【感想・ネタバレ】ミセス・ハリス、パリへ行くのレビュー

あらすじ

映画『ミセス・ハリス、パリへ行く』
2022.11.18(金)より映画公開

もうすぐ60歳の家政婦さんがディオールのドレスに恋をした!

1950年代のロンドン。ハリスおばさんはもうすぐ60歳の通いの家政婦。夫を亡くし、質素な生活を送っている。ある日、勤め先の衣装戸棚でふるえるほど美しいクリスチャン・ディオールのドレスに出会う。今まで身なりを気にしてこなかったが、自分もパリでドレスを仕立てようと決意し、必死でお金をためることに。やがて訪れたパリで、新しい出会い、冒険、そして恋? 何歳になっても夢をあきらめない勇気と奇跡の物語。解説・町山智浩

※本書は、1979年12月に刊行された『ハリスおばさんパリへ行く』(講談社文庫)を、現代向けに加筆修正し、角川文庫化したものです。原題:Mrs Harris Goes to Paris

この物語は、還暦近い家政婦ハリスさんが、努力と幸運と善意で、パリの高級ドレスを仕立てることになる、シンデレラ・ストーリーです。しかし、その背景には、当時、イギリスやフランスで起こりつつあった社会変動が隠されています。
オート・クチュール(高級仕立て服)はどれも一点ものです。だから、ファッションショーもごくごく限られた大金持ちのお得意様だけに見せるものでした。
ハリスさんはそれでも堂々とショーを見せろと要求します。自分が汗水垂らして稼いだ金を持ってきたのに何を恥じることがあるのか。
ディオールのマダムは、ハリスさんを見て「不思議な風格」を感じます。風格とか気品はその人の生まれ育ちや着ている服ではなく、内面から立ち上がるものだからです。
一生縁がないと思われたドレスを作ることが、ハリスさんなりの反逆であったことはいうまでもありません。――町山智浩

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Posted by ブクログ

ネタバレ

映画を見てからこの本を読んだのである程度ストーリーは知っていたけれど、映画と話の展開が違っていて読むのが楽しかった!

原作の方が、ディオールで働く人たちがハリスさんに対して友好的で優しい。
あのマダムコルベールでさえもハリスさんのもつ女性の強さに感銘を受けて協力的にうごく姿に映画とのギャップを感じた。

自分の今までの人生と照らし合わせながら、ハリスさんの言動にうんうん分かるとうなずきながら読み進めていった。

ずっと欲しかったドレスを買ったということではなく、そこに行き着くまでの経験や人との出会いが何よりの財産となり、それは生涯失われることのないものとなる、という感覚に気づけたハリスさん。この経験をした人でないと得られない感覚だなと思う。

ひとつひとつの描写が頭の中でイメージしやすかった。
最後の部屋にお花が運ばれてきて思い出の場所、人、匂い、情景が思い起こされてくる様子が、私もハリスさんみたいに一緒になって想起していけたのは、この作者の描写力によるものなのだろうな。

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2025年03月12日

Posted by ブクログ

ネタバレ

若山曜子さんのInstagramで紹介されていて、気になって手に取りました。
ロンドンのお掃除おばさん、ミセスハリスがディオールのドレスを求めてパリに出かけるお話。

ハリスさんの人柄が、出会った人を幸せにしていく、とてもハッピーなお話でした。面白かった!
ニューヨークと国会の話も読みたくなりました

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2024年01月23日

Posted by ブクログ

ネタバレ

仕事に矜持を持った英国人の家政婦・ハリスおばさん。仕事先でクリスチャン・ディオールのドレスに魅せられ、無謀ともいえるドレス購入計画を立てる。試行錯誤でお金を貯め、とうとうパリの地についたときは、この先どうなるのかと胸躍った。心根のいい人は反省するし誠実な行動が取れる。そうでない人は恩を仇で返す。両者の違いが興味深く、ドレスを買えてよかったというシンプルなハッピーエンドでない点も気に入った。

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2023年07月07日

Posted by ブクログ

ネタバレ

ラストのエピソードが、とても印象的です。
起こってしまった事を嘆き続けるより、今ある幸せに目を向けて。
でも、2度と同じ失敗をしないために覚えておく。
人生、次へ進む。

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2023年04月25日

Posted by ブクログ

ネタバレ

前半は翻訳ならでは?の周りくどさがありましたが、どんどんストーリーが進んでいってわくわくしながら読めました。
シャサニュとハリスさんがもしや恋?と思ったらそれは無かったです。
巻末の時代背景をふまえた解説もよかったです。

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2025年11月13日

Posted by ブクログ

ネタバレ

映画は未視聴。
ディオールのドレスに一目惚れし、その後は取り憑かれたようにドレスを思い出し、自身が所有することを夢みる、その様子がとてもワクワクして、素敵だった。
それに付き合うバターフィルドおばさんも優しくて面白い。
次々と人々を幸福にしていくハリスおばさんだが、ラストは単純なハッピーエンドではなかった。
ドレスを持って帰ってすぐ、貧乏な女優の卵が着るものがなくて困っていたところにシンデレラの魔法使いよろしく、ドレスを貸してあげた。
ところが、翌日返してもらおうと訪ねてみると、焦げ臭いにおい。ドレスの一部が焼け焦げ、刺繍の黒ビーズも溶けていた。一緒に手紙と1ポンドが置いてあり、"昨夜のパーティで危うく私まで燃えてしまうところだった。ドレスは燃えたけど一部だけだから、おばさんの入ってる保険で安く直せるし問題ないはず。旅行に行くことになったから、その間も掃除よろしく。その間の掃除代として1ポンド置いておきます。"という旨の内容。
さすがにハリスおばさんも、その娘宅の鍵をポストに入れてその宅の掃除婦をやめ、帰ってから泣いていた。浅はかな娘という描写もあり、当然だ。今まで順調に問題が起こっても解決していったのに、最後の最後で酷すぎる。その時、フランスから、たくさんの花が感謝のメッセージと共に届き、花屋のような状態に。みんなが慰めてくれているような、フランスでの色々な出来事を思い出し、胸がいっぱいになる。
このドレスは修繕することもできるだろうが、それはまた別のドレスになってしまうと思い悩む気持ちもよくわかる。だからあえて、このまま保管し、思い出にすることにして泣きながらドレスを抱きしめるハリスおばさん。
好き。


これは、ハリスおばさんの作り話であって、ハリスおばさんの区分法によると、うそではなかった。作り話では、だれもめいわくを受けはしないが、うそはたくらみであって、自分の身を救うとか、不当な利益をものにするとかの手段なのだ。うそだけはいわないほうがいい。そうしないと、不正直というスタンプがおされてしまう。ハリスおばさんは、だから、うそはいわない。p66

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2023年06月15日

Posted by ブクログ

ネタバレ

イギリスの掃除婦のおばさんハリス。ディオールのドレスに魅せられて一念発起。450ポンドをひたすら貯める。そしてパリへ行っての冒険と呼んでもいい人々との出会い。誠実でユーモアがあり洞察力のある人柄がみんなを魅了し、幸せになる。最後のドレスを貸した結果は残念な事になったけれどでも全てハッピー。

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2023年01月30日

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