【感想・ネタバレ】公爵家の図書係の正体のレビュー

あらすじ

18世紀ロンドン郊外。40歳の誕生日をむかえたティファニーは独身で、異母兄の世話をして暮らしていた。横柄に振る舞う彼のもと、お茶の缶には鍵がかけられ、昼食はなし、大好きな歌を歌うことも、本を読むことも制限される日々。そんなある朝、異母兄を起こしにいくと返事がない。日頃から体調が悪かった彼は、ベッドの上で息絶えていた。ようやく自由になれたかもしれないと思ったけれど、独身女性が就ける仕事はとても少ない。それにこの家は、異母兄のしていた公爵家の図書係という仕事のために、雇い主が貸してくれているものだ。このままでは住む家すらなくなってしまう……天涯孤独で行き先もないティファニーは悩み、大胆な決断を下す。それは、異母兄になりすまして、公爵家の図書係として働くことだった!

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Posted by ブクログ

面白かった!そしてとっても読みやすい!
まるで美女と野獣のベルがそのまま40歳になったような、本好きな主人公、ティファニー。
生活の保証はされているものの、紅茶いっぱい飲むにも茶葉に鍵をかけられ、異母兄に支配される日々。
それでも、腐らず清々しくたくましいところに主人公が好きになる。

この本を読む上で結構重要なのが、舞台が18世紀であるということ。ライトな読みやすさになっているものの、女性に権利はなく、男性の支配なしには生きられない。男性のパーソナリティによって、家庭内での尊厳が奪われるのが当たり前の世界。

裁判制度が整っておらず、民衆の不満感情と、みせしめのための公開処刑まっしぐらな環境で、陪審員すら差別意識に揺らぐ。

真実を立証しただけは解決しない。

とんでもなく不利な環境で、どう裁判を乗り越え、健康で文化的な最低限度の生活を確保でくるのかも、大事な読みどころ。

ライトなキャラクターに助けられながら、魅力的に、細やかに描かれている18世紀の生活描写が楽しいこと!ごはん美味しそう。手縫い刺繍のドレス素敵。公爵のお屋敷「アストウェルパレス」の華やかさと、使用人世界のわくわく。

縛り首などの18世紀の不穏な風俗と、お屋敷メイドもののわくわくと、結構緻密なミステリー、そしてロマンス!
様々な要素が非常に難しい バランスで成立している 面白い作品だと思った

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2025年09月13日

Posted by ブクログ

久しぶりに読むコージーなミステリ。導入はビックリだったけど時代背景を考えると仕方の無いことか。続編も出ているようだし、じっくり読むか。

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2025年07月26日

Posted by ブクログ

ネタバレ

面白かったけど、主人公の設定周りが好みじゃなかったので、やや減点。

面白かったのは衣装や手紙周り。インクを乾かすために砂をまくとあるのが面白い。

主人公のティファニーが兄になりすますというのも知らずに読んだので、冒頭、死んでびっくりした。裏表紙のあらすじすら読んでなかった。なんで読もうとしたのかも忘れてる。

兄の死体を埋めて湖に入るところは洗礼だな、と感じた。第二の人生。
そこでサミールと出会うのもなんか聖書的。
40歳ながら実は美人なんですよと思わせる描写は好きじゃなかった。兄そっくりでなんでそうなる?サミールがティファニーに惚れたから?ビジュアル面の設定は好きになれなかったが、兄そっくりの顔立ちで身長が高いのが良い。そこは好き。

時代への知識はジェイン・オースティンの高慢と偏見でよく知ってるので、ほんとにうんざりするくらい女性の生き辛さはわかっていたので、ティファニーが兄になりすますのも無理ないなと思った。
兄が死んで、男のように振る舞ってようやく、意見を言えたり行動出来るようになって良かったねと思う反面、じゃあ今まで何してたんだ、という気持ちも。それを言ったら話が始まらないが。

ヒロインの年齢を高めにしたのは、読者の年齢もそれくらいという想定か?なかなか見ない年齢設定でそこは新鮮でありつつ、やっぱりそれまでの人生の空っぽさが気になった。空っぽだからこそピンチになってなりすますことになったけど。

兄ユライアからしたら身内をこき使えるので人を雇うより楽だったろうな。ティファニーはかつての婚約者が忘れられず、かといって家を出るほどのガッツも無く、って感じか?

ミステリーとしてのワクワクさは無くて、犯人への有罪が決まって死刑になるスピーディーさに驚いた。冤罪だったらどうするんだよってくらいの人権意識の低さ。こわ。

この時代の身分の差や生活や服装などが面白くて楽しめた感じ。

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2025年07月17日

Posted by ブクログ

感想
身分を偽る図書係。それは物語の仲介者として人々の関係を縫い合わせる。主人公であるがトリックスター。今後どのように活躍していくのか。

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2024年09月12日

Posted by ブクログ

新聞の書評欄で知り読んでみた。ストーリーは通俗的なミステリー小説。善人と悪人の描き方が類型的で、人物像に深みがない。ミステリーとしても今ふたつと言った所だった。一方、18世紀の読書事情や貴族の習慣、身分制度、女性蔑視、人種差別、風俗などイギリスの貴族の生活がよくわかり面白かった。当時読まれた知らない小説もたくさん紹介されていた。また女性が蔑視されている事に現代アメリカの視点から異議申し立てしているような表現が散見され、いかにもアメリカ的な小説であった。
公爵夫人が息子が死刑になりそうなのに、あくまで受け身というのが、不思議というかストーリー上の瑕疵で、突けば色々問題のあるストーリーではあったが楽しめた。

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2025年09月13日

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