あらすじ
時槻風乃は夜歩く。共犯者になるために――。
時槻雪乃のクラスメイトの古我翔花は、いつも雪乃の家で泣いていた。死んだ母親の形見の指輪を守りたいが、継母からの陰湿で残酷な嫌がらせにあい、悔しさと悲しみに明け暮れていたのだった。
そんな時、ゴシックロリータに彩られた人形的な美しさを持つ風乃に出会い――蒼衣が雪乃に出会う三年前、風乃が生きていた頃に起きた惨劇(「金の卵をうむめんどり」)他、イソップ童話を元型とした二篇に加え、画家・八純啓と騎士団の邂逅の物語を書き下ろし収録。完全版・第4巻。
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Posted by ブクログ
遅ればせながら、イソップ寓話の成り立ちが紀元前なのをこれで知りました。
そんな昔からあったのか……
今回はいつものがっつり長編ではなく、雪乃さんがさくっと炎でやっつけてしまえる程度の、そして蒼衣くんの力を借りなくていい程度の規模のお話。
もしくは風乃さんの「生前」の、そして「きっかけ」になったであろう過去話も。
生前という表現にちょっとばかり抵抗があるが、それはさておき。
お姉さん、今も存在感がでかいから。
イソップ寓話の様々な物語が登場。
かといって泡禍は泡禍なんで、割とえげつない現実をつきつけてくるという。
ある少女の占いも、ある少女の親の再婚によるごたごたも、そしてある少女の恋愛でさえ、泡禍が絡むとろくなことにならない。
最初の話は、頬を貫通する怪我はしたけれど、後は残らないとの話だったので本当によかった。
ただ他二編はちょっとしんどい。
軽音部を巡る恋愛は、メインの子に感情移入というか同情しづらく、亡くなってしまった子の方に同情を覚えた。
例え真相がどうであれ、個人的には助けられた方の子を「アリとキリギリス」の「アリ」とは認めたくないなと感じた。
恋愛面でも努力が必要なのは分かるし、彼女も様々な場面で努力しているのも分かるが、友人を死に追いやっておいて成功者としてこれからも生きていくのを受け入れられないのは、多分自分が亡くなった子の方に近い人間性だからだろう。
一番つらいのは最後の継母との音話。
雪乃さんがまだ穏やかな頃の過去話。
これもう継母がやってることえげつなくて、戦うためには怪物にならないといけなかった少女の物語。
でも、その少女の努力は何も生み出さず、最後の一撃すら軽いもので、ただ彼女が命を散らして終わるという。
しんどいって。
短編ながらしんどいって。
つい彼女に感情移入してしまうので、どうかあの両親が彼女がつけた傷以上の報いを受けますようにと願ってしまう。
多分、読んだときの自分の精神状態がよろしくなかった気がする。
分かっているが、落ち込んでいるときによむさくひんではない。
それでも面白いんだよなあ。
そう評するのは不謹慎かもしれないが。
書き下ろしの画家との邂逅話も興味深かった。
蒼衣くんは今後どんな地獄を見るのだろうか?