あらすじ
今すぐここから逃げ出したい。でも、どこへ?
大手銀行の一般職として働く平田さやかは、念願のタワマンに住みながらも日々ストレスが絶えない。
息子のお受験、最上階に住む医者一族との関係etc.
タワマンには3種類の人間が住んでいる。資産家とサラリーマン、そして地権者だ――。
同じタワマンに暮らすからこそ、低層階と高層階、子供の成績、学歴、年収など、他人と比較して羨むことを止められない。
世間体に翻弄されるさやかは幸せを見つけることができるのか?
文庫書き下ろし短編のほか、単行本時の特別短編も収録!
・単行本カバー裏特別短編「高杉隆の初恋」
・単行本電子特別短編「目黒奈々子の後悔」
・書き下ろし短編「伊地知琉晴の進路」
感情タグBEST3
Posted by ブクログ
下層階に住む住人は上層階の人間に憧れ、またお受験戦争もあり、悩み苦しみながらタワマン生活を送る、、、というお話(?)。
夫婦の視点から、高層階住人の視点へ。視点を変えながら季節は進み、物語が進行していく形で読みやすかったです。
低層階住人だけでなく、高層階住人にも、ひいては世の中ありとあらゆる住人は悩み苦しむことがあると思わさせられましたな。
広くとらえれば、人は何のために生き何を成すべきなのかを問う、人生訓作品とも言えよう。
Posted by ブクログ
どんなに羨ましく見える人でもその人にしかわからない地獄がある。羨んでも仕方ない。自分の人生に集中しよう。情報がリアルで現代の東京の歪さがよく表現されていた。
Posted by ブクログ
優越感とか妬みとか嫌な感情を持つことはあるけど、それぞれの人の角度から見ると各々悩みがあると気づける本やった
ネガティブな感情を他人に対して持った時には、一度立ち返って相手の立場で考えてみようと思った
Posted by ブクログ
「タワマン文学」
というジャンルができているらしい
タワマン文化は現在進行形
およその街の出来事と読む方もいれば
その渦中の方も居ることでしょう
タワマンの入居者は 資産家、パワー系サラリーマン、そして地権者
子供の中学受験の葛藤を中心に
子供達の不安、母親達の苦心、父親達の苦悩
そして 本音と未来
楽しく読ませていただきました
小説はタワマンが舞台といえど
地方都市でも似たようなマウント合戦はあります
このマンションの入居者達は、それぞれ
差こそあれ自分達の根ざす生き方を見つける事ができたようです
私は、切り替えの早かったお祖母ちゃんが好き
Posted by ブクログ
タワマン住まいの三家族。中学受験息子を交えて
"何でも態度や声に出すのはよろしくない、もういい歳した大人だから"というフレーズが多用される
だから夫婦が三者三様、他人に見せない苦悩があり、隣の芝は青い。羨むあの人もどこか惨め
青春時代に語り合ったこと、もしもあの時、私の代では出来なかったことを、子に託す滑稽さ
この小説は章ごとに大人が心の中で罵り僻み、全体的に憂鬱。人物設定と心理変遷が薄っぺらく想像の域を出ない
最後の素直な答辞に涙がこぼれた
十二歳の今後の人生なんて、分からない。まだ決められない
大人になっても人生なんて、分からない。まだ変えられる
埼玉出身銀行員共働き夫婦と叱咤激励一人息子
群馬飛び出し医者玉の輿最上階専業主婦と塾トップ息子
Posted by ブクログ
東京という大都市の中で家族を育てる難しさが何となく伝わってきた。
さやかが綾子に対して抱く劣等感は分からなくもないけど、綾子も綾子でプレッシャーがあったりする。人間は誰しも苦悩を抱えながら生きているんだよなー。そう考えると劣等感なんてものは手放して生きていけると楽だよなぁ。
あと、自分も綾子のように地方から上京してきた身だから、閉鎖された町でこのまま過ごすのが嫌だと18歳で上京した話とか、同窓会の場面らへんは共感する部分も少しあった。
都会にいると、田舎にたまに行きたくなる。逆もまた然り。結局はないものねだりなのかもなー
Posted by ブクログ
生まれも育ちも関西の私は、MARCHと聞いてもすぐにわからなくて、クイズのように大学の名前を考えながら読みました。なるほど。
本作自体がマウントを取りにきているような気がして、登場人物の誰も好きになれないと思いつつも、誰の気持ちもちょっとわかる。
要は、彼や彼女たちと同じところがある自分のことが嫌なんですよね。嫉妬、焦り、優越感、はたまた劣等感などなど、人には知られたくない気持ちを隠そうとする自分のことが嫌で、本作を読むとそれを見せつけられている気がするのだと思います。
タワマンって、凄い舞台になるものだなぁ。
Posted by ブクログ
タワマンの階数だったり学歴だったり出身だったり、様々なプロフィールをまわりと比較して劣等感や優越感に浸ってしまい、結果がんじがらめになっていく人間の性をテーマにした小説。
読んでいて、現代って本当こういうのに溢れているよな〜と共感。かくいう自分もそうだし、歳を取れば取るほどそういう傾向が強くなっていく気すらします。そんな中で、登場する子供達がしがらみを破って進路を決めようとする姿は眩しく見えます。自分の軸をしっかり見定めたいと思わされるいい物語でした。
Posted by ブクログ
図書室。司書さんのおすすめ。
人には人の地獄があるよな〜というお話。タワマンのことはよく知らないから興味深かった。どの人の気持ちも、よくわかるなあ。