あらすじ
「本を読みたいけど、読めない!」
現代の忙しい私たちは、いったいどんな本を読めばいいのだろうか?
または、どうやったら本が読めるだろうか?
『ようこそ、ヒュナム洞書店へ』の著者が、具体的な方法と作品タイトルをもって贈る、やさしい読書エッセイ。
焦燥感と罪悪感にかられるあなたの背中を、そっと押してくれる全53章。
【著者プロフィール】
ファン・ボルム
小説家、エッセイスト。大学でコンピューター工学を専攻し、LG電子にソフトウェア開発者として勤務した。転職を繰り返しながらも、「毎日読み、書く人間」としてのアイデンティティーを保っている。
著書として、エッセイは本書のほか、『生まれて初めてのキックボクシング』、『このくらいの距離がちょうどいい』(いずれも未邦訳)がある。
また、初の長篇小説『ようこそ、ヒュナム洞書店へ』(牧野美加訳、集英社)が日本で2024年本屋大賞翻訳小説部門第1位を受賞した。
【訳者プロフィール】
牧野美加(まきの・みか)
1968年、大阪生まれ。釜慶大学言語教育院で韓国語を学んだ後、新聞記事や広報誌の翻訳に携わる。
第1回「日本語で読みたい韓国の本 翻訳コンクール」最優秀賞受賞。
ファン・ボルム『ようこそ、ヒュナム洞書店へ』(集英社)のほか、チャン・リュジン『仕事の喜びと哀しみ』(クオン)、ジェヨン『書籍修繕という仕事:刻まれた記憶、思い出、物語の守り手として生きる』(原書房)、キム・ウォニョンほか『日常の言葉たち:似ているようで違うわたしたちの物語の幕を開ける16の単語』(葉々社)、イ・ジュヘ『その猫の名前は長い』(里山社)など訳書多数。
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Posted by ブクログ
本を読み終えても内容を忘れてしまう、途中で挫折してしまう本がある、読むのに時間がかかりもどかしい時がある等々。私の何百倍も冊数をこなしているであろう著者の様な読書家でも私と同じ様に感じることがあるという事実に安心した。更にはそれらを納得いく文章で肯定してもらった感じ。これからも忘れながら、自分でも知らないうちに変化して、堂々と読書を楽しんでいける。
Posted by ブクログ
本を愛する著者の気持ちが伝わってきて、幸せな気持ちになれる本。
寝る前、その日摂取した色んな情報や他人の感情が頭の中でグルグルしているときに読んでみたところ、グルグルが止まりました。
とても穏やかになれる本です。
タイトルも好きだし、カバーの色や絵も可愛くて、良い本買ったなあと思える一冊です。
Posted by ブクログ
毎日も読む時間はないし、そんなに沢山読んでるわけではないけど刺さりました。付箋だらけ。私にとっては、小さいけど何かのきっかけをくれるような本です。読んでて気持ちいい綺麗な文章…には不思議な魅力があります。
「最近気分が晴れないな....」「ちょっとした息抜きが欲しいな....」そんな時にまた再読したい…
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退屈で、物語が恋しくて虚しくて友達に共感したくて、世の中に希望を持ちたくて、そして究極的にはただただ何かが読みたくて、私は毎日本を読んできた。これからも読み続けるだろう
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本を読んで強くなりたい。より揺らがない、よりどっしりした人間になりたい。傲慢でもなく、無邪気でもない人間になりたい。自分の感情に率直でありながらも、感情に振り回されないようになりたい。大げさに言えば知恵を得たい、日常生活では賢明になりたい。世の中を理解し、人間のことがわかるようになりたい。
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「君は君の人生を変化させなければならない」それが、パトリック・ジュースキントが結論づけた、わたしたちが本を読む理由だ。わたしはその文章を頭の中で何度もつぶやきながら、もし一冊の本を読む前の自分と読んだあとの自分が少しでも変化していたなら、たとえその本を読んだことすら覚えていなくても問題ないのだと自分を慰めた。
Posted by ブクログ
Voicyで真夜中の読書会のバタやんさんが紹介していたので読んでみた。なぜ本を読むのか、いろんな角度から書かれていて、どれも「そうそう」とうなずきながら読んだ。そして、ますますこれからもたくさん本を読みたい!という気持ちになった。たくさんの本からの引用された文章も載っていて、読みたい本が一気に増えた!
