【感想・ネタバレ】小戸森さんちはこの坂道の上のレビュー

あらすじ

29歳のフリーデザイナー・小戸森乃々香は、福井の海沿いの町、急勾配の坂の上に建つ祖母宅の管理を頼まれ、思い切って引っ越すことに。
この町には、昔住んでいた。「不倫の子」だなんだと、口さがないことを言われまくって、あまりいい思い出はないけれど――。

心機一転、快適な一人暮らしを満喫しようと思っていた矢先、幼馴染の清志郎が、ふたりの子どもを連れて家にやってきた!
しかも祖母からは「一緒に住んでもいい」と許可を得ていると言い出し、なし崩し的に謎の同居生活が始まってしまう……。
嫌な人とはかかわらず、ストレスフリーな生活をしてきた乃々香は、大いに困惑し振り回されるが――!?

「とりあえず。この坂道をわざわざ登ってやってきた相手くらいは、一度迎え入れてみたら?」
人生が変わる。世界が変わる。心がぐぐっとまた、動き出す。
あんまりありふれていない日常が、あなたの心に嵐とときめきを巻き起こす、大人の青春物語。

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Posted by ブクログ

ネタバレ

母親の自由奔放な生活と祖母の厳格な生活のせいで、色々と不遇な子供時代を過ごしてきたフリーデザイナーの小戸森乃々香、1年間旅をするので留守番をしろという祖母のいいつけで不遇な子供時代を過ごした福井の家で住むことになったが、ある日小学校時代の失恋相手清志郎が2人子連れでやってきて居候を決め込む…。

似家族テーマの小説、恋愛模様も描いているが、所謂ハッピーエンドとしては、どの恋愛は成就しない。むしろ成就しない環境下にあってどう生活していくのか、どう人間関係を築いていくのか、どう幸せを感じていくのか?という、実はうまくいく恋愛よりよほどそっちの方が大事なんとちゃうか?という部分を掘り下げている小説。

誰かに依存しないと幸せになれない人、裏切られるのがイヤだから一人で生きていきたい人、心のままにアドリブで人生の舵を取りたい人、人には美味しく食べて欲しいが自分は人と飯を食うのがイヤな人…それぞれの幸せをそれぞれが味わえる世の中であってほしい。

子育てが終わった俺、もはや誰かのために良かれと思っての言動など必要なくなったので、これからは自分のためだけに自分が幸せになる行動をして生きていこうとひそかに心に誓ったのだった。

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2025年12月22日

Posted by ブクログ



世の中にはほんとにいろんなわけわからん人がいるなと、Yahoo!ニュースを見てると思うわけです。(SNSもしかり)

たとえば『世間が許さない』を多用する人がいるけれど、あれは世間を代表する立派な人でもなんでもなくて単純に『自分が』許せないだけだし、『あなたのため』という気持ち悪い修飾語で自分の思い通りに事を進めようという鬱陶しい人もたくさんいるし、よく知りもしない人間をコケ落としたり、何の意味もない正論を武器にしたり…とにかく世の中にはいろんな人がいる。

そんななかで、そういう人の放つ言葉や思考全部に『うるせえ、黙ってろ』と言うのがわたしの友人、櫻いいよなわけです。

乃々香は不倫の末に誕生した子として、生まれる前から罪の証のように言われ、清志郎は血の繋がりのない連れ子を2人連れていて、漸は育ち方ゆえに他人と食事をするのを厭う。なんだかへんてこな5人が坂の上の家で同居してるうちに、それぞれがちょっとずつ自分の意思で成長していく。
なんて書いたら薄っぺらく聞こえてしまうけれど、それはわたしの語彙力の問題であって作品のせいではない。とにかく読んでほしい。

相手が誰であっても、自分の常識というなんの保証もないもので相手を縛ってはいけない。決めつけてはいけない。
子どものしたことだからとなめてはいけない。
過去にされたことをいつか許さないといけないなんてことはない。許さなくてもいい。
楽な場所が居場所なわけでもない。窮屈でも自分が生きたいと思える場所で、存分に生きたらいい。
そして、モラハラ野郎にはワインをかけましょう(とても重要)

誰も彼もを心に受け入れられるわけではない。でも勾配のきつい坂道を登り切って訪れた人には、少しくらいは開いてもいいのかもしれない。

家族未満のひとつ屋根の下に暮らす5人がわたしはいとおしいし、漸のつくったごはんをいっしょに食べて明日を笑って生きてほしいと思う。

いわゆる『世間』の言葉なんぞに耳を貸すことなく、そして時に『うるせえよバーカ!』と吼えたりしつつ、強かにしなやかに生きていきたいものです。


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2023年05月21日

Posted by ブクログ

ネタバレ

はぁーいやだねぇ。世の中いやな人がいっぱいいるねぇ。
乃々香は事実だ、仕方ないってすっかり諦めてたけど、ほんっと胸糞悪い。
特に生徒会長と和香の両親かな。漸がいい仕事してた。

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2023年08月31日

Posted by ブクログ

ネタバレ

主人公の乃々香は過去の経験から自分の本当の感情を抑えつけて、人ともできるだけ距離をとって過ごしてきましたが、清志郎やその子供たち、漸と生活するうちに、頑なだった心が少しずつほどけていきます。

母の恋人に会う場面で、それが顕在化し、思い切った行動に出ます。さらに母親も乃々香に続いて恋人の頭にワインを注ぎ、痛快極まりない思いがしました。

大人だから、いつもいつも感情をむき出しにはできませんが、私もできるだけ、自分の心に嘘をつかずに上手く感情を解き放っていくことができればいいなと思いました。

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2025年12月19日

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