あらすじ
注意! 大企業の現役経営者や経営者OBの方は読まないでください、不愉快になるだけですから。
「失われた30年」で日本の上場企業の時価総額はアメリカの10分の1以下にまで衰退した。国民1人当たりのGDPはG7諸国の中では圧倒的最下位で、平均年収も韓国の後塵を拝している。にもかかわらず、日本の新聞やテレビなどのオールドメディアは忖度なのか、一向に日本企業の体たらくを批判しない。
戦後の日本が繁栄したのは、経営者が優秀だったからではなく、労働者が素晴らしかったからである。しかし、日本の経営者は労働者に報いてこなかった。失われた30年の間、労働者の実質賃金はほとんど上がっていない。
大企業に至っては、日本の年間GDPに匹敵する600兆円超の巨額の内部留保(企業の貯金)を積み上げながら、従業員の賃金は低く抑え、役員報酬だけを増額させている厚顔を許せない。
イノベーションとコーポレートガバナンスを怠り、今日の日本経済の惨状を招いたのは、日本の大企業やその経営者だ。
誰も言わないなら嫌われても自分が言うしかない。
ネスレ日本で同社史上最年少となる30歳で部長に昇格し、キットカットの受験キャンペーンの大成功など10年にわたって同社CEOを務めた筆者が、最新決算を踏まえて日本の主要業界の大手企業を徹底批判する。
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Posted by ブクログ
きらりと光るイノベーション
イノベーションというと、前章で触れた世界の風景を変えてしまうような衝撃的な事例ばかりを思い浮かべてしまいますが、世界とはいわないまでも、業界の問題を解決するようなきらりと光るイノベーションは少なくありません。
例えば、日本のIT企業「エムスリー」が開発した「m3.com」という医療情報ポータルサイトは、製薬業界の営業の風景を一新しました。ご存じの方も多いと思いますが、MRと呼ばれる製薬会社の営業は過酷な仕事の代名詞となるほど大変な仕事でした。自社の開発した薬を医師に売り込むわけですが、毎日のように病院に通い、何時間も待ってやっと1、2分、話を聞いてもらえるような仕事でした。医師との関係を築くために、医師が喜びそうな医療関係の情報を収集したり、医師が書く論文の資料を集めたり論文の草稿を書いたり、接待に明け暮れたりと、それはそれは涙ぐましい働きぶりで*した。
m3 には、医療に関するさまざまな情報が網羅されています。医療に関するニュースや、学会や臨床現場から発言される臨床情報、海外の主要学術誌に掲載された論文の抄訳などなどです。論文検索もできます。さらに、AIの「MR君」に質問すると、診療に役立つ医療情報、医薬品情報などを簡単に収集することができます。もちろん、国内外のすべての製薬会社の薬の情報が網羅されています。
m3の登場で、接待以外のMRの仕事の大半はなくなってしまいました。
m3 で探せば欲しい情報はすべて手に入るからです。2003年にスタートしたサービスですが、約34万人の医師のうち33万人以上が利用しています。
ほとんど全員です。医師の他、薬剤師など m3を活用する医療従事者は90万人を超えます。
Posted by ブクログ
イノベーションとリノベーション
リノベーションは、顧客がすでに認識している問題を解決することから生まれる
イノベーションは、顧客が気づいていない、または解決できないと諦めている問題を解決することから生まれる
社会の問題を察知しイノベーションの種を探すことは、経営者の大きな役割。それと同時に、イノベーションが起こったとき、それにより社会が大きく変化する兆しを、いち早く察知し、それがビジネスにどのような影響を与えるのか予想することも、経営者の重要な仕事