【感想・ネタバレ】或るろくでなしの死のレビュー

あらすじ

良識を示そうとした浮浪者が誰にも相手にされずに迎える「或るはぐれ者の死」、他国で白眼視されながら生きる故郷喪失者の日本人が迎える「或る嫌われ者の死」、自らの欲望に女の子を奉仕させようとしたくだらない大人が迎える「或るろくでなしの死」、過去の栄光をよすがにダメな人生をおくるぼんくらが迎える「或る英雄の死」……。本人の意志や希望と関係なく不意に訪れる7つの<死>を描いた傑作短編集!

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Posted by ブクログ

ネタバレ

やっぱ、平山先生は胸糞悪い話を書いたら突き抜けてるなあというのが正直な感想。
中学時代から結婚するまでは、胸糞の悪さに感心しながら読んでいたものの、結婚し妊娠を経て臨月まで突入してから平山ワールドに触れると、不思議なことにこれまで褒め言葉として「胸糞悪い」と感じていたものが、生理的に受け付けないタイプの「胸糞の悪さ」に変わっていた(特に子供が絡んでくる系の話)。

(追記)ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
特に、読んで半年以上経つのにいまだに引きずっている話が「或るごくつぶしの死」。
自分の欲しか考えない主人公のクズと頭の弱い女の間に、望まれない妊娠を経て生まれた子の悲劇。読んだ時がちょうど臨月で、めちゃくちゃ病んだ。出産して子育てしてる時も、ちょくちょく思い出して病む。このクズも真性のクズなら「地獄に堕ちろ!死ね!」と最後まで相容れない人物として処理できるけど、中途半端に子供に情があり、最終的に一生物の罪悪感と十字架を背負うことになる。その負の感覚だけは読者も理解できるので、ストーリーで病んで、無駄に主人公の負の感情も背負って…と、とにかくしんどい。
なにより、現実でも普通にこういうこと起こってそうなのが、もう悲しい。
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これは当然といえば当然なのかもしれないが、人間のホルモンの働きの凄さをある種の生命の神秘として目の当たりにしたし、何よりライフステージの変化によってここまで評価が変わってしまう作品を描く平山先生は、本当に化け物じみている(褒め言葉)なあと感じた。
この作品、独身時代に読んでいたらどう評価したのか、人生の終わりを迎えつつある際に読んだらまた評価が変わっているのか、そういうことが気になる作品だった。
でももう、2度と、読みたくない。

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2024年11月05日

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