【感想・ネタバレ】八月の母のレビュー

あらすじ

『イノセント・デイズ』を今一度書く。そして「超える」がテーマでした。僕自身はその確信を得ています――早見和真

長い間歪み続けた愛や母性の歴史、地層のように積み重なる闇に確かな兆しを探し続けた。神なるものへの幻想と呪縛を解き放つ祈りとその熱に、心が確かに蠢いた。――池松壮亮(俳優)

私も命を繋いでいく役目を担うのだろうか。微かな光と絶望に怯えながら、夢中で読み進めた。どうしようもない日々に、早見さんはいつだって、隣で一緒に座り込んでくれるんだ。――長濱ねる(タレント)

自分の奥底に隠しておきたい暗い何かをわかってくれている、という書き手がこの世に一人でもいること。そのことに救われ、気持ちが軽くなる読者は少なくはない。――窪美澄(小説家)

容赦などまるでない。「母」にこだわる作家が、母という絶対性に対峙した。確かなものなど何ひとつない世の中で、早見和真は正しい光を見つけようとしている。その試みには、当然異様な熱が帯びる。――石井裕也(映画監督)

ラストに現れるヒロインの強い覚悟と意思の力に、私たちは元気づけられる。辛く暗く苦しい話だが、そういう発見があるかぎり、小説はまだまだ捨てたものではない。――北上次郎(書評家)(「カドブン」書評より抜粋)

八月は、血の匂いがする――。愛媛県伊予市に生まれた越智エリカは、この街から出ていきたいと強く願っていた。男は信用できない。友人や教師でさえも、エリカを前に我を失った。スナックを営む母に囚われ、蟻地獄の中でもがくエリカは、予期せず娘を授かるが……。あの夏、あの団地の一室で何が起きたのか。嫉妬と執着、まやかしの「母性」が生み出した忌まわしい事件。その果てに煌めく一筋の光を描いた「母娘」の物語。

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Posted by ブクログ

ネタバレ

2022年に単行本で既読
美智子、エリカ、陽向が同じように母に縛られこの街から出ていけない。落ちていくたび加速し、激しくなる。こちらから見ていると、そっちじゃない!と理解できるが渦中の人にはわからないものだろうな、私も同じことをするかもしれない。大げさなきっかけでなくとも躓きから大きな谷間に落ちてしまう、戻るきっかけかあっても仲間内から足を引っ張られる。やらない言い訳は限りなくあるしそっちの方が簡単。一番つらいのが紘子の母だと思った。本人はもちろん周りの人もどんなに傷つくだろう。陽向が断ち切り明日香には続かない、そんな未来が見えて救い。

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2025年12月01日

Posted by ブクログ

ネタバレ

「あなたは逃げて。かかわったらいかん。逃げて-」「お願いだから逃げて、陽向ちゃん」陽向が正しく、まっとうに生きることができるのならば、こんな状況に陥ってることにも意味はある。誰かのせいにせず、自分のためだけの人生を送ってください-。

母が犯罪者となり、家族が瓦解して、落とし込まれた深い穴の中にこそほのかな光が差していた。私の人生が始まった瞬間だ。

越智美智子、越智エリカ、越智陽向
連綿と続く、母と娘。
八月は母の匂いがする。

猛烈な物語だった。しばらく放心しそうです。

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2025年08月16日

Posted by ブクログ

ネタバレ

イノセント・デイズを越えるまでは行かず、★4.5でした。
途中までは母娘2代の話かと思いきや、実は3代の話というちょっとした引っかけみたいな仕掛けが面白かったです。
最後の紘子の下りは、お願いだから最悪の事態だけは…と願いましたが、やはりダメでした…。
この祈りながら読む感覚は、イノセント・デイズの最後を読んだ際と似た感じです。

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2025年11月21日

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