あらすじ
深川佐賀町の裏店に住まう棒手振りの八五郎は、平凡かつ地味な男。人並み外れた影の薄さが悩みの種だが、独り身ゆえの気楽な貧乏暮らしを謳歌している。そんな八五郎は、ある夜、巷で噂の幽霊剣士「鳴かせの一柳斎」が旗本を襲う場に出くわす。物陰から固唾を呑んで闘いを見守る八五郎だが、一柳斎の正体が、隣の部屋に住まう浪人の雲井源次郎だと気づき――。影と秘密は江戸の華!? 期待の新鋭が贈る、書き下ろし傑作時代小説。
...続きを読む感情タグBEST3
このページにはネタバレを含むレビューが表示されています
Posted by ブクログ
こんな時代小説、初めて読んだ。プロットが面白すぎる。登場人物一人一人主役級。シリーズにもしても良さそう。
端々に描かれる心意気の痛快感。
先の読めない展開。
ボスは何となく想定できたけど、最後にあのお方が。また、そこに張られていた伏線は時代劇のドラマ好きな自分が気づけなかったのは、悔しいけどやられた!
今回も、歴史トリビアと人情を、エンタメ(ストーリー)を楽しみながら味わえる。
・永代橋は、町衆が負担して共同で支える橋だった
・契約書の中の細かい文字での詐欺
・全く最近の御公儀はいつもそうじゃ。弱き者はいつも虐げられる
・行き場を失った鬱憤を誰か顔の見える相手にぶつけぬことには、腹の底から次々と湧いてくる、この煮えたぎる怒りが収まらない。
・人はなぜか、あるくと考えが勝手にわいてくるようにできている。
・人それぞれの体に合った剣の道も十人十色にござります。
Posted by ブクログ
主人公の棒手振りの八五郎が愛すべきキャラクターでよい。設定はよくある時代劇のモチーフであるが、ハラハラドキドキの展開であっという間に読めた。楽しく読めるエンターテイメント。この著者の他の作品も読んでみたい。
Posted by ブクログ
とても面白かったです。著者は、いつも面白いタイトルの本を書いていますが、内容は史実に則ったわかりやすいものばかりです。
今回の作品は、フィクションではありましたが、本当にうまく作られているなと感心しました。
話は、江戸中期。吉宗の治世。
主役は、深川で棒手振り(天秤担いで野菜売り)をする八五郎。何の取り柄もなく、影が薄いのが特徴。
まわりに住む人たちは、皆いい人ばかり。
隣に住む侍崩れの雲井源次郎。
思いを寄せる浜乃。その父藤四郎。
親方の辰三。
たまに出現する旗本の三男坊新さん。
また、八五郎は定回り同心(犯罪の取締役)の村上典膳に情報屋として雇われている。
実は、これらの人々は皆裏の顔を持っている。
源次郎は、主君の仇を討つため、江戸市中に現れる鳴かせの一龍斎として、命は奪わないまでも、悪い噂のある者たちを追い詰める。
浜乃は、公儀御庭番として吉宗直属のくノ一として、あくどい老中を追い詰める。
村上典膳も隠密影同心として、尾黒屋とともに黒吉原なる裏の吉原を作った勘定奉行蓼井氏宗を追い詰める。
辰三親方は、八ツ手小僧という泥棒として、金持ちから金を盗み、貧乏人に届ける鼠小僧のような人。
彼らが活躍し、勘定奉行や老中小清河為兼、尾黒屋を成敗する。
でも実は影の薄い八五郎が、その影の薄さから気づかれずに、建物に侵入したり、彼らの正体を見抜いたりと活躍をする。
そして、最後に新さんに労われた八五郎は、その正体が将軍吉宗と気づく。
Posted by ブクログ
あー面白かった!
その一言に尽きる
大好きな作家さんの一人、白蔵さんの小説だけに、期待値マックスでしたが、予想を裏切らない、痛快で、しんみりする人情味も味わえ、大満足だった
主人公の八五郎は影が薄い、という現代でもネガティブな特性の持ち主であるが、その特徴を活かして次々と悪事を働く侍や商人の秘密を暴いていく
深川という下町の人情もその解決に一役かうところが白蔵さんの小説らしい
人はそれぞれに役割があり、その特性を活かす事が出来れば、自分では思いもつかない大きな事をやってのけるのだ、というメッセージを読み取った
Posted by ブクログ
運の悪い主人公の周囲で、隣人町人の裏の顔が次々明らかになり、江戸を揺るがす事件に巻き込まれていく痛快時代小説。最後はバカ殿志村けんが頭をよぎる。
Posted by ブクログ
時代小説超入門編!みたいな本だった。
江戸時代が舞台の最近はやってるアニメ
みたいなイメージ
すごく読みやすいし、内容もおもしろいし
テンポもいいし、あっという間に読み終わった!
いろんな人に焦点を当てて
話が進んでいくので
どうしても話全体で見ると
若干薄っぺらい感は否めなかったかな、、
わたしは一柳斎が推しでした
Posted by ブクログ
子どもの頃からずっと、テレビで時代劇やってた。ここ数年なくなったけど。
「水戸黄門」「大岡越前」「鬼平犯科帳」「桃太郎侍」「遠山の金さん」など。
そして、徳川吉宗が旗本の三男坊、新さんとして市中に現れる「暴れん坊将軍」
この本に「新さん」が出てくるんで、ははーん、と笑ってたら、やっぱりそうだった。
これってたぶんオマージュなんだな。
エライ人が悪人で、悪徳商人とつるんでる。
時代劇の定番設定だね。
ちょうど今、某テレビ局で女性に性的な接触させてたのでは?といった問題が巻き起こってて、読みながら連想してしまった。
隣の部屋の浪人が実は一柳斎だったり、辰三親方が実は八ツ手小僧だったり、浜乃ちゃんが実は隠密のくノ一だったり、みんな裏の顔をもってた。でも裏の顔は「悪人」じゃなくて、変身したらヒーローだったみたいな、
そういう秘密の顔だった。
気配が薄い八五郎、たしかにそれも特技だよねえ。
テレビを見てるような感覚になった。
面白かった。
上に立つ人は、清廉潔白とまでは言わないけど、正しい行いの人であってほしいなあと思った。