あらすじ
アラカン(60歳すぎ)の家政婦さん、国会議員に立候補!?
『あんたも私も楽しく生きなきゃ』でホントに当選できるのか??
何歳になっても夢をあきらめない、奇跡と勇気と愛の物語、第3弾
ロンドンの家政婦ハリスおばさんは、ある晩、運転手のベイズウォーターさんらと討論番組を見て政治について熱く語る。それを思いの外にほめられ気を良くするが、翌日お得意さんで政界の大物ウィルモット卿にもたっぷり演説したら、選挙に出ないかと誘われ、あれよあれよという間に立候補することに。しかし、実は卿にはあるたくらみがあって…。『あんたも私も楽しく生きなきゃ』の標語(スローガン)で本当に当選できるのか??シリーズ第3弾。解説・君塚直隆
ハリスおばさんは、ロンドンの高級住宅街に顧客を多く持つ、通いの家政婦さんである。イギリスは現在でも階級意識が強い。おばさんはそのようなイギリス階級社会でも底辺に近いところにいる、まさに「庶民」「大衆」のひとりであった。そんなハリスおばさんが『あんたも私も楽しく生きなきゃ』という選挙スローガンで国会議員選挙に打って出るという設定は、当時としても破天荒なものだったはずである。その姿は、ともすれば殺伐として他人のことなど思いやれない当時の世相に対する痛烈な皮肉になっていたのかもしれない。――君塚直隆(関東学院大学教授)解説より
※本書は、1981年11月に刊行された『ハリスおばさん国会へ行く』(講談社文庫)を、現代向けに加筆修正し、角川文庫化したものです。原題:MRS HARRIS MP
【絶賛の声】
「ミセス・ハリスはフィクションの偉大な創造物のひとつであり、彼女と知り合いだと感じるほどリアルで、本当に不思議な存在だ。彼女の魅力は尽きない」(ジュスティーヌ・ピカルディ)
感情タグBEST3
Posted by ブクログ
シリーズもの。ほかは読んでないけど、面白かった。翻訳ものでいまではあまり見かけない下町言葉(?)の会話文だなー、と思ったら、もとは1981年に刊行したもの。勢いがよく、楽しめました。
Posted by ブクログ
毎回、ハリス夫人の人柄に影響された人達によってトントン拍子で都合よく進むかと思いきや、急に現実的な困難に直面して苦しむというのがクセになるシリーズ。
今作では、“あんたもわたしも楽しく生きなきゃ“をスローガンに、選挙活動をする。
ハリス夫人のような人がいたら夢をみて票を入れたくなるかもしれないが、実際はやはり政治知識がないので右往左往する。単に政治家や総理大臣になりたいなどといっても、はったりでもいいから政治的弁論術を持たねばならないという現実的な話である。
終わり方がベイズウォーター氏がハリス夫人を連れ出してくれるのだが、映画のような逃避行の始まり方でわくわくした。
友人に好評だったため調子に乗ったハリス夫人の通い家の1つである、政界での大物・ウェルモット卿相手に演説を披露すると変なアイディアを閃かれてしまい、選挙に出馬することに。(しかし、最初から落選させる計画で、ハリス夫人の登場で票が割れて目当ての人物が当選するのを狙った)
車内でそれら密約を交わす中、車内電話はたまたま切り忘れられており、運転手のベイズウォーターの耳に入る。(毎週木曜の夜にお茶に来るほどハリス夫人と仲良し)
気の毒に思ったベイズウォーターは、今シリーズ過去作でハリス夫人の仲良くなった内の有力者に手紙を書いて手伝ってもらい、ハリス夫人が当選するよう企てる。p119
ロールスロイス仲間で近辺の家を手分けしてまわり、1件15分という時間を設けてハリス夫人の布教活動を行ったり、政治的アピール無しならテレビ出演できるので主婦向けの番組に出て家政婦の仕事を見せたり(政治を少し語ってしまい反感も買う)、フランスの人気新聞内でハリス夫人をこけ下ろすことで反感を買わせ、逆にフランス野郎に負けるなよ!と結構な支持率になった。
そして当選。