Posted by ブクログ
とてもよかった。
何々の本を読んだ、その感想、ではなくて読書にまつわる色んな体験談の本。
最近、同じファン・ホルムさんの「ヒュナム洞書店へようこそ」を読んだときに書いてあったり、またとある読書家さん(主に小説やエッセイを読まれている方)のVlogを延々と見て、気づかされたことがある。
私はずっとこの年まで読書を
・知識の吸収
・現実逃避
・娯楽、エンタメ
と捉えて読んでいた。
だが自己啓発本でもない小説やエッセイや教養文庫を読み、
「そこに書いてあることを実践する」
という読み方をする人がいるんだ…!と言う事に目からウロコだった。
自己啓発本ならわかるんです。でも小説の登場人物や何気ないエッセイの著者のちょっとしたTipsや生き方で「いいな」と思ったことを実践するというようなことがあるんだ…!って。
そしてこの本にもとあるページに
「私たちは本を読み終えると、まるで読書感想文のようにあらすじや中心テーマを要約することに集中しがちだが、実は各ページに何気なく潜むちょっとしたアイデアや考えや意味を見出し、それを人生に取り込む作業も大事だ」
と直接書いてあり、やっぱりそうなんだなと。(ヒュナム洞にも同じようなことを主人公が言っている箇所がある)
もちろん読書をエンタメとして面白く読んだり、リラックスのために読んだり、教養の摂取をしたりでも全然構わないと思うが、自分の内面に蓄積するものはあったけど、あまり自分の人生に影響がない気がしてたのは人生へのアウトプットが足りなかったんだなーと。
この本は読書にまつわる色んな体験が書かれているので、へえ〜著者はそういう事もする人なんだなーで終わらせず、これからの読書はこの本の中で真似できそうな事をやって、アウトプットして行きたい。
あとこの本でも出てくるが海外の作家さんたちは文章講座の開講、受講やグループワークをよくやっている印象。
この本にもあるような「個人的に書評を書くための文章講座」みたいなやつ。
ウェブライター講座とか作家になるためシナリオ書くための文章講座はあるっぽいが、そういうのでなく個人的な目的のためのそういうのを日本ってやってるのかなあ。
Posted by ブクログ
この本を読んでから、読書のすばらしさを痛感しただけでなく
いろんなジャンルの本を読んでみようかなという気持ちになった。
著者は非常に多くの種類の本を読んでいると感じた。
もちろん著者が、子供のころから本好きで読書の量が圧倒的に
多いので新しいジャンルの本でも読むのに苦労しないのかもと思ったが
そんな著者にとっても読みづらい本や理解するのに時間のかかる本が
紹介されていたので、読書歴の短いわたしでも自分が読んだことのないジャンルの本でも
読もうと思えば読めるのでは?という気持ちにさせてくれた。
読書嫌いの私が25歳の時に読書を開始した時と同様に、
新しい世界にも足を踏み入れてみようかなという
後押しをしてくれた。
Posted by ブクログ
読書と人との関わりを作者の実体験と絡めて解説しているエッセイです。
自分としてはp208の『読書はわたしにとって余興であり、休息であり、癒やしであり、わたしのささやかな自殺なのです。世の中に耐えられないときは、本を手に取り、丸くなって横たわるのです。』(ジョナサン・コット)という引用文に深い感銘を受けました。辛い現実からの逃避。自分にもそういう目的で読書をすることが何度もあります。多くの人の中にもそういった人たちもいるんだろうなぁとボンヤリと思っていましたが、いざ言葉にされるとドキリとします。
とても面白く読み応えのあるエッセイでした。オススメです。
Posted by ブクログ
読書エッセイ。
読書のコツや、著者の読書生活が綴られていて、共感しながら読んだ。
印象的な引用がたくさんあったが、特に好きなのが、人生と物語を重ねた以下の引用。
人生は、私の成功や失敗には関心がない。その代わり、私がどれほどすごいことを望んだのか、それによってどれだけ自分の人生を鮮烈に感じ、また何を学んだのか、その結果、どんな物語が生まれたのかーそういう問いだけが重要なのだろう。
Posted by ブクログ
思わずわたしだ!とさけんだ。わたしがいる。
「心がざわつくときは本という部屋に入ってゴロゴロしていた」
という序章から始まるこの言葉でもう仲良くなりたい!と思ってしまった。
