あらすじ
第二次世界大戦下の「絶滅収容所」アウシュヴィッツで、生き延びるため同胞に鑑識番号を刺青し名前を奪う役目を引き受けたユダヤ人の男。彼はある日、その列に並んでいた女性に恋をした。「必ず生きて、この地獄を出よう」と心を決め、あまりに残酷な状況下で自らもあらゆる非人間性に直面しながら、その中でささやかな人間性と尊厳を守り抜くために重ねた苦闘と愛の物語。実在のタトゥー係の証言をもとに書き上げられ2018年に刊行された原書は、全世界350万部のヒット作となった。
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Posted by ブクログ
自分なら人生を諦めてしまいそうな場面でも、生きること、愛することを諦めなかったストーリーに感動した。フィクションであるということから、まだまだ描ききれない心情や場面などもあるとは思うが、生活を詳細にイメージすることができた。恥ずかしいことに、これまでユダヤ人、アウシュビッツという名前しか知らず、何が起こっていたかに関心を持ったことがなかった。非人道的なことが行われていたと教科書で知った程度で、そこには温度がなく、キーワードとしてわたしの記憶に残っていただけだった。他の書籍もぜひ読んでみたいと思ったし、宗教というものについても知識をつけたいと思った。DE&Iや多様性という"キーワード"だけを追うのではなく、しっかりと実感したいと思う。
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生きているすべての人に読んでほしい。
現代に生きる私たちは、ナチス・ドイツが1933年〜1945年まで続き本作の主人公が収容されたアウシュヴィッツは1942年〜1945年までと、始まりから終わりまでを知っている。
本作の主人公は、いつこの日々が終わるのか、解放され自由になるかはたまた5分後には死ぬか、なにもかも分からないまま、アウシュヴィッツでの日々を克明に語る。
結果として、運が良かったとしか思えないような状況をいくつもかいくぐり生き抜いて、現代にこの記録を残している。
髪を剃られ、服を剥ぎ取られ、名前を奪われ数字で呼ばれ、生きるか死ぬか殺されるか、まるで“偶然“が生死を分けるかのような毎日。
生きていくこと、愛する人に会えること、家族と過ごすこと、お腹いっぱいご飯を食べること、本を読むこと、学ぶこと、自由に外を歩くこと、いま当たり前に私の世界に存在する全てが、当たり前ではなかった。
映像としては想像できたとしても映画や写真のような世界で、自分が体験するものとして想像するのはあまりにも難い状況が、過去に確かに起きていた。
これを風化させてはならない。
人間の歴史に二度とあんなことが起きてはならない。
もっと深く知りたいと思った。
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本当にわたしは無知なんだと思った。ユダヤ人以外の人が集められることも、3年もの長い月日だったことも、なにも知らなかった。なんでこんなおぞましいことができるのかと思う。けれど、人間は皆、そっち側にいたらどんな残虐なこともできるようになってしまうのだろうか。怖い。
トロッコ問題なんて議論できるのは、安全な場所から話してるだけじゃんって思った。ヤコブにその話できるの?
こんなに苦しい環境で共にいても、少し立ち位置が違えば無神経な行動も取れてしまうのが人間なんだと、同じ被収容者たちの会話で感じた。最適な言葉と思いやりを使える人間になりたい。
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経験に基づく語りをまとめたもの。
過酷な場所で、「行きのびる」と決めて行動したラリの物語。
息を詰めるようにして読みました。
最後まで気を抜くことができませんでした。
その場にいる、一人一人に物語があること。
どんなに苦しい場所にあっても、人は誰かへの思いやりを失わず、親切にすることができるのだという希望を感じることのできる物語でもありました。
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ノンフィクションではないけど、ほぼ事実の奇跡の物語。奇跡が起こったのは生きる意思を失わなかったから。でも、もはや希望を描くファンタジーかもしれない。ただ、諦めたらそこで試合終了ですよ、がここでも真理だったと改めて思いました。諦めないこと、行動すること、大切だと思いました。
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ギタと出逢えたからラリは希望を持ち続けられた。夜と霧ほどの重く暗く胸に刻み込まれるような衝撃はないが、夜と霧で語られる生還者が持ち続けていた心の境地をラリは常に持ち続け、その結果自らの手で幸せを掴み取った。信じられないような真実。まずは小さくても誰か1人のためにできることを。
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アウシュビッツでの生活がありありと描かれていて心苦しい気持ちもあるが、どういった状況だったのかが分かる小説だった。
終戦後の内容が少し薄くて、そこは残念だったかなあ
