あらすじ
良識を示そうとした浮浪者が誰にも相手にされずに迎える「或るはぐれ者の死」、他国で白眼視されながら生きる故郷喪失者の日本人が迎える「或る嫌われ者の死」、自らの欲望に女の子を奉仕させようとしたくだらない大人が迎える「或るろくでなしの死」、過去の栄光をよすがにダメな人生をおくるぼんくらが迎える「或る英雄の死」……。本人の意志や希望と関係なく不意に訪れる7つの<死>を描いた傑作短編集!
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Posted by ブクログ
色んな「死」が描かれてる小説。
とくに印象に残った話の感想を書きます。
「或る愛情の死」
母親の異常な愛情。最後の母親の行動には鳥肌が立ちました。よくこんなの思いつくなあ作者、、と、、。
でも1番日常でありえそうな話でもあるなあと。
この家族はこれから地獄のような毎日を過ごしていくんだろうな、、と考えたら苦しくなりました。
「或るろくでなしの死」
動物を殺しまくる少女。その理由が悲しくて辛かった。この話は少女を取り巻く世界の“善”が死ぬ物語、と作者があとがきに書いていて、なるほどなとなった。周りの世界が死んだことで少しでも救われているならいいな。
この話は映画化できる気がしました。長編でみたい。
「或る英雄の死」
この話は作者が何回も書き直した話と書いてありました。書き直す前も読みたかったなあ。
老婆の家で出会う双子の男。平山夢明の作品でたまに出てくるこういう話の通じない図体のデカイ障害者みたいな(最低でごめんなさい)キャラクター大好きです。老婆の作った酒“チョルミル”飲みたくないなあwwwどんな酒なんだwwwww
この話は笑えるところもあったけど、やっぱり胸糞悪い結末だし、老婆の家に向かってからが地獄。行かなければよかったのにね、、としか、、。
Posted by ブクログ
"先の読めない物語。死をテーマにいくつももやるせない、不条理な世の中で起きる死。
暴力の洪水を浴びつつ、カタルシスを感じさせるものもある。
誰にでもお勧めはしない。読者を選ぶ小説だ。"
Posted by ブクログ
どの話もおもしろかった。
生物的な死ばかりが描かれているわけではない。
そのパターンがあることに気づくと「次の話はどっちだろう?」と思いながら読んでいた。
それもこの本の楽しみ方のひとつかも。
特に好きなのが
『或る嫌われ者の死』
『或るごくつぶしの死』
『或る愛情の死』
『或る英雄の死』
の四編。
『或る嫌われ者の死』はただただ切ない。
Posted by ブクログ
やっぱ、平山先生は胸糞悪い話を書いたら突き抜けてるなあというのが正直な感想。
中学時代から結婚するまでは、胸糞の悪さに感心しながら読んでいたものの、結婚し妊娠を経て臨月まで突入してから平山ワールドに触れると、不思議なことにこれまで褒め言葉として「胸糞悪い」と感じていたものが、生理的に受け付けないタイプの「胸糞の悪さ」に変わっていた(特に子供が絡んでくる系の話)。
(追記)ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
特に、読んで半年以上経つのにいまだに引きずっている話が「或るごくつぶしの死」。
自分の欲しか考えない主人公のクズと頭の弱い女の間に、望まれない妊娠を経て生まれた子の悲劇。読んだ時がちょうど臨月で、めちゃくちゃ病んだ。出産して子育てしてる時も、ちょくちょく思い出して病む。このクズも真性のクズなら「地獄に堕ちろ!死ね!」と最後まで相容れない人物として処理できるけど、中途半端に子供に情があり、最終的に一生物の罪悪感と十字架を背負うことになる。その負の感覚だけは読者も理解できるので、ストーリーで病んで、無駄に主人公の負の感情も背負って…と、とにかくしんどい。
なにより、現実でも普通にこういうこと起こってそうなのが、もう悲しい。
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これは当然といえば当然なのかもしれないが、人間のホルモンの働きの凄さをある種の生命の神秘として目の当たりにしたし、何よりライフステージの変化によってここまで評価が変わってしまう作品を描く平山先生は、本当に化け物じみている(褒め言葉)なあと感じた。
この作品、独身時代に読んでいたらどう評価したのか、人生の終わりを迎えつつある際に読んだらまた評価が変わっているのか、そういうことが気になる作品だった。
でももう、2度と、読みたくない。
Posted by ブクログ
ホラー、グロ、なんでもこい!の物好きな私でも1話ずつしか読めなかった本当に問題作。友達に読んでることを知られたくないし、絶対に身内の誰にも読んで欲しくない作品。けど、嫌いじゃないんだよな〜こんな気分の悪くなる小説生み出してくれてありがとうと言う気持ちになりました。でももう読みたくない笑
Posted by ブクログ
個人的・夏のホラー特集。マストリードから。7編から成る短編集。氏の著作のえげつなさはそれなりに味わっているので、本作も、想像通りのグロさ。期待以上!ってならないところが、なんかもどかしかったりする訳だけど。
Posted by ブクログ
デブを捨てにの方が面白い。冒頭のホームレスが子供の死体を拾うも誰からも信頼されず全てを失う話と赤ん坊を見捨てて人でなしに転落する話とネコにフェラチオさせて霊的に破滅する話は戦慄モノ。
Posted by ブクログ
自分に子どもができてから、変態が出てくるような作品は、読みたくなくなって、本棚に眠っていたが、思いついて読んでみたら、やっぱり気分が悪い。
今の私には受け入れないが、傑作だとは思う。
平山さんは、文章が上手でもなく、ストーリーはありきたり。
でも、勢いと描写でとにかく持っていく。
ひどい話だけど、悲しくて笑わせる。
ダイナーもだけど、殺し屋と女の子の話は得意で、素晴らしいものを書かれますな。
Posted by ブクログ
短編集。
『嫌われ者』『ごくつぶし』『愛情』『ろくでなし』『英雄』は面白かったが『はぐれ者』『からっぽ』はあまり好きじゃないかな。とはいえ7本のうち5本も面白かったら大満足ですね。
Posted by ブクログ
平山夢明著の短編集。過去にいくつか彼の作品を読ませて頂いているが、今回も案の定描写が惨いが爽やかという一見矛盾している世界観を見事に描いている様は流石と言うべきであった。
解説文にも書いてあったが、決して笑える描写はないのだが、何故だか非常に笑える作品。ただ、今までの平山夢明の本に比べて惨さの部分に焦点を当てすぎて肝心の内容や愉快さが抜けているような気がした。所々、流れが掴めなくなる部分もあり(これは読み手である私自身の読解力の問題かもしれないが)、過去の作品を読んでいる身としては物足りない感じがした。