あらすじ
実家に暮らす29歳の喜佐周(きさ・めぐる)。古びた実家を取り壊して、両親は住みやすいマンションへ転居、姉は結婚し、周は独立することに。引っ越し3日前、いつも通りいない父を除いた家族全員で片づけをしていたところ、不審な箱が見つかる。中にはニュースで流れた【青森の神社から盗まれたご神体】にそっくりのものが。「いっつも親父のせいでこういう馬鹿なことが起こるんだ!」理由は不明だが、父が神社から持ってきてしまったらしい。返却して許しを請うため、ご神体を車に乗せて青森へ出発する一同。しかし道中、周はいくつかの違和感に気づく。なぜ父はご神体など持ち帰ったのか。そもそも父は本当に犯人なのか――?
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Posted by ブクログ
両親は山梨の都留市の家から引っ越してマンションに住む
「多くの人間は、これという道を見定める前に歩くことに疲れてしまう。」
母が神社で伝えてしまった職員が実は窃盗団で、
引越し業者を装って倉庫にご神体を隠していた。
壊れたと思ったご神体だったが、あすなが本物を持ってきたので
ご神体を無事に返せ、宮司から許してもらえたが、
あすなが消えた。
最初から運んでいたご神体は賢人さんが倉庫の中で作った偽物だった。
周が賢人さんを訪ねると、7人が住んでいる舞台美術の職場だった。
あすなは家を出るために、職場に住むために賢人さんに婚約者を演じてもらった。
神社はあすなに偽物のご神体を依頼していた。
その依頼した人物は窃盗団を演じていた宮司の孫だった。
僕は父親の不倫を見た時からそれがトラウマになってアセクシャルになった。
今まで家族はぜんぶお父さんのせいにして乗り切ってきた。あすなは小学生のとき不倫した父に罪をなすりつけて後悔してきた。
いつまでも誰も食べたくないおせちが出てくる家が嫌だった。
お父さんはずっと旅行に行ったのではなく欄間の奥の隙間にいた。
いるだけで不快と言われたから。
お父さんは結婚してくれそうという理由で母を選んだ。
お母さんはずっと前の家族に囚われて家族という入れ物を壊さないように我慢してきた。
あすなの問いは
ご神体を大事に抱えて青森まで命懸けで走り続けるような生活を続けた方が良いか。
父の答えは
改築はやめよう。この家を解体して、家族は解散しよう。
僕ら喜佐家は無事に解散した。
両親はバラバラになったが離婚届は出さなかった。
僕は咲穂の名字を選んだ。
Posted by ブクログ
以前読んだ作者の作品がおもしろかったので読んでみた。期待しすぎてしまった部分もあり、すごく面白い!とは思えなかったが、解決したと見せかけて…という展開はとても上手!
「家族」の解釈は各人それぞれだよ、というメッセージ性も良かった。
いつも旅行で不在と思われていたお父さんが、家の隙間に隠れてじっとリビングを伺ってたのは怖かったけど、、物理的に同じことはないまでも、似た家庭は多いのでは…と考えてしまった。
Posted by ブクログ
感動も驚嘆もしたのですが、どうしても六嘘と比較してしまって薄味な印象に。
面白かったです。全員分の行動原理が描かれていてさすがです。
うちの父の一人称を思い出そうとしたけどうまく行かず、耳が痛い一冊になった。
今回のオチ:
犯人は姉。父に対する家族の扱いが酷過ぎて喝を入れるために寺の住職と結託して今回の仏像盗難騒ぎを起こした。
仏像は住職の孫が紛失していた。困った住職が姉の舞台美術会社に偽仏像の制作を依頼。高速道路で跡をつけていた車を運転していたのは住職の孫。
いつも旅行していて家にいないと思われていた父はずっと隠し部屋でスケッチを描いていた。欄間から居間を見ていた。家を捜索していた姉は隠し部屋で父を発見して、青森までずっと一緒にいたがたくみに隠されていた(今回の叙述トリック)
父はコミュ障で家に居場所がなく隠し部屋を作った。
母は虐待を受けていた母の母にまだ怯えていた。
兄は貧乏が悪と思っているが会社が回っていない。
姉は変わり者と言われ続ける事に辟易していた