しかし、本来は落選させるはずだったという陰謀を噂で議員らの知ることになり、そんな本来落ちるはずだった無知な家政婦の舞台にされちゃたまらないと周りは冷たくなり、ハリス夫人の当選により元々少なかった議席が2席減ったり計画が崩れたパニック等で同じ党の議員もハリス夫人には冷たい。選挙活動を手伝ってくれた人達は逃げていった。
たまにこっそりと、応援してますよ!と声を掛けてくれる人がいるくらいで、議員とは何をすればいいのか、国会に出ても内容を理解するのに精一杯。
選挙活動を手伝っていた(落選させるためしょぼい演説くらいしかさせようとしなかった)スマイスが帰ってきたというので話に行くと、落選させようとしていた陰謀を話され、そこからベイズウォーターの企みも推察でき、本人に問いただすと白状し、絶縁を告げる。
家で無気力な状態でいるのを親友のバターフィルドおばさんに発見され、声をかけても反応せず1点を見つめており、これは大変だと介抱する。
ベイズウォーターに電話で助けを求めるが、自分では無理だと断られる。
しかし、ベイズウォーターは不思議な力に動かされ、旅支度をし、これからハリス夫人宅へ押し寄せるであろうマスコミなどを思い、ハリス夫人と共に海外へ出かける。
Posted by ブクログ
ニューヨークから帰ってきたハリスおばさんが、今度はひょんなきっかけで国会議員に立候補することになり、びっくり驚きの展開でした。
ロールスロイスの応援部隊や、テレビ出演など、ハリスさんの知らないところで話は進み、本当に国会に?
ハリスさんの、家政婦のお仕事をしながら毎週木曜日は映画を観に行って、バターフィルドおばさんとお茶を飲みながらその日1日起きた出来事を話し合うのが1番楽しい過ごし方という暮らし方に(老後については気になるものの)、共感します。取り止めもない話が沢山できる、素敵なお友だちがいるなんて、恵まれた人生ですよね。
Posted by ブクログ
ハリスおばさんが選挙に出馬。だがその裏では陰謀があった。
ハリスおばさんの人柄の良さで周りの人が惹きつけられて陰で周りが動いていく展開が面白かったけど、イギリス議会の実情・政治の世界はドロドロ。
出馬スローガンのように勢いのある発言をして議会に風を吹かせてほしかったな。
浮き沈みのある展開にちょっぴり切なさを感じたが今作も面白く、ハリスおばさんのことがやっぱり大好きだ!
Posted by ブクログ
エイダ・ハリスには、国会という舞台は大きすぎたか?だからこそハリスおばさんは、あの決断をしたのですが、、、
シリーズ第1弾がとても良くて、2弾目がちょっぴり物足りず、内容としては今回は中盤までかなり良かっただけに、最後のボリュームが足りないのではと余計に残念な気がしました。昔馴染みを頼りすぎるのもビミョーか。ミセス・ハリスシリーズは長過ぎないところが大人の絵本的な感じで良いのですが、この設定だともう少し議会でのふくらみが欲しかったかなあと。ハリスさんが行く先で出会うひとたちに色んな影響を与えるのが魅力なのですが、その意味では新しい出会いでチャーミングなキャラクターがほしい。第2弾で伏線を引いたロマンスの追加展開もありましたが、ラストにこの要素が強かったのは、エイダ・ハリスの生来の気性にはそぐわない気も。ロマンス的なセクションがいつもより多かった。ここは、ロマンス好きかどうかで評価が分かれそうですね。イギリス人vsフランス人の場面は、どちらもユーモラスにこき下ろされていて、気軽に愉快です。展開が早くするする読める魅力は、さすかのギャリコですね。
Posted by ブクログ
政治に不満を持ったハリスおばさん、なんと派閥争いの陰謀に巻き込まれ、国会議員に立候補することに。そらもう最終的には惨憺たるめにあって、1作目のファンタジックさとは違う苦いレッスンとなるのだが、女王にお会いしたときの感動や、何よりラストのロマンチックさに救われる。