【感想・ネタバレ】赤い月、廃駅の上にのレビュー

あらすじ

廃線跡、捨てられた駅舎。赤い月が昇る夜、何かが起きる――。17歳の不登校の少年が一人旅で訪れた町はずれの廃駅。ライターの男と待合室で一夜を明かすことになるが、深夜、来るはずのない列車が不気味な何かを乗せて到着し……(表題作)。温泉地へ向かう一見普通の列車。だが、梢子は車内で会うはずのない懐かしい人々に再会する。その恐ろしい意味とは(「黒い車掌」)。鉄道が垣間見せる異界の姿。著者新境地の鉄道怪談!

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Posted by ブクログ

ネタバレ

怪しげな表紙の写真とタイトルに釣られて読んでみようと思った作品。25ページ前後の短編が並び、短い時間でも気楽に読める構成となっている。
鉄道に特化したミステリーは見かけるが、鉄道の怪談集というのは珍しいのではないだろうか。各作品は、テーマだけでなく内容にも駅や列車がしっかり意味を持って絡んでいるので、見かけ倒しでもない。
少し読めば「これ、作者はテツか?」と思うような、本来不必要な鉄道用語が顔を出すが、門外漢お断りなどということは全くなく、面白く読める作品ばかりで、さすがに著名な著者というところ。

著者については名前はよく見かけるが、文学賞の選考委員や解説者としての印象が強く、現役の作家というよりも有識者という認識であった。
著者の長編を読んだことはなく、「小難しくかったりしたらイヤだな」と思いながら読み始めたが、最初の話を読み始めてそれが杞憂だとわかった。

最初の『夢の国行き列車』は怖いというより切ないような寂しさを感じる短編。主人公の幸せと『戸倉』の不幸が対照的で、その幸せについても過去と現在という時間軸で対照的(それゆえ主人公は今の幸せに感謝し、一方でそれが失われることを危惧もする)な、どこにでもありそうな日常生活の場面が続く中に急にポッカリと怪異が口を開ける。そんなお話だった。

短編はどれも駅や鉄道にまつわる怪異譚ではあるのだが、「人間を信じてみよう」というような、ほんのり心が温かくなるようなオチの話が多い。そう思っているとヒヤリとするものも混ざっている。なんとなくもの寂しいような郷愁を誘う感覚もある。
どれも気持ちの良い余韻が穏やかに尾を引く感じの、心地よい読後感で、後味の悪いものはほぼない。
そう思うと『あとがき』で著者が『すべてが怪談となっているかどうか』と述べているように、怪談集や怪異譚というより幻想小説集の方が近いかもしれない。異質な物があるとすれば表題作の『赤い月、廃駅の上に』で、これはしっかりとしたホラー、怪談といって間違いがない。
また、著者の本業ミステリ作家を感じたのは『海原にて』で、「どこに鉄道が?」と思っていたのが終盤ひっくり返る、叙述トリックのような書き口で完全にだまされてしまった。

『あとがき』も本編同様に読みやすい文章で、内容も本書作品への感情が素直に書かれていながら、謙虚でもあって好感が持てるものだった。

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2026年07月01日

Posted by ブクログ

ネタバレ

軽めのホラー。『深泥丘』から続けて読むと少し物足りない感じ。好みが別れる感じはあるかな。表題作のような怖い感じのホラーが好きなんで。とりあえず読みやすくて楽しめる作品。こういうのもたまには良いかな。

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2025年12月11日

Posted by ブクログ

ネタバレ

鉄道をモチーフに綴られた怪談集。
王道の幽霊ものからホラー要素の強いもの、ファンタジックなものなどバリエーションに富んでいる。
それらに「鉄道」という共通項があるからか、不思議とまとまった印象の残る一冊だ。

中には大海原、船上が舞台に船の怪談話が語られる話もある。どこで鉄道とつながるのかと思ったら、ラストに登場したファンタジックでSFっぽくもあった。
思えば、幽霊という過去にとらわれたままの存在に時を超えて遭遇するのだから、怪奇現象も幽霊もSFの要素があるのかもしれない。
個人的に「最果ての鉄橋」の三途の川を渡るのに舟からフェリーになり、輸送力をあげるために鉄道になったという設定が好き。鉄道好きならではの発想だと思う。

建物が少なく、車窓からの景色もよくわからない夜に人気の少なくなった列車に乗っていると異世界に行ってしまうのではないかという気分になる時がある。
あの世や物の怪の世界など、鉄道というのは異世界とこちら側をつなぐツールとしてとても魅力的なのだな、と改めて感じられた作品だった。

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2019年03月30日

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