【感想・ネタバレ】留学のレビュー

あらすじ

カトリック神学生の工藤、日本最初のヨーロッパ留学生である十七世紀の荒木トマス、仏文学者の田中の三人を主人公とした『ルーアンの夏』『留学生』『爾も、また』の三章から成る。時代は違っても、三人の留学生の悩みは共通であり、それぞれにヨーロッパ文明の壁に挑んで懸命に生きるが、宗教や文化その他の精神風土の絶対的な相違によって空しく挫折してゆく姿を描く力作。

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Posted by ブクログ

ネタバレ

フランスやイタリアに留学する話をまとめた3本仕立ての小説。1本目はフランス人の押しつけの善意と日本に対する無理解とにうんざりしながらもそれを正す勇気も語学力もないという「ルーアンの夏」、2本目「留学生」は17世紀に実在した荒木トマスという司祭について書いたもので、留学ののちキリシタン弾圧化の日本に帰って棄教した顛末を想像で書いているがこの「転んだ司祭」というモチーフは「沈黙」に繋がることがはっきりわかる。3本目「爾も、また」では仏文学者の田中が渡仏するもフランスにも現地の日本人社会にもなじめず孤独に結核にかかって挫折する様子が書かれる。
どれもとにかく暗く息苦しい。遠藤周作の実際の留学経験をもとに日本人がヨーロッパを理解することはできないという信念が存分に書かれていることは分かるのだが、坦々としてずっと暗いので読んでいて疲れて嫌になってしまった。留学経験があればまた違った読み方ができるのかもしれない。

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2025年06月30日

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