【感想・ネタバレ】奇妙な家についての注意喚起のレビュー

あらすじ

この本は、作家である私、夢見里龍が収集した「奇妙な構造をした家の体験談」を小説の形に書きおこしたものです。発端は小説投稿サイト上のエッセイでした。「生活をするのに不便はない。欠陥住宅というわけでもない。でも、明らかに奇妙な家なんです」それは〈排水口がすべての部屋にある家〉に住む主婦の投稿でした。以来、私はネットで見つけた奇妙な家群を「ひらく家」と名づけ、親交の深かった読者のヤモリさんと考察を語らうようになりました。ネット上の記述なので、全てはフィクション。そう考えていたんです。でも、ある体験をして気づきました。これらの家は本当に存在すると。私は本書を通じてみなさんに警戒を促します。あなたは今、「ひらく家」に住んでいませんか?

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Posted by ブクログ

こっっっっっっっわ( ; ; )
これが物凄く怖いか、冷静に読めるかはひとによって大きく異なりそうではある。
ただ、私は昔観た『残穢』(映画のほう)でしっかりトラウマ形成されたタイプなので、似た感覚を覚えた。
(本書でも原作のほうの『残穢』に一瞬触れられていましたね)

家というものは、最も落ち着ける場所であり最もプライベートな場所であるという認識があるので、その家に裏切られるような話を怖いと感じるのかもしれない。これもまた「箱」の中にいる者であるゆえの恐怖なのだろうか。
あるいは我が家では私が子どもの頃から、夜中、私の部屋を出たところにあるダイニングを、玄関方面からリビング方面にひとのようなものが歩く音がするからだろうか。

第一の家を読み始めた段階では、呪いとか怪異とかがいるのはさておき、住民について「いや、何だこの気持ち悪い(性格の悪い)人間は」と思っていた。
第二の家でも同様に、「何だこの夫は」と思った。
第三の家辺りからしっかりと様子がおかしくなってきて、第四の家を読む頃には半泣き状態だった。

(特に後半において)音の描写が重要なところもあり、各章にある注意書きを読みながらつい現実で耳をそば立ててしまう。
夜中に読んでいた所為もあり、家鳴りが怖くなって堪らずYouTubeに逃げ込んだ。

冷静な気持ちになって感想を書くと、家についての雰囲気や書き方が、先に書いた『残穢』を彷彿とさせ、「箱」の概念は以前読んだ『ここにひとつの□がある』を思い出した(個人的には本書『奇妙な〜』のほうが好みではある)。
ラストは台湾ホラー映画の『呪詛』や『近畿地方のある場所について』を思わせる。
また、最近読んだ『撮ってはいけない家』でも山梨県北杜市が舞台になっていた。無知で申し訳ないのだが、何か意味や由来があるんだろうか(もしご存じの方いたら是非教えていただきたい)。

私のホラー感性としては、『残穢』以来の「眠るのが怖くなる作品」に出会ってしまった、と感じた。
実話ベースの書き方も怖さが増して好きです、が、本当の実話でない事は、こういう系の話を読む度にひとまず一度は祈っています……( ; ; )

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2025年09月28日

Posted by ブクログ

物語だと思っていたら実話??
奇妙な家を建てている建築家ではないかと思われる怪異を考察する女性と作家自身が考察を重ねながらやがてホンモノの怪異と遭遇していくはなし。
モキュメンタリー系は読み尽くしてる気もしてたけどけっこう当たりで面白かった!!
三津田信三先生のはなしと似ていたので余計面白かったのかも。
家って安心できる場所のはずだけど、汚くしてたら護ってくれないって小野不由美先生の本にあったの思い出した。
今、変な音を出しながらマンション通路を歩いていったやつがいる。たぶん孤独死したひとの家に住んでいるやつだと思う。
ねー家って本当に安心できる??

