あらすじ
英情報機関の新人スパイ“エマ”に初の重大な指令が下る。亡命したロシア人科学者夫妻の一人息子、医師のマイケルを単独で保護せよ。だが現在、ロンドンの監視カメラ・ネットワークはロシアの諜報員にハッキングされている。二人はカメラを避け、電話もテクノロジーも使わずに敵の拉致・暗殺チームの追跡をかわしながら市街地を縦断し、自力でMI6本部にたどりつかねばならない…。孤立無縁、実行不可能にも見える重大任務の行く方は? 英国推理作家協会賞スチール・ダガー最終候補。
...続きを読む感情タグBEST3
このページにはネタバレを含むレビューが表示されています
Posted by ブクログ
何気なく書店で買った本ですが、当たり。
ルメートルに続いて読みやすい日本語訳で、個人的にオススメです。
保護対象のマイケルがたまにやらかしてエマの足を引っ張ってヤキモキさせられるけど、それがかえって非日常に巻き込まれた一般人の描写にリアルさを加えてくれてます。
目的地へ移動するまでの間にタフになっていき、絆が芽生えていく2人が今後交わらないことが、互いにとって幸福であり、不幸でもあります。
個人的に、マイケルを送り届けた後の展開のほうがドキドキしました。スカッとする結末を迎えるのか、それともエマや<エージェント>にとって大きな不幸が訪れるのか。
この感覚に陥ったのは、マイケルの保護が完了するまでに、物事に疑いを向けるよう思考を誘導されたからだと思います。やられた。
感情の起伏に富んだ文章ではないですが、だからこそ、読者にスリルを想像させ、膨らませていくのだと感じました。面白かったです。