あらすじ
ライヘンバッハの滝でモリアーティ教授と戦ったシャーロック・ホームズは、兄マイクロフトの助けを借りて日本へ向かった。イギリスに来ていた際に面識をもった伊藤博文のもとで世話になっていると、日本を訪問していたロシアのニコライ皇太子が、警備中の巡査に斬りつけられ負傷をした。日露の関係を揺るがす一大事件に、ホームズは伊藤博文とともに巻き込まれていく――。日本の新たなホームズ譚を描き出す、極上の歴史ミステリ!
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Posted by ブクログ
去年からの読書計画としてコナン・ドイルの「シャーロック・ホームズ」シリーズを読破した後、この松岡圭祐 作「シャーロック・ホームズ対伊藤博文」を読もう!という(わたし的には)遠大な計画をたてておりまして。原作を十分に知ったのちに得られる味わいがきっとあるはず…!と。
実は…ホームズ作品はあと短編を二作品残してはいるのだけど…ようやく「恐怖の谷」まで読み終えて、ええいとばかりに楽しみにしていた松岡さんに手を出しました。
読んでみて、もうとにかく楽しい!
書店で紹介文に惹かれて買って良かった!
ほぼホームズも読み終えてから、こちらを読んで良かった!と自分の判断にグッジョブしました。
「恐怖の谷」から間をおかずに読みだしたのに、あまりに地続きな文章や登場人物の心理描写に違和感が無さすぎて驚きました。むしろ原作の細かいエピソードを細かくひろっては投げかけてきて、世界観をごく自然に広げてくれるというか。
原作では描ききれていないホームズの心境、ずば抜けた推理力ゆえの屈折した感情やらが巧みに掘り下げられている。
松岡さんの作品はお初なのにこの手腕たるや!です。ライヘンバッハでのモリアーティ教授との対決から「空き家の冒険」でのホームズの復活までの空白の期間が本編との矛盾をいっさい生まずに描かれてる点が秀逸だし、そこに日本の歴史上の人物である伊藤博文が登場していても、かえってその物語の飛躍が面白すぎて一気読みでした。
いや〜、楽しかった!
続編もちゃんと購入済みなので、読むぞ!
Posted by ブクログ
実際の歴史上の事実とホームズの世界観が見事に融合していて、素晴らしかったです。
そこに加えられた、この本独自の新たな謎もとても面白かったです。ぜひ続編も読みたいです!
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「さあ行こう。ふたりで日本を戦争の危機から救おうじゃないか」
ライヘンバッハの滝でモリアーティ教授と戦ったシャーロック・ホームズが、その後日本に向かい、伊藤博文とともに国を揺るがす大事件の真相に迫る物語。
1891年(明治24年)、来日したロシアのニコライ皇太子が日本人警察官に切りつけられるという、実際に日本で起こった「大津事件」。
ホームズは、所謂「大失踪期間」中、実は伊藤博文とこの事件を解決していたという完全なパスティーシュでありながら、史実と虚実の織り交ぜ方がとにかく素晴らしい。
幕末から明治開国、産業革命の細部に至る知識や、ホームズとその過去の事件や兄弟関係の考察等が非常に上手く構成されていて、まるで現実にこのふたりが国の危機を救ってくれたのではないかと思わされるほど。
序盤からとにかく引き込まれ、一気に読み進めてしまったほど面白かった。
Posted by ブクログ
コナン・ドイルではない作者の書いたシャーロックホームズの物語を読んだのは二度目ですが、舞台が明治維新の直後の日本ということもあり、以前に読んだ「シャーロックホームズの事件簿 悪魔の取り立て」よりも想像し易く、一気に読んでしまいました。異文化に触れて少しずつ心境の変化をみせるホームズの描写や、史実を織り交ぜながら進む物語、再度は歴史的大事件を片付けいつもの日常へ戻っていくホームズ。流れるように進んでいく展開も素晴らしかったです。
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ホームズ「大失踪期間」に来日したホームズが日露開戦の危機を救う
原典と史実を巧みに絡めて伊藤博文が日本のワトソンよろしく危機に立ち向かう
ホームズらしさが満載かつ明治の日本が描かれていてとても楽しめました
Posted by ブクログ
コナン・ドイルの聖典を読んだ人なら、作品中に散りばめられた多くの「小ネタ」に気づいてふふっとなれる。また、聖典にみられる違和感や不自然な点を、筆者独自の解釈で解消していたりもする。日本と英国、異文化であるがゆえの双方の視点から描かれるのもなかなか面白かった。ホームズは意外に国内を長距離移動しており、その旅程も詳しく読みたいなぁなどと思ってしまった。ホームズにも伊藤博文にも見せ場があり、読みごたえあり。なにしろホームズが日本のために動いてくれることが、なんと頼もしいことか。
通常シャーロック・ホームズ作品は英語から和訳されるわけだが、本作は日本語で書かれているわけで、無意識に、これは元の英語はどうなっているだろう?と思考を巡らせかけて、いやいやこれは元から日本語、と思考を振り払う、てのを何度もやってしまった。日本語にしかない(英語では区別されない等)言葉や表現が引っかかってしまったのだった。英語翻訳版でどうなっているか興味がわいた。
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ぱん、とすぐに面白い作品ではなくて、読み進めていくうちにジワジワと広がっていく面白さという感じ。始めはホームズの一癖もある性格や、日本人にしか理解しえなかった価値観などで、噛み合わない感じがあったが、徐々に歯車が噛み合っていくのが面白かった。