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2025年09月13日

Posted by ブクログ

カクヨム発なので調べれば前半だけはお試しで読める。
最近人気のホラー小説の主要なエッセンスがまんべんなく入っている。
具体的にいうなら三津田信三と背筋と芦花公園(敬称略)がバランス良く配分されている感じ。

こう書くとネガティブな評価に見えちゃうかもしれないけど、
ホラーというジャンルは秘伝の継ぎ足しのタレ系ジャンルなので、恐怖を喚起させる存在や、手法や、終わり方が受け継がれて、そこからアレンジをして、新しい名作が生まれていく文化だと思う。
そういう意味で、この話もホラーの主流がまだまだこの家系にあるんだな!って感じられて、面白かった。

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2025年08月15日

Posted by ブクログ

 令和七年一月二日、〈私〉こと夢見里龍は、Xにある書き込みをした。忘れてしまいたいほど怖い話があるのだが、カクヨムに投稿するべきか、と。現代ホラーを中心に担当してきたKADOKAWA編集者の若倉氏と企画を練っていた際、〈私〉はその時の話を小説として書くことになる。奇妙な構造をした家の体験談。事の発端は、小説投稿サイト「カクヨム」に載っていたエッセイだった。

〈家にまつわるホラーはおもしろい。廃墟とか小学校とか特定の場所にいったわけではないのに、巻き込まれるというのがいちばん怖いからかもしれない。〉
 と作中にそんな言葉が登場するように、多くのひとにとって、家は何よりも身近で落ち着くものだったりします。そんな本来なら心が一番穏やかであって欲しい場所に、不意に何かが忍び寄ってきたら、それは本当に怖いと思いませんか。本作は静かな狂気を孕んで、徐々に恐怖が近付いてくる様子に大変怖さがある連作ホラーになっています。個人的に印象的だったのが、「第一の家」と「第四の家」で、家族間の細やかなやり取りや語り手の心理の揺れ動きも魅力的でした。

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2025年07月31日

Posted by ブクログ

ネタバレ

箱。長方形は人間の作ったもの。呪い。家。綻び。ひらく。閉じたらひらく。排水溝の多い家。開かないドアノブ。開いた時。みけつ。中庭。ずるずる。2階のない怪談。ヤングケアラー。人が変わったように。ヤモリさん。異界と繋がる。、

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2025年11月23日

Posted by ブクログ

短編集のような形状で読みやすかった。
全部読むと繋がってる!?となるタイプの本。
普通のホラー、いわゆるお化け的な怖い本なのかと思いきや、人間の怖さというか不快感もあり面白いなと思った。
また、家に関するホラーというのがより怖さを増す。
家という身近すぎる場所が舞台となっているので、読後は一人で寝るのが怖くなった。

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2025年11月03日

Posted by ブクログ

久々にかなり好みのホラーに出会えたのが嬉しい。アイデアが新しいし面白いしちゃんと怖い。
オカルトと人怖がバランス良く調和していて、それぞれの話がちゃんとお話として読み応えがある上に、それらの繋げ方がしっかりしているから長編としても満足度が高い。

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2025年10月05日

Posted by ブクログ

作者の夢見里さんが主人公でドキュメンタリー感があります。
家についての血なまぐさい怪談話を収集して物語が展開していきます。
怪談部分は体験者の一人称で語られ、
その手前に必ず読者への注意喚起があり、怖さを煽ります。
ホラーが苦手な人にはおすすめしません。

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2025年08月20日

Posted by ブクログ

ネタバレ

読む手が止まらなくてすぐ読み終わっちゃいましたね。
終わり方はとても綺麗なのかなと思います。
一つだけわからない点として、「著者の体験」の最後の章?の箇所だけ四角が黒かったんです。これは何ですかね?