韓国人の方だけど日本の作家も読んでいるし、それだけでなく世界中の名著をあげるので、同志だ!と仲間を見つけたようで嬉しくなりつつも私の百倍くらい読んでる。
51.自分を守る読書 が特に感銘を受けた。
広告画像が、幸せになりたければ脱毛しダイエットして、美人になって、流行に乗り、金を稼げと脅してくる。私たちの思考を鈍らせる。
わたしの幸せはわたしのもので、その信念を読書を通して育てていくのだ。暴力性のある「提案された幸せ」から自分を守る方法を身につける。
「物語の自販機」を持とう、の提案がすごく素敵。
最近はまったく本を読めていなかったし、休日もほとんど寝て、スマホ見て、を繰り返していて、身体的にも精神的にも疲れているんだなと実感している。
本を読む余裕なんてないよ〜無理無理と思っていたけど、そんな時の読書エッセイは強い。読書をしたくて仕方なくなる。引用がとにかく多くて(参考文献は137冊!)、読みながらも次の読むべき本を探すのに必死になる。今は哲学の勉強がしたいよ。
また、著者であるファン・ボルム氏は、大学で学んだコンピュータ工学を活かして日本よりも厳しい競争社会である韓国で、大企業への就職を決めた"成功者"であるように思えたが、研究員として連日残業、休日返上で働き、職場で机に座ると次から次に入ってくる仕事を淡々とこなすだけの日々が続いた。仕事を辞め、本を読むことで「本来の自分」を取り戻したという彼女の経験があるからこそ、より"読書で得られる栄養"に説得力がある。
心に留めたい言葉がたくさんあって、ノートに書いて自分の心に染み込ませて、潤いを甦らせていきたい。何度も読み返し、帰ってきたい本。
Posted by ブクログ
「ようこそ、ヒュナム洞書店へ」の著者さん。
読みながら「うわ〜」って何度も感嘆の声が出た。
あちらこちらに読み返したくなる文章が散りばめられていました。
わたし、好きな一文に出会うと、すぐにもう一度読んでじっくり味わわずにはいられないんです。
またしても、「本好きのための、本好きによる作品」といった印象。
先日読んだ、「夜更けより静かな場所」もいたく感動しましたが、こちらも共感と思考と思い出の海にただよっているような素敵な読書時間でした。
ファン・ボル厶さん、小説もエッセイもいいなぁ。
本を読む人なら共感も多いと思う。
著者の言葉に自分の思考や感情を重ね合わせてしまうし、耳を傾けずにはいられない。そんな気持ちになります。
そして、朧気だった本に対する気持ちを言語化してくれていました。
『小説を読む人は、誰よりも「自分の人生」に関心の高い人間なのだと。小説の愛好家は、架空の人物を通して自分の人生を読む人間だ。』
わたしも、これまで本というフィルターを通して自分と向き合ってきたことを改めて感じました。
小学生の頃、「楽しいから読む」から始まった読書が、いつの間にか知らず知らず自分を支え、救い、心を強くしてくれていたのだと最近になって実感しています。
著者の作品は、全部読んでみたい!
日頃から読書をしている人、これからもっと読書をしたいと思っている人、どうぞ手にとってみて下さい。
『わたしも本のない世界なんて想像できない。
わたしは死ぬまで読者として生きていたい』
Posted by ブクログ
読み応えのある1冊だった
本好きの人も あまり読まない人でも
楽しめるのではないかな
軽やかな文体は訳者の力もあるだろうけど
頭に入りやすく
心地よかった
本から得られる 様々なギフト
これからも たくさん受けとるつもり
Posted by ブクログ
ファン・ボルムさんと同じく、とにかくとにかく読む…。読むことが大好きだ。それでいいんだ。
書評を書くために読むの、これかれやっていきたいと思った。
読むために読んでいた読書だったが、書くために読む、と少し楽しみが増えた。
本好きさんを増やしたい。ならば読んだ本を薦めてみたり、本をプレゼントしてみたりしてみなきゃね。
Posted by ブクログ
「本を読もう!」という啓発本ではないし、「本はこう読むものだ」という読書論を語る本でもなく。【なんで私は本を読むのか?】と,筆者自身が本と読書との間で体験したことについて語る「本」に向けたラブレターのような本。「あなたは私か?」(三宅香帆さんの推薦文より引用)と言いたくなる、共感する言葉がたくさんあった。
Posted by ブクログ