ホームズは作品によって描かれ方が異なる。超人のようであったり、ダメ人間であったり、その描かれ方は様々だが、この作品はホームズが人間らしく描かれていた。頭がものすごくいいだけの人間。そこがまたフィクションであるのに、リアリティを感じられて面白い。
また個人的にはほんの少しだけ出番のあるワトソンの人柄の良さも好きなところ。これでこそホームズとワトソンだよなぁ。
Posted by ブクログ
シャーロック・ホームズシリーズのパスティーシュ作品。空白の三年間にホームズが来日し、伊藤博文とともに大津事件に関わっていたら、という筋書き。
裏表紙の内容紹介で「正典の矛盾を解消した」とされているように、『まだらの紐』での蛇の生態に関する有名な瑕疵に言及したり、初期ホームズに見られたけれど復活後のホームズに見られない設定(コカイン癖や遊撃隊など)に理由づけをしたりと全体に丁寧な作品といった印象。
陰謀はえらく壮大だったけれど、それを暴くホームズのハッタリや推理は正典の彼を思わせて面白く読めた。
ホームズも伊藤博文も魅力的に書かれていたけれど、伊藤博文に関しては(ホームズと並べて書く以上、仕方がないにしても)実在の政治家を理想化し過ぎているとも感じられたことだけが残念。
Posted by ブクログ
推理物と歴史物が好きな私からしたら、タイトルだけで大好物な本。
最初は「ホームズ、いくらなんでも偏屈すぎないか?」「ホームズ、いくらなんでも推理力凄すぎないか?」と違和感を感じつつ読み進めたものの、途中から歴史の波にぐいぐい引き込まれていく。最後にどんでん返しさせつつ実際の歴史と整合を取るところ、著者の高い能力を感じた。
Posted by ブクログ
実在の事件と登場人物と、シャーロックホームズを年代で合わせるとこの時代なのかー、と面白かった
シャーロックホームズのシリーズを読んだことがあればまた、面白さも変わるかなと思う
それぞれが個性的で、伊藤博文が思いのほか身軽に一緒に捜査していくので、楽しく面白い
Posted by ブクログ
改訂前の本は既読なのでお話は再読ですが、それでも熱くなる作品でした。
伊藤博文と井上馨が、ホームズに言われて聞き込みしに行くシーンにテンションが上ります。聞き込み相手を投げ飛ばす伊藤博文に、相手のもう1人の首元を仕込み杖から抜いた刀で狙う井上馨。春輔と聞多はやっぱり元長州藩士。
轟沈する9隻の軍艦で混乱している海での戦闘もハラハラでした。長州と言えど瀬戸内側の人なら船への奇襲もお手の物かもしれん。
齋藤一警部(だと思ってる)は今回もデキる警察で格好良かった。
「法で罰せられなければ暗殺という短絡的思考では、幕末に逆戻りではないか」…日本は巻き戻ってるのか。明治に、幕末に。考えている。
読み終わってから著者の言葉を読んで、改訂版が改訂前とは違う出版社なのを知りました。
重要人物の名前がもとに戻されたみたいだけど……フィクションと現実を混同する人がいるおそれを考慮されてたのか?を「意味がわからない」と元々の名前に戻されたのかな。
やれやれ。そんなに、ロシアを登場させることがデリケートなのかしら?それもきっと、ロシア本国がデリケートなのではなく、「ロシアはこんな事をしていた!」と思い込んでしまわれる危惧のほうが大きい気がする。英訳もされてるみたいだし……
Posted by ブクログ
夢と浪漫とドキドキ感。
伊藤博文面白すぎる。いやいや…破茶滅茶だね。強すぎるでしょ。
シャーロック先生も史実と絡めると実在していたかのような錯覚に陥る。本当に日本を救うために翻弄してくれたかのような、なんとも言えない読後感。続編も積読しているので、とても楽しみ。
Posted by ブクログ
タイトルだけでもインパクトがあって何がどうなるのかとわくわくした。
伊藤博文氏の賢明さや身体的強さにもびっくりしたがホームズ先生のこんなところもあるのかとほっこりさせられる優しさに読後は気持ちがよかった
ただ私は歴史に詳しくないのでその土台がもう少ししっかりしていたらこの物語はより深く味わえたのかもしれないと少し後悔した
Posted by ブクログ
「対」とタイトルに付いてるけど、特に戦うわけではなく共闘する感じだった。
まぁ当たり前といえば当たり前ですが。
少年のホームズと青年の伊藤博文が出会い、時間が経って、ホームズが日本に密航してきて、伊藤博文と一緒に大津事件の謎に挑む、そんな話だった。
伊藤博文めっちゃ強い。私は、伊藤博文はホームズの名推理を脇から見てるだけ、とかそんな感じかと思ってたんだけど、投げ飛ばすわ、飛び込むわ、剣も使うわ…こんな武勇に優れた人やったっけ?まぁ幕末の暗殺地獄を生き抜いてるんだから、ある程度は出来ないと生き残れないよな。
そして、井上馨。伊藤博文と一緒に聞き込みに行って、ヤンチャして帰ってくるとか、元気なおじいちゃんである!まぁこの時の二人は50代だから、そんなにおじいちゃんって感じでもないのかもしれないけど。
あとは、憲法や法律を絶対に守って文明国として西洋と渡り合っていくという、日本の未来にかける情熱がしっかり描かれているなと思った。
ラストの見せ場も最高だった。
この話、ホームズが「最後の事件」から、イギリスに戻ってくるまでの「大失踪時代」の話の出来事を想像して書かれているみたいで、ホームズファンなら絶対面白いだろうなと思った。
私はホームズ読んだことないんだけど。
続編があるって知って驚き。次は伊藤博文がヨーロッパに行くのかな?
