あらすじ
東京下町にひっそり立つ妖奇庵。
そこは妖人茶道家・洗足伊織の茶室だ。
《管狐》の夷、《小豆とぎ》のマメとともに、穏やかな日々を過ごす伊織のもとへ、
久しぶりに刑事の脇坂がやってきた。
元水泳選手であり、トラブルを抱えた妖人《河童》を連れて……。
ほか、青目と二人きりで密やかに過ごした時間が、
伊織視点、青目視点それぞれで綴られた物語も収録。
中村明日美子のコミックも収録した、真の完結巻!
*妖奇庵夜話の「き」は王扁に奇です。
感情タグBEST3
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Posted by ブクログ
冬の海から始まり、夏の海で締めくくられる。
伊織と青目の海辺の散歩と、伊織と脇坂の海辺の散歩。
対極的な二つの散歩。
伊織が脇坂を労る会話のシーンでは、脇坂の弱さを包み込むような優しさで涙を誘われた。
視覚を失っても、強く聡い伊織に戻って、夷とマメの家族と慎ましく暮らしている感が幸せな気持ちにさせられた。
脇坂はどんどん重くなる責任・期待に押しつぶされそうになったり、大人の階段を絶賛登っていて、伊織のことを思って妖琦庵から足が遠のいていたって言うのが、脇坂らしい。
伊織との会話で吐き出せて、救われて、また妖琦庵に行きたいと思えるようになってよかった。
伊織と脇坂の漫才のようなやりとりをずっと読んでいたい、と思えるお話でした。
Posted by ブクログ
洗足先生と青目の時間のお話し。
静かな静かな物語でしたが、青目の背負わされたモノの深さがとても悲しかった。
姿だけでなく、足音さえ聞こえなくなるほどに離れ行き、消えていく場面があまりにも……
後半の河童が明るい希望に満ちた物語だから、前半が切ない。
Posted by ブクログ
【収録作品】千波万波一/濤声/千波万波二/河童/閑話種々 初回特典ペーパー掲載コミック集
ファンサービスの巻。
青目と伊織が二人で過ごした日々をそれぞれの視点で語ったもの、その日々を含めたコミック、そしてアルコール依存症の「河童」の妖人をめぐる話。
脇坂くんが後輩を指導する立場になっていて、ワーカホリック気味なのはしんどくて、伊織に心配されるのももっとも。妖琦庵の時の流れが愛おしく感じられる。