文章の良さが生きてきます。
なので、読みにくかったら、最初は多少読み飛ばしても良いかもしれません。
Posted by ブクログ
面白かった!
個人を示す名を名乗れない世界。
騎士爵家の三男として産まれた主人公は、懸命に生きようと努力し続け、他者との共闘協力無くば生き残れない過酷な辺境の現実を見る。そして、共闘協力のためには厳然とした階級による区別がありながらも、相互の敬意がなければならないと、死者となって無言の帰宅をする兵士や民草を前にして肌で感じることになる。
その中で、『騎士爵家の男としての矜持』と『守護する立場としての誇り』に芽生え、辺境で懸命に生きる領民のために、愛してくれる家族のために、必死に、そして堅実確実に力を身につけていく。
礼儀礼節を持って振る舞い、敬意を持って人に接する三男くん!めっちゃかっこいい!救われなかった子どもが、搾取されるままに年老いて無為に死んでいった。そんな人生の記憶を持つ三男くんは、だからこそ、守護し戦う事への想いが熱い。
少年編が終わったということで、続きが気になる!家族のもとに帰って、彼はどんな改革を辺境で行うのだろうか?
くー!
淡々とした文章の下に、熱く滾る想いが渦巻いていて、読んでいるこちらまで『胸熱』になってしまう。
続きほしい!
期待を込めて星4
文章はそこら辺のなろうとは一線を画していると思う。
貴族としての迂遠な言い回しが多いが、他の作品がおかしいと思うレベルでこちらの言い回しの方が作品の世界観に合っていると思わされた。
読んだ後だと他作品の貴族の言い回しが殆ど庶民である違和感を覚えてしまうかもしれない。
とは言っても1巻にしては特に何もなかったというべきか。これから始まる展開への布石・ステップになる序章と言ったところ。長編にならなければ駄作で終わるような展開。
なろうでよく見る例の展開と、そうでは無い展開があって面白いが、この2人がまた交差することはあるのか。
この作品の終着点が見えないが、これから頑張っていって欲しい。
少し長め?ではあるが定期的な発行を望む。