主人公の末っ子は父の浮気現場を目撃したトラウマでアセクシャルになってしまい家族を持つ事が不安。
ボロボロの実家を解体し、家族も解散した。
Posted by ブクログ
人が死なないミステリー。
読んでいる間、ずっと表紙のフェイスカバーをかぶった人がお父さんだと思っていたのですが、お父さん、そこにいましたか。背中を向けているのがお父さんらしい。読み終わってしばらくするまで気づけず、角川にやられた(騙された)って思わず笑ってしまいました。
父が盗んだ仏像をお寺に返すために奮闘する家族。しかし、犯人は父ではなく家族の中の他の誰かか?疑心暗鬼になりながらもお寺を目指す。
ある程度ナゾや犯人が誰だかわかるものの『あれ、この段階であと4分の1もページが残っているぞ』となり、さらに引き込まれました。
結局、5時間28分で読み切りました。1日で本を読み切るのは久しぶりです。ミステリ要素だけでなく、家族の在り方を考えさせられるので、私は何人家族?子供が自立しても寂しくない?などなどと思考を巡らせられました。
Posted by ブクログ
家族としてのいびつさ、家族内の暗黙のルールや役割、断罪、夫婦親子関係…色々と考えさせられた
途中までなあなあに家族の再生物語になりそうだったところが結果的にはそうならずにきちんと解散までこぎ着けたところがこの手のお話として意外性があって良かった
家族の一部で母、父、子でしかなかった自分におさらばして自分の人生をやり直していくのも今の時代新しいあり方なのかもしれない
テーマは面白かったけど読み味としては再読したいほどではないかも
Posted by ブクログ
最後まで読んで思ったのが、家族のことを1番考えていたのは何を考えてるのか分からないと言われていた姉のあすなだったと感じた。
けど、家族再生のためあそこまでする必要はあったのかなと疑問だった。
物語の終盤のように話し合いをすれば良かったのではと思ってしまった。
Posted by ブクログ
うーん、、
結末はどうなっていくんだろうというワクワク感はあるものの、そもそも「誰が何故仏像を盗んだか」という、私にはそこまで心惹かれないテーマだった。
全員の行動の意図もよく分からないし(家に知らん盗品の仏像があったらまず真っ先に警察に言う、車で神社まで届けるにしても電話の一本でも入れてから行けばいいだろ)、最後のあすなの主張が???すぎて全然共感できない上に、態度がイライラしてだめだった。笑
最終的な結末が作者の言いたいことなんだろうけど、確かに価値観や常識にとらわれすぎることはよくないと思うが、ある程度の倫理観や常識はないと困る。
浮気しても、家にいなくても、子供にトラウマ植え付けても、極端にお金稼がなくても良い父親とかそういうことはないと思う。
お互いいがみ合ってるわけでもないなら、無理に家族解体なんてしなくていいのに…と思ってしまった。
ひとり立ちしたら家別々になるだけの話。
家族が何人か、なんてそんなの状況によって変わってくるし違ってもいいと思う。
それに息子の結婚式出席しないとか良い父親じゃないだろ。
などなどツッコミどころ満載な話だった。
Posted by ブクログ
どんでん返し系ミステリーだと思って読み始めたのですが、ある意味そうなんだけど、思っていたのとは違いました。
どんでん返し「家族」ミステリーでした。
主人公に家族やら普通とはを考えさせるところはわかったとしても、大掛かりな設定に無理を感じてしまったのと、性的虐待経験が招いた結果であるとしても、お父さんが不憫すぎて読後がよくなかった。軽く読みたい人には向きません。重い話です。
Posted by ブクログ
家族について考えさせられた。私自身も父に、ここまで育ててくれたことややりたいことができるように頑張ってお金を稼いでくれたことは感謝しているが、どうしても人間的に尊敬できない。人の気持ちを考えられないし人に横柄な態度を取るところも嫌いだ。家族だからって必ずしも好きでいなければならないわけではない、そんな風に思ってもいいと、この本にそう言ってもらえた気がした。