【感想・ネタバレ】ティンカー、テイラー、ソルジャー、スパイ〔新訳版〕のレビュー

あらすじ

英国情報部〈サーカス〉の中枢に潜むソ連の二重スパイを探せ。引退生活から呼び戻された元情報部員スマイリーは、困難な任務を託された。二重スパイはかつての仇敵、ソ連情報部のカーラが操っているという。スマイリーは膨大な記録を調べ、関係者の証言を集めて核心に迫る。やがて明かされる裏切者の正体は? スマイリーとカーラの宿命の対決を描き、スパイ小説の頂点を極めた三部作の第一弾。著者の序文を付した決定版電子書籍化

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Posted by ブクログ

ネタバレ

『海外ミステリーマストリード100』より。
「ハニートラップ」の単語の出典元という興味深さ。
一小説で使った造語からこんな言葉の定着が起きるなんて凄い。
そんなにたくさんの人が読んだの?影響を受けた人が、同様な色んなとこで使ったから?

さて、内容は国際諜報物。
このジャンルには苦手意識があった。
ベースにある各国情報機関の腹の探り合い、騙し合いみたいなのにあまりわくわくしない。
裏の裏は表、最初の面はどっちで何回ひっくり返ったかだけのような気がするし、組織内でのパワーゲームも不毛で、追うものが覇権、そのエネルギーが野心てとこも萌えない。
そういう生き方に魅力を感じないから。

ところが本作、思っていたよりはるかに楽しめた。
まさに諜報物だし、枠組みが小出しにされるので、それぞれの関係性がわかったようなわからないような状態(あぁ、こいつとこいつ過去に何かあったんだなー、でも詳しくは今は教えてくれない、みたいのが沢山)で進む。
名作と謳われるだけあってエピソードの出し方、話の展開がバラエティに富んでいて飽きることはないながら、そんな状態が続き何となく悶々とするのだけど、200ページ過ぎたくらいで見え始める。
そして少しページを戻り、はぁなるほどこのことを仄めかしていたのね。あ、これもの凄い複雑な関係性と過去の因縁をある意味とてつもなく上手く語っていると気付く。

組織の失態の落とし前をつけさせられて今や一介の隠遁者、ジョージ・スマイリー。
とある筋から浮き上がってきたあの事件の元凶を今一度追う。
この追っていく過程がすこぶる楽しい。
スマイリーがめっちゃ地味なんだけど、確実に迫っていく感じが夢中にさせる。

終盤ちょっとまた無理に意味深な感じが出て読み難いところもあったが、「むろん最初からわかっていた」というくだりが、向き合わざるを得ない真相のやるせなさを強く感じ、凄く印象に残った。

結果、ハニートラップはあんまり筋と関係ない(むしろ頭に残るのは「もぐら」)っていう。
でもまぁ、飛び交う符牒と3部作というこの先にあるであろう大ボスとの対決への予感めいたものが多くの読者を虜にしたのであろう。
次は『スクールボーイ閣下』。

0
2025年07月19日

Posted by ブクログ

ネタバレ

映画『裏切りのサーカス』を観て、これは是非とも原作も読まなくては!と思い読み始めましたが…やはり前半は難しい…というか現在と過去が行ったり来たりする場面が多いから気を抜いてると「え?今なんの話?」となる。
人物も多く、専門用語も多いから何が何やら…となる人が多いというのもうなずける。
私は先に映画を二回観ていたのでストーリー展開とかはある程度わかっていたからなんとかついていけたけど、観てなかったら投げ出してた気がしてならない。
といいつつも、真ん中あたりまでは読むのが辛く感じるとこもあり300ページくらいまでは放置したりまた読み始めたりで何ヶ月かかかった。
しかし、300ページからは1日半で読めた。

映画を観るきっかけは正直ギラム目当てのとこもあったけど、映画でも小説でも個人的に一番印象に残ったのはなんだかんだでジム・プリドーとビル・ヘイドンの関係だったりする。
映画とは若干違う最後だけど、どっちも切なすぎる。
今後のシリーズではもう彼らの出番は無いんだなと思うとちょっと寂しい。

結果としてはやはり最後まで読んでよかった!と思うから三部作全部読んでいきたい。
時間は…かかりそうだけど。

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2014年04月29日

Posted by ブクログ

ネタバレ

映画の方を先に鑑賞。原作を知らずに観たものの、実は、キャスト的に「彼」しかいない感じで、フーダニット的な楽しみ方が出来ず、若干の物足りなさを感じたので原作を読んでみた。
欧米では有名な作品らしく、映像化も初めてではないので、あえての「彼」がキャストだったのかもしれない。そういうところに気を揉まなくていいぶん、個人的には映画の方が分かりやすく、きっちりまとめられているような感。
途中までが若干読みづらかった。あるところから急にぐぐっと引き込まれて読めるようになってくる。
最後まで読むと、映画を観た時と感想は一緒。
愛、としか思えない。

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2012年06月02日

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