【感想・ネタバレ】月と散文のレビュー

あらすじ

いろんなものが失くなってしまった日常だけれど、窓の外の夜空には月は出ていて、書き掛けの散文だけは確かにあった―― 16万部超のベストセラー『東京百景』から10年。又吉直樹の新作エッセイ集が待望の発売!

...続きを読む
\ レビュー投稿でポイントプレゼント / ※購入済みの作品が対象となります
レビューを書く

感情タグBEST3

このページにはネタバレを含むレビューが表示されています

Posted by ブクログ

ネタバレ

魂の解放の話。

好きな芸人さんではあるけど、メディアに出ている時は色んな方面に気を使いながら喋っている事が多い感じがするのが、この本では恥を忍んで少し魂を解放している雰囲気が良かった。

最後の「魂を解放してもいいですか?」でスナックでママに応援されながら、一人カラオケを歌う話が良かった。



p. 93 しかし、文学者が排他的な思想を持っていたことには、少なからず動揺した。それは、文学に幻想を抱いていたからだ。かつては憧れに似た感覚で書店の本棚を見上げていたが、その棚に排他主義者が隠れているのかと思うと吐きそうになる。そんな鈍い感性の書き手は一部に過ぎないのだろうけれど、書店が恐ろしくなったというのは事実だ。
かつて、真夜中の古書店の灯りに照らされた僕はどんな表情をしていただろう。本に囲まれて背表紙を追っていた僕の感情はどうだっただろう。本棚から一冊だけを大切に抜き取った僕の手はどうだったか。その本をアパートに持ち帰り、ページを開く時の高揚感を想い出すと哀しくなる。本に申し訳ない気持ちになる。もう、あの頃のようには本を愛せなくなってしまった。本が悪いわけではなく、僕が変わってしまったのだろう。


p. 197
も もっと大変な人がいるなんて分かっているよ。トーナメントじゃないんだから



0
2025年03月09日

「エッセイ・紀行」ランキング