あらすじ
列島各地で覇権が争われていた戦国時代。隣接する駿河今川・甲斐武田・相模北条の大名家は、3国間で和平協定を締結。互いの嫡男の正室に相手の娘を迎えて同盟の証とした。自国の領土拡大を目指し、後顧の憂いを無くすという利害の一致により、東海・中部・関東に広がる巨大政治勢力が出現したのである。しかし「親子兄弟同然」の18年に及んだ攻守軍事同盟は、終焉へと向かった――
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Posted by ブクログ
これはめちゃくちゃ面白い。三国同盟が東国戦国史に大きな影響を与える存在であり、そもそも3か国の同盟がない上にそれぞれに縁組しているという特異さもあることはなんとなく認識していたが、改めて明確にしてもらった。三国同盟に軸を置いた歴史の著述という今までにない試み。
まず駿甲相という順に違和感があったが、冒頭で朝廷や幕府の捉えていた家格順ということで納得したしここからすでに目から鱗。
そして丁寧に一次史料を用いて、不明な部分や推測部分も明示しているのが学術的な誠実さを感じる。ふりがなも初出の単語ほとんどに施されているし、書状などは原文と現代語訳を併記しているのもありがたい。
信玄が織田家との関係を構築する過程や氏真との関係が破綻する過程なども勉強になった。なぜ信玄が死ぬまでなぜ勝頼を跡目につけることができなかったか、義信幽閉から死ぬまでの2年間の躊躇などからもわかった気がした。
政治ってのは偶然の積み重ねで、氏真は愚将云々よりもつくづく不運だったというような記述があり、至言だなと思った。というか信玄氏康2人がかりで苦労した上杉謙信の存在デカかったな。