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生き延びるためにアウシュヴィッツでタトゥー係として働く青年。そこで出会った女性と恋に落ちる。
なぜ、あのようなことがありえたのか。戦争とは何か、差別とは何か、狂気とは何か。
人の命を命とも思わない。そんなことがあっては絶対にならない。
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5分後には自分が死んでいるかもしれないと思いながら過ごす時間が何年も続く世界。それが被収容者にとってのナチスの強制収容所だ。この本はそんな世界を生き抜いて結ばれたラリとギタの物語だ。フィクションの形式をとっているが、描かれている出来事は、ほぼ現実に起こった通りと考えてよいという。主人公ラリが体験した事実が小説的に仕立てられることによって、収容所の恐怖と絶望がよりリアルに伝わってくる。だが、読後感は決して重いものではない。多くの人に読んでほしい作品だ。
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タトゥー係という、少し特権的な立場にいた人物からの物語。映像作品としての脚本が元のためか、ラブロマンスを中心に据えて軽快に読みやすい作品である。一方、軽快に読み進めてしまっているこちらも、感覚が麻痺しているのではないか?と不安になる。
凄惨な日々の中にも日常があり、そこには愛がある。希望を抱いて生きていくのだ。しかし、それがあまりにも困難で、朝起きて生きていたらラッキーなのだ。そんな話である。
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ビルケナウを出てこれた奇跡
その後ギタに再会できた奇跡
諦めずに生き抜こうという信念
ひとりを救うことは世界を救うこと
私もまわりにいる人ひとりを救うことを心がけたい
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昔アンネの日記を読んだこと以外では、ナチスやアウシュヴィッツについての作品に触れるのは初めてだった。アウシュヴィッツに収容されていた人たちが本当にただの人間だったことを初めて意識したかもしれない。アンネの日記は読んだことがあったけど、小学生だったのとイラストも交えてあったことで、どこか架空のキャラクターのように考えていた気がする。
私はこの本を読んでいる途中でテレビを見て笑って、現代だったらこんな生活を送っていたであろう罪のない人たちが、突然あんな目にあうことが本当に信じられなかった。
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体験談を元にしたフィクション混じりのお話。
主人公……すごい。いつ殺されるかわからない状況下で、少しでも生きられる仕事をつかみ取り、取引したり、助けたり助けられたり、恋愛したり。
補足にあった、本編後の主人公たちも凄いです。
全体的に文体が説明的というか、記録っぽい雰囲気を出したいのか、文章の語尾に引っ掛かりを覚えました。
Posted by ブクログ
第二次世界大戦のアウシュビッツでの出来事が描かれている。スロヴァキア人のラリはユダヤ人という理由でナチスドイツに連行されアウシュビッツに収容される。そこで連行されたユダヤ人に番号を入れるタトゥー係になり、役職を生かして外部の人間と繋がり食料や金品で収容所内で密かに活動する。収容所で同じユダヤ人のギタと出会い2人は恋に落ちる。ナチスの敗北と共に2人は収容所から逃げ出し外で再び出会う。
ナチスの行ったユダヤ人の虐殺が鮮明に描かれておりとても怖かった。あのような環境でラリとギタが3年も生き続けたのはほんとにすごいことなんだと思う。人が無意味に殺されていくなんて恐ろしすぎるし、今後こんなこと絶対あってはならない
Posted by ブクログ
知っているようで、知らないアウシュビッツ。
その中で賄賂が通用したり、愛する人と逢瀬を重ねる人達がいたことに驚く。
ドン底でも生きることを諦めなかった若者たち。
映画Life is beautifulを思い出した。
Posted by ブクログ
第二次世界大戦下の「絶滅収容所」アウシュヴィッツで、生き延びるため同胞に鑑識番号を刺青し名前を奪う役目を引き受けたユダヤ人の男。彼はある日、その列に並んでいた女性に恋をした。「必ず生きて、この地獄を出よう」と心を決め、あまりに残酷な状況下で自らもあらゆる非人間性に直面しながら、その中でささやかな人間性と尊厳を守り抜くために重ねた苦闘と愛の物語。
希望を捨てずに、何とかして生き延びる術を探して必死にあがいたユダヤ人を責めることはできない。仮に同胞よりもいい思いをしたとしても、それは決して罪でも何でもない。結局死んだらおしまいなのだし。逆に生き残る理由を彼女に逢えたことで見つけたラリは運が良かったのかもしれない。疲れ果て諦めてもおかしくない状況で、強靭な精神を持ち続けたことに畏怖を覚える。それでも戦争のドキュメンタリーは見られなかった夫婦。そうだよね・・・普通にフラッシュバックしそう。ナチスが行ったことをこうして後世に伝える役を担ったラリの思いに報いるには、私たちが二度と同じ過ちを繰り返さないこと、ただそれだけだ。