あらすじ
他者と働くということは、一体どういうことか? なぜわたしたちは「能力」が足りないのではと煽られ、自己責任感を抱かされるのか? 著者は大学院で教育社会学を専攻し、「敵情視察」のため外資系コンサルティングファーム勤務を経て、現在は独立し、企業などの「組織開発」を支援中。本書は教育社会学の知見をもとに、著者が経験した現場でのエピソードをちりばめながら、わたしたちに生きづらさをもたらす、人を「選び」「選ばれる」能力主義に疑問を呈す。そこから人と人との関係を捉え直す新たな組織論の地平が見えてくる一冊。
「著者は企業コンサルタントでありながら(!)能力と選抜を否定する。本書は働く人の不安につけこんで個人のスキルアップを謳う凡百のビジネス本とは一線を画する」――村上靖彦氏(大阪大学大学院教授、『ケアとは何か』『客観性の落とし穴』著者)推薦!
◆目次◆
序章 「選ばれたい」の興りと違和感
第一章 「選ぶ」「選ばれる」の実相――「能力」の急所
第二章 「関係性」の勘所――働くとはどういうことか
第三章 実践のモメント
終章 「選ばれし者」の幕切れへ――労働、教育、社会
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Posted by ブクログ
いま社会人18年目。
「人材」を「人財」と表記するようになったのはいつからだったか。これを目にしてから、ずっと背中がムズムズするし
北関東に展開する中小企業である弊社で「目標管理設定」が始まった10数年前から、ずっと「個々人でこれ設定して評価するって(部署によっては)実情に合ってなくね?」とモヤモヤ。
その評価をする管理職の皆様は自己の能力発揮して会社に貢献しとる?とてもそうは思えない。十何年も管理職の面子も配置も変わってないけど?
転職を考えだしたこのタイミングで、一度改めて「現代社会で働くということ」について考えるいいきっかけとなりそうと思って今2週目。
終盤にまた出会った「ネガティブ・ケイパビリティ」
Posted by ブクログ
選ぶ、選ばれる、の真っただ中にいる中、
考えさせられるなー。
個人の能力と思っている者は、実は偶然生まれた環境であったり、出自であったり、とも言われる。人間一人で生きているのではない、一人では生きられない、とも言われる。
でも実際私たちの生きている社会では、成功するには個人を単位としてとらえる動機を与えるしくみや制度で溢れている… そしてそもそも、教育基本法でも、個人単位での人格の完成を目指しているということを知った。
そういったことへの違和感を共有されている著者。そして、個人能力ではなく、持ち味の組み合わせだ、と、働く場でも、教育の場でも、他者とともにある姿を具体的に伝えています。
Posted by ブクログ
「能力主義」の言う能力というのって本当に正しいのですか?という前提から能力主義の現状を見直してみようという話
能力はちゃんと定義できないし、そもそもみんなで働いてるんだから個人の能力は胴回りと影響するかを考えるべきであって、その人にこの能力がないとか、あの能力はあるなとかという話ではないのではないか?そこには反対しないのですが、それであっても人を選択する場面というのは出てくるんじゃないかと思いました。業務に適正がないとか、シンプルな経験不足とかで選択しないってこともあるのではという気がします。
ちょっといい替えると、みんな得手不得手はあるんだからそれそれ活躍できる場を作って行きましょうというのに反対するところはないですが、寿司職人の求人に経理畑一辺倒の人が言っても採用は基本されないですよね。
この明確にできる経験やスキルが求めているものではないというのと、著者の言う定義できない能力というのをどう切り分けるかというのが難しいなぁなどと思ったりしました、まぁ、答えない系の話なので自分の中での結論を見つける必要はないと思いますが。