【感想・ネタバレ】ウンム・アーザルのキッチン(たくさんのふしぎ2024年6月号)のレビュー

あらすじ

パレスチナ・イスラエルにすむアラブ人の豊かな食文化を紹介したい。そう考えたのが、この本をつくるきっかけでした。「ムジャッダラ」(挽き割り小麦、たまねぎ、レンズ豆を炊いたもの)、「マナイーシュ」(パンの上にチーズやハーブをのせて焼いたもの)、「マハシー」(挽肉とお米を葡萄の葉で巻いたり、茄子につめたりしたもの)「マァカローネ」(アニスシードと金ゴマ入りのクッキー)など、美味しそうな料理をたくさん紹介します。
料理をまじえて描いているのは、日本ではほとんど知ることのできないイスラエルに住むアラブ人のリアルなくらしです。文章を担当したのは、国立民族学博物館でパレスチナ・イスラエルに住むアラブ人キリスト教徒を研究する文化人類学者の菅瀬晶子さんです。本作に登場するウンム・アーザルと菅瀬さんは15年前からの知り合いで、3年以上イスラエルのハイファにあるウンム・アーザルの家に住んで調査をされました。そのときに見たり体験したりしたことのなかで心に残ったこと、料理にまつわることを中心にまとめたのが本作です。

*電子版には、折り込み付録の「ふしぎ新聞」および年3回の一枚絵付録はつきません。

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感情タグBEST3

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イスラエルに住むアラブ人キリスト教徒のウンム・アーザルの日常。
知らない日常があることを知る。遠い国の人のことを考える。それだけでも世の中が少し良くなるのではないか。

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2025年07月13日

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とても良い。ハイファに住むアラブ人キリスト教徒の食を中心とした日常生活が描かれている。ニュースでたびたび見かける国でも、そこに住む普通のひとの暮らしがイメージできることは重要。
たくさんの子どもに読まれてほしい。

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2024年06月11日

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イスラエルに住むキリスト教徒のアラブ人女性ウンム・アーザルの1週間を描いた本。著者は日本人の文化人類学者で、アーザルの家に合計で三年ほど住んだ経験がある。コロナ禍などで現地に滞在できなくなった著者が住んでいた思い出や資料をもとに書いた本。彼女は料理が得意でさまざまな料理が紹介される。それらはアラブ料理でありトルコ料理にも近いことを知った。
紛争下にあるイスラエルでのアラブ人の生活というとなかなか想像することが難しいが、この本は普通の人が普通に暮らしていることを伝えてくれる。
長女のヴェラの長男がウクライナで医学を学んでいることは、ガザ地区のパレスチナ人イシアブハーエシュを描いた映画「私は憎まない」を思い出す。
早く、パレスチナやイスラエルに平和が訪れることを切に願う。

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2025年04月18日

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年末の新聞で、どなたかが今年の3冊の1冊に選んでいた。
イスラエル第三の都市ハイファに住む、ウンム・アーザルは修道院のまかないを仕事としている。
ウンム・アーザルはアラブ人でキリスト教。
イスラエルはユダヤ教の国で、キリスト教徒は1.4パーセント。アラブ人が差別される国で、キリスト教徒って、いろいろ苦労してきた模様。
知らない世界の話が、小学生も読めるように書かれている。イラストも豊富で読みやすい。
「自分でかせいだお金で生活していたい。」「本当は学校をやめたくはなかったの」「あの子にも勉強をつづけさせてあげたかった」
作者のことばで、その後の一家のことを知れたのも良かった。
菅瀬さん、病気が良くなりますように。

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2025年02月18日

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なんていったらいいのだろうか。
地に足がついてる生き方の女性の話。ただ元気なだけのおばさんではなく背景にはいろいろあるようだが、家族への愛も充分にあるし、周囲の信頼も厚いようだ。
こんな人になれたらいいと思いつつ。
これ、小学校中学年くらいの子が読むより中高生に読ませるといいのでは。

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2025年02月17日

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ニュースやSNSで眼にするものは、断片に過ぎない。真実を知ることの難しさと、実際に日々を暮らしている人たちの強かさが絵本の中から伝わってくる。

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2025年01月09日

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私たちはイスラエルのことを、アラブ人のことを、どれだけ知っているだろう?

この話に出てくるウンム・アーザルはアーザルのお母さん、という意味。
アラブ人女性は男の子を産むと尊敬の念を込めてこう呼ばれるそうだ。
日本で言うと、「太郎くんママ」の意味が近いかもしれない。
ただ、ニュアンスはだいぶ違うはず

ウンム・アーザルの料理は実においしそう。
彼女の勤務先の修道院の食事は、焼きナスのサラダ、鶏肉のハーブローストなど。
料理上手ということがよくわかる。

彼女は料理をすることで子供や孫を育てた。
それは夫が働かなかったから。
ひどい話だ。
でもそうして育てた子供達は働き者でとても優秀な上に母想い。
ここまで育てるのにどんなに苦労しただろう。
学びたかった、娘にも学ばせてあげたかった、そんな気持ちを抱えながら。

