あらすじ
誰もが「ムダ」を嫌うのに、どうして世界は「ムダ」であふれているのか?
資源・食品・お金・時間まで、世界にあふれるやっかいな問題を読み解く鍵は「ムダ」にあった!
・レジ袋の有料化には効果があるのか?
・リサイクルするorしない、どちらがエコな選択なのか?
・地産地消で本当にコストを減らせるのか?
良かれと思った行動がムダを生み、ムダにしか見えないものが価値を生む。
私たちがより良い世界で生きるための、正しい「ムダ」の知識を授けます。
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初めは、ムダとはどういうものかを学ぶ本にするつもりでいた。
だが著者ふたりがそれ以上に興味をそそられたのは、ムダがなかったら世界がどんな姿になるかを考えることである。
これっぽっちのムダも存在しない世界。紙ゴミも出なければフードロスもない。時間もムダにならず、優れた頭脳や人の命が空しく失われることもない。
(……)探究の旅に読者をいざなうことで、なぜムダが生じるのかを理解してもらうとともに、ムダのない世界がどういうものかを思いえがいてもらうことを目指している。
(「はじめに ムダのない世界に向けて」より)
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感情タグBEST3
Posted by ブクログ
ムダのない世界はどんな姿になるのか。
ムダを、望まれておらず、差し引きするとマイナスになり、避けることができる物事と定義する。
私たちは「AかBか」から議論を始めようとするが、本来ならそれは最後の問いでなければおかしい。最初に問うべきは「私たちは何に価値を置いているのか」である。
Posted by ブクログ
無駄無駄無駄無駄無駄ァーーッ。
無駄の対義語が「合理的」「経済的」「効率的」など、生産性を高めるという事なのであれば、そこには“知識や能力における水準の低さ”が隠れているような気がする。つまり、知能程度が高ければより高度な技術を駆使していくのだし、それは個人単位、企業単位、文明単位で言えることだ。だとすれば、低水準が無駄の原因だと言えるかもしれない。これは、発展途上国に無駄が多いという現象にも符合するし、その逆も然りである。
しかし、はっきりと「無駄」を定義しておかねばならない。本書で語られるのは、プラスチックなどのゴミ問題。二酸化炭素などの排出ガスの問題。都市鉱山資源、フードロス、時間のロスのような内容だ。だが、実際には何が無駄なのかなんていう事は”合目的的“にしか語る事は出来ず、神の思考は人間には到底想像するには及ばぬように、何が無駄なのかなど、人間には知る由もない。その目的にとって無駄、自分にとって無駄、という主観的な判断にしか過ぎない。私やあなたの人生、人類の存在ですら無駄だと言えるかもしれないのだから。
― 利用できる時間を増やすために、寿命を延ばすのはどうだろうか。ひとつの候補は、ジョギングのような運動を始めることである。少し古い研究では、習慣的にジョギングをすると寿命が三年延びる可能性があると指摘されていた。だが計算してみると、その延びた三年分で何をするかといえば・・・そう、その三年はジョギングに費やされるのである。はたしてそうする価値があるのかどうか、それは自分で決めることだ。もっと最近の研究からは、それよりずっと大きな見返りが示唆されている。週に六〇分のジョギングを四日に分けて行うと、大人になってからの人生のうちの六か月をジョギングに費やすことになり、寿命は六年延びる可能性がある。自転車に乗ることからも同程度の効果が期待できる。それにひきかえ、ストレスの多い生活を送っていると、それと同じくらいの時間が奪われてしまう。ご機嫌でいることにまさる薬はないのかもしれない。
上記がテーマ全てを象徴するような文章だったので引用した。著者の皮肉である。いや、箴言であり達観である。今を生きる上での一つ一つの行為に対し、それが有意義だとか、無駄であるとか、選別して慎重に行動をしていったとしても、何が満たされるというのか。
それだから、生きている時にご機嫌でいれば良い。これは真理だと思う。
Posted by ブクログ
なんかムダな時間過ごしちゃったなーと思うことが続いたときに、思わず手に取ってみた本。
いわゆる時間やお金の面だけでなく、一方では良いと認識されているリサイクルのことまで、ありとあらゆる場面での「ムダ」について書かれていた。
結論、万人にとってのムダってないんだな、と。
一方向から見れば効率的に見えることでも、逆方向から見ればムダではないことであったり、そもそもムダとそうではないことの厳密な境界線を引くのも難しい、というのが分かったかな。
リサイクルとかも、もちろんするに越したことはないのだろうけど、結果的にリサイクルしたことによる発生するプラスのエネルギーはムダではないのかと考え出したらキリがないと思うと、そこまで自分を追い詰めなくてもいいのかなと。
「あームダだった!」でネガティブに終わる自分が多かったけど、「いや、実はそうでもなくない?」と少しだけプラスに考えられるようになった本ではあったかな。
あとは著書外国人だと、やはり文化や背景違うからどんなにいい訳者さんでも理解が難しい部分もあった。
今後本選びの際に気をつけたい。
Posted by ブクログ
目次
はじめに ムダのない世界に向けて
ムダとは何か
【第Ⅰ部】ムダと環境
ゴミ処理はムダだらけ?/透明なプラスチックの不透明な問題/
リサイクルがかえってムダを生む?/水問題に潜むムダ
【第Ⅱ部】ムダと経済
スマートフォンから生まれるムダ/ファッションの大量消費/
返品文化が消費行動を変える?/誰もが嫌悪する食品ロスの真実
【第Ⅲ部】ムダの科学
CO2がどのように生まれ、悪影響を及ぼすのか?/
発電方法と電気使用から見るムダ/非効率な太陽エネルギーの使われ方
【第Ⅳ部】ムダの哲学
お金のムダ/時間のムダ/発揮されない潜在能力/浪費される命