またぜひ読んでみたいと思いました。
Posted by ブクログ
歴史上の出来事を題材に、余白の部分をホームズが上手く補っていました。題材になった大津事件を知るきっかけにもなり、事実と比べるのも非常に勉強になりました。
また、ホームズの日本に対する感覚や描写が細かく描かれており、本当に実在したのではないか?と錯覚してしまいました。
Posted by ブクログ
82点。
どこからフィクションでどこまで史実に基づいてるのかわからないくらい良く書かれていたと思う。
時代小説みたいなものは読んだことがなかったからこれはどうだろうと思っていたらそういう感じではたぶんない?ので読みやすかった。
ホームズも博文もキャラが立っていて良かった。それぞれが少し改心したり心情の変化も感じられて読んでいて退屈しなかった。続編もあるようなので読んでみたい。
少し長めだったのが大変だった。
Posted by ブクログ
詳細にホームズの世界観を分析して、緻密に史実と組み合わせて構成していることに驚く。ホームズの振舞いや言動はBBCで製作されたホームズシリーズを想起させる。面白かった!
Posted by ブクログ
1891年5月4日 ホームズ、スイス・ライヘンバッハ滝で消息を断つ。
同5月11日 大津事件発生。
同6月1日 伊藤博文、枢密院議長就任。
1894年4月5日 ホームズ、イギリス・ロンドンのワトスン邸訪問。
同7月25日 日清戦争開戦。
この虚実ない交ぜの年表が出来上がった時点で、本作の成功はある程度約束された。
そこに1863年~64年にかけての伊藤のイギリス留学やロシア社会主義の勃興、足尾銅山鉱毒事件等を織り交ぜ、一気呵成に読ませる仕上がりになっている。ホームズの偏屈さ、伊藤のだらしない女関係もリアリティーを増している。
ニコライ皇太子の大活躍は行き過ぎの嫌いもあるが、総じてノンフィクションを読むような面白さがあった。
マイクロフトがカッコいいぞ!?ディオゲネスクラブに巣食う陰鬱なイメージが強かったが。
ジュンク堂書店明石店にて購入。
Posted by ブクログ
タイトルで面白そう!と思った方はその浪漫、ワクワク・ドキドキ感が本書にはそのまま詰め込まれてるので、絶対損はしないと思います。
シャーロックホームも伊藤博文もそれぞれの信念がカッコ良すぎる!
途中まで伊藤博文を夏目漱石と誤認識して読み進めていたのは内緒です…。(大逆転裁判というゲームが頭にあった)
Posted by ブクログ
ちょっと長い気がしないでもないけど、面白かったー。
最後のホームズがよかった。
法治国家とは、民とはなど考えてしまった。
物語だから当たり前かもだけど、日本は良い国だったのだなーと。
伊藤博文とホームズの関係性もよく、なんだか胸が熱くなってしまった
Posted by ブクログ
毎度のことですがタイトルに惹かれて、そして松岡さんという事で、一定のレベルと思い購入 相変わらず疾走感のある展開と絶妙なリアルな人物を配置させてワクワクハラハラ 登場人物や歴史背景との絡め方もいつの通りにさすがです
ただちょっと長くて後半で読者側が息切れしました
続刊も買ったけど時間あけて読もうかな
Posted by ブクログ
原作でライヘンバッハの滝から転落し、復活するまでの間、アジアに行っていたとのことから、本作では、日本に潜み伊藤博文と会っていたと言う設定。史実に基づく大津事件と絡めて進む話はワクワクした。帯を見て子供向けの作品かと思ったが、全然違った。