あらすじ
ライヘンバッハの滝でモリアーティ教授と戦ったシャーロック・ホームズは、兄マイクロフトの助けを借りて日本へ向かった。イギリスに来ていた際に面識をもった伊藤博文のもとで世話になっていると、日本を訪問していたロシアのニコライ皇太子が、警備中の巡査に斬りつけられ負傷をした。日露の関係を揺るがす一大事件に、ホームズは伊藤博文とともに巻き込まれていく――。日本の新たなホームズ譚を描き出す、極上の歴史ミステリ!
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Posted by ブクログ
コナン・ドイルではない作者の書いたシャーロックホームズの物語を読んだのは二度目ですが、舞台が明治維新の直後の日本ということもあり、以前に読んだ「シャーロックホームズの事件簿 悪魔の取り立て」よりも想像し易く、一気に読んでしまいました。異文化に触れて少しずつ心境の変化をみせるホームズの描写や、史実を織り交ぜながら進む物語、再度は歴史的大事件を片付けいつもの日常へ戻っていくホームズ。流れるように進んでいく展開も素晴らしかったです。
Posted by ブクログ
ホームズ「大失踪期間」に来日したホームズが日露開戦の危機を救う
原典と史実を巧みに絡めて伊藤博文が日本のワトソンよろしく危機に立ち向かう
ホームズらしさが満載かつ明治の日本が描かれていてとても楽しめました
Posted by ブクログ
シャーロック・ホームズシリーズのパスティーシュ作品。空白の三年間にホームズが来日し、伊藤博文とともに大津事件に関わっていたら、という筋書き。
裏表紙の内容紹介で「正典の矛盾を解消した」とされているように、『まだらの紐』での蛇の生態に関する有名な瑕疵に言及したり、初期ホームズに見られたけれど復活後のホームズに見られない設定(コカイン癖や遊撃隊など)に理由づけをしたりと全体に丁寧な作品といった印象。
陰謀はえらく壮大だったけれど、それを暴くホームズのハッタリや推理は正典の彼を思わせて面白く読めた。
ホームズも伊藤博文も魅力的に書かれていたけれど、伊藤博文に関しては(ホームズと並べて書く以上、仕方がないにしても)実在の政治家を理想化し過ぎているとも感じられたことだけが残念。
Posted by ブクログ
改訂前の本は既読なのでお話は再読ですが、それでも熱くなる作品でした。
伊藤博文と井上馨が、ホームズに言われて聞き込みしに行くシーンにテンションが上ります。聞き込み相手を投げ飛ばす伊藤博文に、相手のもう1人の首元を仕込み杖から抜いた刀で狙う井上馨。春輔と聞多はやっぱり元長州藩士。
轟沈する9隻の軍艦で混乱している海での戦闘もハラハラでした。長州と言えど瀬戸内側の人なら船への奇襲もお手の物かもしれん。
齋藤一警部(だと思ってる)は今回もデキる警察で格好良かった。
「法で罰せられなければ暗殺という短絡的思考では、幕末に逆戻りではないか」…日本は巻き戻ってるのか。明治に、幕末に。考えている。
読み終わってから著者の言葉を読んで、改訂版が改訂前とは違う出版社なのを知りました。
重要人物の名前がもとに戻されたみたいだけど……フィクションと現実を混同する人がいるおそれを考慮されてたのか?を「意味がわからない」と元々の名前に戻されたのかな。
やれやれ。そんなに、ロシアを登場させることがデリケートなのかしら?それもきっと、ロシア本国がデリケートなのではなく、「ロシアはこんな事をしていた!」と思い込んでしまわれる危惧のほうが大きい気がする。英訳もされてるみたいだし……
Posted by ブクログ
「対」とタイトルに付いてるけど、特に戦うわけではなく共闘する感じだった。
まぁ当たり前といえば当たり前ですが。
少年のホームズと青年の伊藤博文が出会い、時間が経って、ホームズが日本に密航してきて、伊藤博文と一緒に大津事件の謎に挑む、そんな話だった。
伊藤博文めっちゃ強い。私は、伊藤博文はホームズの名推理を脇から見てるだけ、とかそんな感じかと思ってたんだけど、投げ飛ばすわ、飛び込むわ、剣も使うわ…こんな武勇に優れた人やったっけ?まぁ幕末の暗殺地獄を生き抜いてるんだから、ある程度は出来ないと生き残れないよな。
そして、井上馨。伊藤博文と一緒に聞き込みに行って、ヤンチャして帰ってくるとか、元気なおじいちゃんである!まぁこの時の二人は50代だから、そんなにおじいちゃんって感じでもないのかもしれないけど。
あとは、憲法や法律を絶対に守って文明国として西洋と渡り合っていくという、日本の未来にかける情熱がしっかり描かれているなと思った。
ラストの見せ場も最高だった。
この話、ホームズが「最後の事件」から、イギリスに戻ってくるまでの「大失踪時代」の話の出来事を想像して書かれているみたいで、ホームズファンなら絶対面白いだろうなと思った。
私はホームズ読んだことないんだけど。
続編があるって知って驚き。次は伊藤博文がヨーロッパに行くのかな?
またぜひ読んでみたいと思いました。