韓国の長編小説「ようこそ、ヒュナム洞書店へ」を読んで感激し、その著者であるファン・ボルムさんのエッセイということで、こんな小説を書いた彼女(筆者)のことをもっと知りたい、読書家とされている彼女は普段どんなことを考えているのだろうか、そんなことを思いながら、読書好きを自認する私としても強い興味を持って読みました。
「訳者あとがき」には、
『本を読みたいけれど時間がなくて読めない、読まなければとは思うがなかなか手が伸びない、という人におすすめの一冊』とありましたが、それだけにとどまらず、さすが読書好きな彼女らしく、その経験と実践に基づく参考になる多くのことが、これまでに彼女が読んだ数多くの本の紹介とともに書かれていました。本を読むことについて今までの私が思っていたことを、さらにレベルアップしてくれるような、とても参考になる内容でした。例えば、
①そもそも本を読むのは、情報や知識、知恵、感動を得るためと私は考えていましたが、それだけにとどまらず、本を読むことは人生に影響を与える力を持っているということ、このことを彼女は次のように分かりやすく表現しています。
『地下鉄に乗っている私たちの前には、大きく二つの選択肢が用意されている。本を読むか、読まないか。地下鉄の中で本を取り出して開くという簡単な行動、たったそれだけのことで、今日からわたしたちの人生は「歩む必要のない道」からほんの少しずつ遠ざかっていくのだ。』
(地下鉄とは、暗闇の中を走る地下鉄ということで、「先の見えない人生」のことだと思います。)
確かにいろいろな小説に登場する人物の生き方や言葉が、読書後はしばらく忘れていても、ふとしたときに蘇り、自分の人生の岐路で参考になっているということは否定できません。自分の生き方に小説の中の人物の生き方や発した言葉を思い出して、重ねていることがあるような気がします。
②愛読書とは、「これは最高に面白い本だ」と思って好んで何度も繰り返して読んできた本だと思っていますが、その時の生活や心の状況に応じて、自分にとっての愛読書は時とともに更新されるということです。
例えばこのエッセイの中で紹介しているある本に書かれた次の言葉、
『読書は私にとって余興であり、休息であり、癒しであり、わたしのささやかな自殺なのです。世の中に耐えられないときは、本を手に取り、丸くなって横たわるのです』(ジョナサン・コッド/作家・詩人)。
この言葉は私の経験からも胸に突き刺さりました。
以前、仕事でストレスが溜まり、心身が疲労していた私は、現実逃避でとにかく楽しくて幸福感や充実感を感じる小説ばかり読み、それが愛読書となって、それらの本が当時の疲弊した私の心を救ってくれました。
しかしその暗いトンネルを抜けた今では、心理描写や風景描写・文章表現の素晴らしさをじっくり味わう純文学や、人生をどう生きるかについて考える評論あるいは哲学書の類が愛読書になりつつあります(もちろん以前から変わらず、そばに置いている本もありますが)。当時に比べて少し心に余裕ができたからだと思います。
それだけ本は心を救ってくれたり、人生や生き方に影響を与える力を持っていると教えてくれました。だからこそ持続的に本を読むことは必要であり、それによって愛読書は人生の変化とともに更新されていく、ということなのだろうと思います。
③読書好きの人の多くは、読んだ本の感想をアウトプットし文字にして記録に残しますが、その読書感想文について、読書評論家イ・グォヌ氏のライティング講座を彼女が受講したときに、次のように説明されたことを紹介しています。
『読書感想文というのは本来、読んだあとに抱いた感情や感想、感動なんかを記録するものですよね。本の内容や要約を中心に書いていくのではなく、読んだ者として、本を読むことで変化した感情や自身の内面について書けばいいのです。本が主人公ではなく、本を読んだ者が主人公になるように書くということです。』
これまで私は読んだ本の感想をいくつも書かせていただきましたが、「本が主人公ではなく、本を読んだ者が主人公になるように書く」という視点で書いていただろうかと、今猛省しているところです。
最後に、
『必要なときに心のスイッチを押して、自分を力づけてくれる物語がどっさり出てくる「物語の自販機」をみんなが自分の中にひとつ持つといいと思う』
という彼女の考えには、心から共感しました。
このエッセイを書いたファン・ボルムさんに心から感謝です。また、彼女の書いた小説を読んでみたいと思います。
Posted by ブクログ
気になっていた作家さんだったこともあり、毎日少しずつでも読書の習慣をつけたくて手に取りました。