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2025年07月19日

Posted by ブクログ

伏線の引き方や物語の組み立て方が良く、
続きがきになりサラッと読めました。

良い“ご縁”がありました。

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2025年07月17日

Posted by ブクログ

著者自身と編集者の会話をクッションに挟みつつ、著者が集めた奇妙な家の話とその考察を繰り返す形の短編集。
よくある、変な家に引っ越したら怪異が起きて家族が壊れた、ではなく不思議な家に住んでいる少し壊れかけた家族がより壊れていく話であり、語り手への嫌悪感が薄らとある。思うに、怪異に抗おうとする語り手の場合、語り手がどうなったかに焦点が行くが、語り手が嫌な奴の場合突き放して見ているので、この家に住む語り手を含む家族がどうなるかを見ていられる。
作中の違和感は作品のラストで明かされるので、作者と編集者の会話は奇妙な家と家族の関わりとは何か注がれていく。家という箱、住んでいる人間という箱、箱を開くの意味が思っていたものとは違い、怖さが逸れた様な印象がある。
好きなのは、一階建ての階段の家。

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2025年11月18日

Posted by ブクログ

著者がネット収集した奇妙な家4件と、著者自身のお宅で起きた怪異のお話。別のお宅で起こる別々の怪異なんだけど、その怪異が4件ともに怖いというよりも気持ち悪い、生理的嫌悪感を抱くような怪異で…読み終えた今、ぐったりしてます。
著者と考察の友になるネット民のお名前が「ヤモリ」さんというのも良いような悪いような…

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2025年10月26日

Posted by ブクログ

変な作りをしている家で起きた怪異についてまとめたもの。

家の全ての部屋に、必要ないはずなのに、何故かある排水口。例えば寝室に排水口……いる?いらんやろ。でもこの家には全部の部屋に排水口がある。

他には、廊下からリビングに繋がるドア。そのドアに取っ手が左右に一つずつある。

いらんやろ左右に取っ手。片方は蝶番になってるし、構造として開かんやん。でも、そのドアには取っ手が2つある。

一階建の平屋なのに二階に続く13階段。その階段はそのまま天井にぶつかる。存在する意味が分からない階段。

クローゼットの中にある、外に繋がるドア。

などなど。

それぞれの家で起きた不可解な怪異に、情報を集めていた筆者にも怪異が襲う。

この本はこの本を作るにあたり情報を集めた筆者の見解も同時に掲載されているモキュメンタリーホラー。

モキュメンタリーってさ、実際にあった話を「ホラーですよ」ってカモフラージュできる便利なジャンルだと思う。

怖かった。

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2025年09月28日

Posted by ブクログ

星4に近いけどすいません、3で。

変形屋敷ものというか『変な家』という有名作があるのにこっち行くか!と思いつつ読み始めました。

作者本人が語り手として登場し、氏がネットを通じて一時期集めていた家に関する怪談を小説として書き直した、というていの作品。

間取りや設備がおかしい家が登場するのはもちろんですが、そこに住む一家が起こる怪異で少しずつおかしくなったり、本性が顕になっていくヒトコワな点も強く先行作との差別化も図られていて良いなと思いました。
ヒトコワな部分だけでなく、描写される怪異も日常から若干ズレている事の違和感から生理的な不快感もの、もちろん心霊的なものもありバラエティ豊かでそれも良かったと思います。

相談相手の担当編集者が怪談を持ち込んできたり、その怪談をネット上での知り合いと共有して議論したりして話が膨らんでゆくのもなかなか面白かったです。

ただ自分としてはオチがちょっと弱かったかな、と思ってしまったのでこの評価とさせていただきます。

ホラーって難しいですね。

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2025年09月15日

Posted by ブクログ

それぞれの話は、リアルな感じがあって面白い。日常に潜んでいる怪異がじわじわと詰め寄ってくる感じ。
箱が開くとか閉じるとかいうのは、ちょっと概念的すぎて、すっと入ってこなかった。

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2025年08月31日

Posted by ブクログ

さらさらと読める。四篇からなる短編集だが、構成がストーリー毎に著者と誰かがそのストーリーの内容について吟味したり検証したりする。個人的には、吟味や検証は短編四つが終わったあとに総括としてやってくれた方がよかった。そこに伏線回収があったら最高だったのになと思った。3.3

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2025年07月30日

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