【感想・ネタバレ】喜べ、幸いなる魂よのレビュー

あらすじ

【第74回読売文学賞(小説賞)受賞作】18世紀ベルギー、フランドル地方の小都市シント・ヨリス。ヤネケとヤンは亜麻を扱う商家で一緒に育てられた。ヤネケはヤンの子を産み落とすと、生涯単身を選んだ半聖半俗の女たちが住まう「ベギン会」に移り住む。彼女は数学、経済学、生物学など独自の研究に取り組み、ヤンの名で著作を発表し始める。ヤンはヤネケと家庭を築くことを願い続けるが、自立して暮らす彼女には手が届かない。やがてこの小都市にもフランス革命の余波が及ぼうとしていた――。女性であることの不自由をものともせず生きるヤネケと、変わりゆく時代を懸命に泳ぎ渡ろうとするヤン、ふたりの大きな愛の物語。

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Posted by ブクログ

ネタバレ

はあ〜とっても面白かった。

誰もが自分の望みを持つ。その果たし方に時代性が出る。ヤネケにもヤンにも望みがある。2人にとって愛は意志であり、自分の欲するところを主張はするが、相手の意に反することを強制はしない。いたって現代的な倫理観と理知的な関係性だ。時代風のヤンがそういった態度を身につけていることがむしろ驚きなのだが、ヤンには体験から真摯に学ぶ才能がある。ヤネケが奇矯に見えるのは、彼女の所有欲が極端に低い上に実利主義だからだろう。
個体の能力や特性にはばらつきがある。様々な制約はあれど、それは普遍の真理みたいなもので、その中で自由に生きることができる。その哀しみ、苦しみ、開放感、喜びが、読んでいると身に染みてくる。
無数の無差別の可能性が収束する様は神にしか見て取れない。幸いなことに、人には愚かに生きる自由さえある。

0
2025年02月24日

Posted by ブクログ

ネタバレ

奇書というべき作品か。フランドル地方を舞台に中世ヨーロッパのような話が進行し、変な本を選んだかと後悔し始めたくらいで、少女ヤケネがヤンを誘って性に耽りだして、やっぱり変な本だとわかった。この天才のヤケネが修道女に似たベギンになり、ヤンは家の跡をついで、という大河小説な感じで、おおくの学術書を表すヤケネは誰かモデルが居るのかなと思いながら読み進んだが不明。よくこんな作品を書けたなあと感心した。

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2025年01月13日

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