ファンさんの本への深い愛が詰まったエッセイで、圧倒的な読書量に感化されながら読み進めるうちに、読みたい本リストがどんどん膨らんでいきました。
Posted by ブクログ
ふらっと暇つぶしに寄った本屋さんで見つけ、装画に惹かれて手に取り、パラリと目次を見てビビっときて、すぐにレジへ。
あっという間に読み終え、付箋だらけに。
とっても大切な一冊になった。
本の楽しみ方や向き合い方、自分と本の距離感、本の存在‥そんなことを改めて考え、また、自分にとっての読書のあり方を答え合わせしていくような、そんな一冊だった。
決して堅苦しい読書指南書的な書き方ではなくて、読書の魅力や価値を優しく伝えてくれ、良く本を読む人にとっては共感したりさらなる読書ステップの参考になるだろうし、読書が苦手な人にとっては、だから本って大事なんだな!って気付かされるのではないかと思う。
著者のファン・ボルムさんが影響を受けた書籍がたっっっくさん出てくるので、読みたいリストもずいぶん増えた。
(巻末には参考文献として137冊の書籍が紹介されてるのでいつでも見返せて便利)
色んな考え方や感性の深みを味わうためにも古典作品を読みたいと思った。これはこの本から得たことの一つで、今年の読書目標に追加した。
こうして本が新しい本を呼び寄せることも多く、
読書って広がっていくなぁと楽しくなる。
作中に、『この世から本がなくなったら』という章がある。
もしこの世に本が無く、人が読書をしなくなったら、新たな発見や知恵を得る機会を失い、“個人の経験の中だけ”で生活するが故に自分の経験以上のことを想像しづらくなる。
個々の経験を人と共有することはできても、“解釈の枠組み”や“洞察”が不十分なために断片的な感想しかやり取りできない。
というようなことが書かれていてとても納得し、
私が考える読書の価値と必要性はここにあるなぁと再認識できた。
物語に登場するあらゆるタイプの人物や、様々な状況、心情、環境、国、文化を読み、自分がどう捉えるか、あるいは何と重ねたり比べてみるか。読書を通してそうした思考の機会が増え、感性が磨かれるのだと感じる。だから、自信を持つことや諦めない心など、人間力みたいなものも得ることができるのかなって。
(あの本のあの人物がこうだったから、私もがんばる。私もやってみよう。私なんてまだまだ幸せだな…とか、良く思う)
“解釈の枠組み”や“洞察”を豊かにしてくれるとすると、読書は対人並みに重要なものだと思う。
読書の可能性を広げてくれたこの本に出会えてよかった!
ただただ読む!のもアリだけれど、これからはもっと、読み方や楽しみ方にもこだわっていきたいと思う。
こうして感想を残し、自分なりに言語化することもその一歩かと思うのでマイペースで続けていく。
Posted by ブクログ
年末にかけ「毎日飲みます」状態に陥り、アルコールにより読書ができなくなる私には何かと辛い季節だ。断れば良いのだが、交友も大切かと思い、流される。昨年と変わらぬ景色。
酒のせいではなく、読書をしたものを読んだ端から忘れていく。「毎日読みます」しかし「すぐ忘れます」。この悩みは世界共通のようで本書でも吐露される。
ー 読書後の忘却。読書が虚しく感じられる理由だ。先週読んだばかりの本の内容も覚えているような、いないようなありさまだし、一年前に読んだ本は、タイトルも内容も霧に包まれたようにぼんやりしている。どうせこうなるのなら、いったいなぜ本を読まねばならないのか。時間ももったいないし、虚しさだけが胸に残る。
だが福音。こんな話がある。
ー 「君は君の人生を変化させなければならない」それが、パトリック・ジュースキントが結論づけた、わたしたちが本を読む理由だ。わたしはその文章を頭の中で何度もつぶやきながら、もし一冊の本を読む前の自分と読んだあとの自分が少しでも変化していたなら、たとえその本を読んだことすら覚えていなくても問題ないのだと自分を慰めた。
覚えるためではなく、変化するため。
本書は100冊以上の本に触れながら、読書と向き合う本。韓国人独特の視点や共通するものへの親しみを感じながら…日々の変化を求めて。
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韓国の本をはじめ世界中の本が紹介されていて、本作の中の引用を読んで、興味が惹かれるものが多々ありました。
