あらすじ
日常に潜む、人を欺くためのデザイン。
「いつまで経っても終わらない退会手続き」「すでにチェックされているチェックボックス」……誰しもが経験したことがある苛立ちは、わざとデザインされていた。
「ダークパターン(ディセプティブパターン)」の名付け親であるハリー・ブリヌル氏が、欧米のさまざまな事例を紐解きながらその全貌と、国を挙げての規制強化、今後の展望を解説するデジタル時代のクリーンなユーザー体験への手引きとなる一冊です。
日本語版解説には長谷川敦士氏(株式会社コンセント代表/武蔵野美術大学造形構想学部教授)、水野祐氏(弁護士/シティライツ法律事務所)。それぞれ「デザイン」と「法律」の視点から日本のダークパターンの現状について解説します。
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Posted by ブクログ
デジタルプロダクトのデザインに関わっているのであれば(悲デザイナー含む)、一度は目を通しておくべき内容だと思った。
ダークパターンが生まれてしまう背景には、ビジネス戦略の結果として生まれてしまうケースと、行動経済学や認知バイアスを用いて自然に生まれてしまうケースがあると指摘しており、その原因とダークパターンの種類を多くの事例とともに解説している。
印象的だったのは、摂取的なデザイン戦略と協力的なデザイン戦略の対比。デザインとは本来、企業とユーザーのニーズの間でバランスを取るべきものだけど、ユーザー対する意識と法律・倫理感に対する意識が薄れてしまうリスクがあらゆるところに潜んでいるということ。ダークパターンを取り入れると通常の4倍以上の成果が得られるといった事例もあり、我々は無自覚のうちにそれを応用してしまっているかもしれない。
そしてもう1つは、世界と比較して日本に直接的にダークパターンに関する法規制は整備されていないものの、ダークパターンを規制しうる法令は存在しており、既にあるウェブサイトやアプリの中には対処できるものはあるということ。デザインに関わる身としては、無知でいることは非常に危うい。
読み終えた後に、デザインの本来的な行為は何なのか?ユーザー中心のデザインとはどうあるべきなのか?について考えさせられた。