【感想・ネタバレ】極楽に至る忌門のレビュー

あらすじ

四国の山奥にある小さな村。そこには奇妙な仏像があり、大切に祀られていた。帰省する友人・匠に付き添い、東京から村を訪れた隼人は、村人たちの冷たい空気に違和感を抱く。優しく出迎えてくれた匠の祖母の心づくしの料理が並ぶなごやかな夕食の最中、「仏を近づけた」という祖母の言葉を聞いた瞬間、匠は顔色を変える。その夜、匠は失踪し、隼人は立て続けに奇妙なことに巻き込まれていくが――。東京での就職を機に村を出て、親族の死をきっかけに戻ってきた女性が知った戦慄の真実。夏休みに祖父の家にやってきた少年が遭遇した恐るべき怪異。昭和、平成、令和と3つの時代の連作中篇を通して、最強の拝み屋・物部斉清ですら止められなかった、恐ろしい土地の因縁と意外な怪異の正体が浮き彫りになっていく……。ホラー文庫30周年記念、書き下ろし作品。

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Posted by ブクログ

ネタバレ

思いっきり嫌な気分に浸りたかった。
電子で買って一気読み。紙でも欲しい。
最高に最悪な4つの短編。
人の濁り切った感情を最大公約数に濾過してホラーに消化するのが上手いな。物部さんは「芸能人みたいに見た目が良い」と描写されるけど実際どんな顔なんだろう。予想するのが難しい。

読み直したら謎が出てきたので整理のために書き出します↓

頷き仏

ばあちゃんの「頷き仏をね、近づけたの」は自分が死んでこの土地を守る覚悟をきめたってこと?わざわざ東京から孫が帰ってくる時にやるべきことなのか?

それに対して匠が「様子を見てくる」は自分が死ぬことを分かった上でのことなのか?そもそも隼人を連れてきた時点で隼人に復讐する気はあった?
匠と隼人の痴情の縺れが、途中から判明してなぜ隼人が匠の頼みを断れないのかわかるのが嫌なスッキリ感。

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2024年09月30日

ネタバレ 購入済み

芦花公園渾身の集落ガチホラー

芦花公園先生にしては珍しくストレートに怖い連作短編集。
作中の人物の発言を元に年表を作っていくと「おやぉや安住さん、どうやら詰んでるみたいですねぇ〜」
「無敵の物部斉清でなんとかしてくださいよォーーッ‼︎」と発したくなる絶望的状況に思わず感服してしまいました。
被害者達が非常にテンポよく追い詰められていく様はある種リアリティがあり、特に最後の被害者が「入っていいですか」との発言に対して、
すんなり許可を出した時には思わず「終わったぁ〜!やっちまったなぁ!オイ!」と口に出してしまうほどには感情移入していました。

これまでの霊障描写よりも、ねっとりジワジワと嬲り、濃厚な恐怖の底なし沼に引き摺り込んでいくかのような筆致は、佐々木事務所シリーズとはまた異なった趣で非常に楽しめました。
因習村崩壊ホラーと後日談としてはかなりの完成度だと思います。何よりこれまでの作品の、投げっぱなしエンド・後出しジャンケン敗北エンドと違い、ある種爽やかな終わり方で読後感のモヤモヤが一切ありませんでした。
安心してください。ちゃんとBL成分入ってますよ(薄め)。
総じて芦花公園入門編、純ホラーファンにもオススメしやすい一作だと思います。
“パライソ”とか”とらすの子”は流石に男性の私が勧めるには勇気が必要ですからね。

#ドキドキハラハラ #怖い

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2024年08月29日

Posted by ブクログ

ネタバレ

因習村ホラーの中央のような要素で構成された物語であり、好き。
わけわからんけど何か起きてるが3つの時代で描かれてそれを重ね合わせるとなんとなく見えてくる因習の全体像、好き。
神を神とするのもバケモンとするのもヒトの認識的な話、好き。
物部斉清の総括、好き。
物部斉清のキャラクター造形に対する好感度は佐々木事務所シリーズで徐々に上がりつつあったところ、今作で急激に爆増。
文章から清浄なイオンを浴びるレベルに至る。
読み終わってすぐ2回目に突入してしまう求心力あり。

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2025年05月21日

Posted by ブクログ

ネタバレ

大切なものと引き換えてでも自分は極楽に行こうと思える心がいちばん怖い。

老人から子どもまで、毒気のある人物が次々出てきてお腹いっぱいになった。特に泣き仏、あの日記を娘に読ませようとする母親の気持ち、理解できないし理解したくもない……

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2024年10月26日

Posted by ブクログ

ネタバレ






他者を犠牲に得る極楽の鍵。他者を踏み台にして得る安寧を極楽と呼び求める村人達の思想は、生贄を求め続ける『猿』よりも恐ろしい。
果たしてそれが地獄なのか極楽なのかは『死んでみんとわからん』のでしょう。
尤も、『猿』と契約していないわたし達は死んでもきっとわからないでしょうけど。

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2024年09月10日

Posted by ブクログ

ネタバレ

因習村モノとして楽しく読みました。
村人が拝んでいる仏とは何か?
何が起こってて、何が原因なのか、沢山のヒントを基に考察しながら読んでましたが、途中に出てくる母親の手記によって一気にあぁ!そうゆうことか!となりました。
怖くないはずなのにあの手記が1番怖かったです。

普通、ホラーは主人公が助かりたくて行動するものですけど、本作は結局助かる気ないってのも個人的には新鮮でした。

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2024年07月01日

Posted by ブクログ

ネタバレ

最強の拝み屋、あの物部さんでも止められなかった土地の因縁と怪異と聞けば読まずにいられない。
四国の山奥の村に帰省する友人に同行した大学生が巻き込まれる「頷き仏」、母の日記に戦慄する「泣き仏」、前二章の集大成でもあり小学生に容赦なく襲いかかる絶叫恐怖体験「笑い仏」の各章に散らばる怪異の断片を集めて浮かび上がるのは、因習の業を深くし神も仏も歪めてしまう人間の醜悪な一面。
大切なものを見失った末路に震える。
人の心の闇を見透かす怖さと主要キャラクターが魅力的な芦花公園ホラー沼からは抜けられないなとまた確信を深めた。

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2024年06月28日

Posted by ブクログ

ネタバレ

凄い、何も解決しないで終わった話だった

確かに色々ある事柄の中、こういう事もあるんだろうなとは思う
別に物部さんも完全無敵な正義の味方でもなんでもないし、当人達がどうにかしようとしなければそれまでだし
で、あの村どうなったんだろうとは思うけど、またあの村の誰かが犠牲になるだけなのかな
それでずっと永遠に続いていくのか
泣き仏の時の美和が、何故か急に自信喪失して仕事無くなって、両親がいなくなって帰ってきたけど呼ばれたというかそういうものなのか
頷き仏は匠のお兄さんは上手く逃げれたのか
てか隼人と匠の関係は最後の方で、え?ってなったし尚更後ろめたいというか、そういう、気持ちがあるのにその友達の実家に行くものかな、だからこそなのかそこは分からないけど
そして笑い仏の優斗くんは、残念ながらのあと一歩で逃げ損ねた
今時の子はそんな感じなのかな、カナメさんて誰だよ、配信者とかそんなの信じちゃうの?いや今はそうかと
一体何処に消えたのかも分からない
結局鍵って何なのかそれも分からないけど、家族を犠牲にしても返したくないそんなものなのか
こういう事がありましたよ、っていう話、これはこれで面白かった


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2025年04月18日

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