「本を読むのに良いタイミングは『いつでも』だ」
日本の読書指南書とはまた雰囲気の異なる奥深さがあって面白かったです。
Posted by ブクログ
非常にためになる韓国人による読書指南書です。
時代を問わず国を問わず、53篇のエッセイのなかに響くものが多々あった。巻末の参考図書リストあるのもいい。
Posted by ブクログ
『ようこそ、ヒュナム堂書店へ』の著者、ファン・ボルムさんの読書エッセイの改訂版があると知って、早く読みたいと思ってました。
題名がいいですよね。
読書は自由だから、どんなふうに読んでも、その人となりが現れます。
なぜ、本を読むのか、読み終わって感じる満たされた気持ち、新しい本を手に取った時のワクワク感。なかなか読み進められない本へのもどかしさ。いい感じの本屋さんを見つけた時の高揚感。
本への愛情がたっぷり語られていると感じました。
各章に著者が愛する作品が紹介されていて、作品は読んだことのないものばかりだったけれど、引用された一節に心が動かされます。
紹介された作品は外国のものばかりで、難易度が高そうと思ってしまうものばかりだったけれど、何冊かは一度読んでみようかと思わせてくれます。
Posted by ブクログ
読書好きならうんうん、と頷きながら読むだろうし、読書の習慣がなくても本作のどこか1つの章を読むだけで読書を始めてみようかなと思う1冊なのではないかと思った。
共感することもされることもどちらも大事なこと、という1文が印象的。そして自分は狭く浅くの読書になりがちなので、広く読んで深く読む読書を始めてみたいと思う。
Posted by ブクログ
気になった本があると並行して本を読み始めてしまうわたしの癖も、そんな読み方もアリだよねと肯定してくれた気がして、ますます読書が気軽なものになれたのかなと思う
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全体を通して友だちを見つけた感じ。夜寝る前の読書の時間に、この時間も誰かと繋がってるんじゃないかと思っていた感覚を、この本を読んでいるときも同様に感じた。
「頭も心も重い日には、負担の少ない薄い本に手が伸びる。」私も本を読めない時があって、それで挫折しちゃうのは勿体無いなと思うし、やっぱこういう人もいるんだと思った。
「ほかの誰かを本が読みたいという気持ちにさせながらも、自身は本を読むことにしか関心がない」読んでいる人を外から見た表現。その点に魅力を感じていたが言語化したことがなかったことに気づいた。
「本を読んで強くなりたい。より揺らがない、よりどっしりした人間になりたい。」この本のコピーを書くとしたらここを使う。訳者後書きにも使われていた。なぜ彼女が本を読むのか、がこの一言に凝縮されているし、十分に共感できる。
「彼は絵を眺めていたけれど、実際には自分の中の「動揺」を見つめていたのだろう。」自分の中の変化を見つめていると似た考え方。そのもの自体が大切なのではなく、なぜか惹かれる自分を考察する楽しさ。
「天真爛漫でありながら洗練されていて、言葉や行動に過不足がなく、どんな場所でも自然に振る舞える人物。」
こうなりたいと言える。いい言葉。
「優れた本は、わたしたちの共感能力を増幅させ、すべての人間をつなぐ。」私が受け入れる力を身に付けたのは本のおかげかもしれない。
「本を読む人がとても非現実的に見えることがある。」私の非現実性も物語のおかげ。現実だけが世界だけではないと知っている喜び。希望。
「私たちが目にするものはすべて星の一部ってこと。素敵じゃない?」本読んでキラキラした人も好き。
Posted by ブクログ
読書に関するエッセイ。語り口が優しく(ようこそ、ヒュナム洞書店へと一緒!)、読書に対する愛が深くて面白かった。
読書をするときの不安?悩み?戸惑い?に対して私はこうしているという事が書かれていたり、たくさんの本から引用がされていたり、でも押し付けとか上から目線という感じがせず好感を持てた。
後半は若干流し読みになってしまったけれど、前半はメモをしながら読むほど良い言葉がたくさんあった。
◯読書後の忘却
読書が虚しく感じられる理由
「文学的健忘症」
パトリックジュースキント
読書においては「記憶」ではなく「変化」がもっとも重要だ
◯読んだり書いたりするときに感じる快楽は、時とともに大きくなっていく。夕立のように一気に降り注ぐのではなく、霧雨に服が濡れていくようにじわじわと染みていく。
