あらすじ
母を亡くし、男爵家へ身を寄せる没落令嬢・春寧。
使用人のように扱われ、遂には母の形見である紫水晶の簪まで売られてしまった。
春寧は簪を買収した、鬼の美術商と噂の景臣の元を訪れる。取り戻す条件は『政略結婚』。春寧の家柄を稼業に利用するためだった。
「鬼の眼を持つ俺は、呪われた品を管理するためだけの存在だ」と心を閉ざす景臣。けれどその眼は簪の紫水晶のように輝き、春寧を包み込んでくれた。
そこで今度は春寧が、誰にも愛されずにいた彼を救いたいと心から望むが――。
恋と呪いの和風シンデレラ物語。
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Posted by ブクログ
邪気を感じられる紫色の右目のせいで恐れられていた景臣にとって裏表なく「目が綺麗」「その目が好き」と言い切った春寧に心許すのは容易に想像がつく。
のに、決定的に言葉が足りなくて、互いに思い合っているのにすれ違うのがもどかしかった。
彼の本心が伝わるのはラストだ。
随分待たされた。
それまで春寧はあちこちからいじめに遭うし、大切なものは無くしてしまうし、全体的に報われる展開やフォローが少ないので余計に居た堪れなかった。
景臣さん、フォローが、フォローが足りてないよ。
撫子だけじゃ弱いよ。
そんな二人の進展をより邪魔するのは火事の件。
段々と八百屋お七を彷彿とさせる展開に「ですよね」と思っていたら、二段構えだったという。
そこまでの展開は予想してなかった。
あるキャラの想いが通じるのかと思っていたのに、評価を上げて落とす展開とは。
事件のこの二段構えは本当に面白かった。