ウンム・アーザルはイスラエルでは少数派の中の少数派。
アラブ人で、カトリックなのだ。
比較的安全な街に住んでいるとはいえ、その苦労はどれほどのものか。
孫はウクライナの医大に通っている(後日談で紛争の前に孫は卒業して戻ってきているそうだ)。
どこにいても紛争がある。
人を平気で戦地に行かせようとする人たちは、日々料理に悩み、睡眠を削りながら子供たちを育てたことがあるのだろうか?
ないからきっと人の命を軽視できるのだろう。

幸せとは、明日も、温かさを感じられることではないかな。
子供向けの月刊誌だが、いつもこのシリーズはたくさんの気づきを与えてくれる。
願わくば、新しい年が人を傷つけない年でありますように。

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2024年12月31日

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イスラエルの都市ハイファのアラブ人キリスト教徒について調査している人類学者が、修道院のまかないの仕事に就く女性ウンム・アーザルを訪問。30人分の食事の準備を手伝いながら、彼女の話を聴きます。

日曜日から土曜日という形で綴られるウンム・アーザルの暮らし。さまざまな料理のイラストが本当に楽しく、幸せな気持ちになれる一方で、ウンム・アーザルがハイファに住むことになった経緯、働き続ける理由に心が苦しくなります。

自分の人生を自分の力で生きようとしている人への賛歌。

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2024年06月21日

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ネタバレ

イスラエル第3の都市ハイファではイスラム教アラブ人、キリスト教徒のウンム・アーザルも共存する。もちろん建国前から住んでいた人の子孫。15年親交する著者の、彼女の生活の報告。仕事修道院での食事作り、さらに日々の家族の食事も作る。子どもはすでに手元を離れているが、共働きの娘や息子を支えるために、大量の夕食を作る。肉料理はユダヤ教やイスラム教でタブーでない鶏肉を使い、「鱗のない海産物」は使わないようだ/子供の時からなじんでいる「お母さんの伝統的手料理」にまさるものはない。楽しそうに食べているが、アザールは疲れ切った

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2025年08月16日

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昨年発行の月刊誌だけれど、先日新聞で紹介されていたので購入

ウンム・アーザル(アーザルのお母さん)はイスラエルのハイファに住むキリスト教徒のアラブ人
まず、イスラエルに住むアラブ人にもキリスト教徒がいることは知らなかった
それもユダヤ教ではなくキリスト教徒なのだ
イスラエルに住むアラブ人は人口の21%(約209万人)、そのうちキリスト教徒は9%
イスラエル全体ではわずか1.4%のマイノリティ

そんな少数派の彼女は、教会の修道院のために様々な伝統料理を作り、子どもや孫たちに囲まれて暮らしている
けれども若い頃は、ムスリムでもなくユダヤ人でもない彼女は出稼ぎに出るしかなく、好きな勉強を続けることが出来なかったという

この「たくさんのふしぎ」は児童向けの雑誌なので、読者対象は小学生になるが、そんな状況を日本な子どもたちは想像できるだろうか
私も「イスラエルに住むキリスト教徒のアラブ人」について何も知らなかったし、彼女たちの生活のこともこの本で初めて知ることができた。

絵本なので料理の絵も綺麗で楽しい

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2025年08月03日

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「日本人の女性で、イスラエルに住むアラブ人のキリスト教徒を研究している人がいるんだー、へー、えーっと…なんのためにそれを研究?」というボヘーっとした感想しか持てない私。しかも、イスラエルというと「常に紛争」というイメージしかなく、ハイファという街も知らなかったし、普通に生活している人がいるという発想もなかった。
イスラエルで子だくさんの母親というと、オルナ・ドーナトの『母親になって後悔してる』を思い出すけど、あの本はユダヤ教徒だったか、キリスト教徒だったか…。

イスラエルで少数のアラブ人でキリスト教徒、ウンム・アーザル。私には、彼女の修道院での食事作りの仕事よりも、日々の家族の食事作りのシーンが印象に残った。
自分の子どもはすでに手元を離れているけど、共働きの娘や息子を支えるために、娘たち家族の食事を作る。大量の食事を作らないといけなくて、「追われている」という印象だけど、彼女は幸せそう。

いいなぁー、こんな母が近所に住んでいてくれたら、私は毎日夕食ごちそうになりに行くんだろうな…。

日々の生活を取り扱っているけど、その生き様はなかなか考えさせられるものだった。どんな状況でも、自分の手で仕事をして、生きていく。ちょっと元気をもらった。
そして、教育を受ける機会があるのは、めちゃくちゃ大事。

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2024年08月04日

Posted by ブクログ

イスラエルに住むキリスト教徒のアラブ人のウンム・アーザルさん。イスラエルの肝っ玉母さんといった感じ。ウンム・アーザルさんの人生から、イスラエルの紛争の深みが見えてくる。なかなか理解しにくいイスラエル問題が、わかり易い。でも、溝は深い。

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2024年06月16日

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