◯今読めなくてもいつかは読める。
今は自分の関心や好奇心がその本を受け入れようとしないだけなので、今読んでいるその本は一旦手放してもいい。状況が変化し考え方が変われば読みたいと思う本も変わってくるので、その時また手に取ればいいのだ。
◯その程度の縁
人と人の間にあるように、本と人の間にもあって良いはずだ
◯古代哲学者セネカ「人生の短さについて」
誰も自分の金を分け与えようとはしないのに、自分の人生はいかに多くの人々に分け与えていることでしょう。人は財産を守ることにかけてはケチくさいのに、時間を浪費することには鷹揚です。こと時間にかけては貪欲であって然るべきなのに。
◯ゲーテ「ファウスト」
歳ともに安定するどころか、ますますさまようばかりの人生に
人間は努力する限り迷うものなのだから
◯一日一日が集まって人生を成すという事実にあらためて気がつくと、再び、一日単位の目標に熱中することができる。
一日をどう過ごすかという問題は、私たちの人生をどう過ごすかという問題を意味する。
◯孔子「論語」
もし富が、求めて得られるものならば、行列の露払いという卑しい仕事でもやろう。だが、求めて得られるものでないなら、自分の好きなことをしよう。
◯文章の収集
一冊の本にできないことを一つの文章がやってのけることもある。
何だか集めたのは自分への言い訳ばかりのような気もするけれど、こういう文章に出会えて幸せだ。
Posted by ブクログ
スマホばっかりの生活で、読書なんて全くしなくなった私に改めて本ていいなーと思わせてくれて本です。そもそもなんで本なんて読むのか、自分の読書方法はあってるのかとか、読書するとふと思うことについて書いてあって、読んでいて共感、安心できることが多くあった。また、筆者のおすすめの本も多く紹介されているので、もっともっと本が読みたくなった。
Posted by ブクログ
とても面白い読書エッセイでした。
本との付き合い方を、改めて考えさせられました。
早速、タイマー機能のアプリをダウンロードしたし、本スタグラムもチェックしました。
たくさんの本が紹介されていて良かったです。おかげで、新たに気になる作品が4つ見つかりました。
この本を読んで一番思ったのは、出版関係の仕事をしているわけではないのだから、速く読むより、深く多く感じるのを優先しようということ。
あと、批評家ではないのだから、感想はもっと自由に書こうということです。
それぞれの人に、本を楽しむ方法があっていいと思います。
とても素晴らしい作品でした。
Posted by ブクログ
少し飛ばしながら読んだけど、ファンドルムさんの文章はとても好き。
・もし一冊の本を読む前の自分と読んだあとの自分が少しでも変化していたなら、たとえその本を読んだことすら覚えていなくても問題ないのだ
・誰も自分の金を分け与えようとはしないのに、
自分の人生はらいかに多くの人々に分け与えていることでしょう?
人は財産を守ることにかけてはケチくさいのに、時間を浪費することには鷹揚です。
こと時間にかけては貪欲であって然るべきなのに。(セネカの【人生の短さについて】より)
・わたしたちは他人の人生をよく知らないので、その人の人生で一番目立つ面だけに注目しがちだ。
Posted by ブクログ
本著は忙しなく生きる私たちに寄り添った優しい本である。
読書体験は私たちに多くの恩恵と知識と知恵を与えてくれる。現代では世界中の本がネットで購入でき、紙でもデジタルでも音声でも手に入ることができる。読み方も多様化し、本との向き合い方も同時に多様化している最中なのだろう。
さて、本著は「読書はあなたのペースで読めればいいんです」と説く内容である。毎日読むこともいいが、時間をおいて読むのも良いと私は思う。読書は速読に向いていているものと、時間をおいて読むこと、何回も読み直す本と大きくわけて3種類あると私は思う。読書体験は素晴らしいものだ。古今東西の古典(数千年前)を書いた著者の声を聴き対話することができ、小説では、その時代に活躍した作家と対話することができる。
読む時間がない。多くの人が悩みの種であり、読書しない層にも一つの壁であろう。だが、どのジャンルでもいいから、自分が気になった本に手をかけ「1分の隙間時間から読み始める」ことをおすすめする。
その数行が私やあなたの人生を変えるかもしれない。
「読者」へ優しく寄り添う素敵な本である。