あらすじ
8月12日、クーラーのリモコンが壊れて絶望していた「私」の目の前にタイムマシンが現れた。後輩の明石さんたちと涼しさを取り戻す計画を立て、悪友どもを昨日へ送り出したところでふと気づく。過去を改変したら、この世界は消滅してしまうのでは……!? 辻褄合わせに奔走する彼らは宇宙を救えるのか。そして「私」のひそかな恋の行方は。
小説『四畳半神話大系』と舞台「サマータイムマシン・ブルース」の奇跡のコラボが実現!
※電子書籍特典として著者の直筆メッセージ画像を収録しています。
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Posted by ブクログ
とても良かった!
何より文体が好きだし、主人公の一人称視点の自著伝的、日記的な書き方かつ短文でスピーディな語り方が私の性に合ってた。
内容もとても良く、現実にファンタジー要素を組み込んでいるのにもかかわらず、リアルである感じは捨て難く、ファンタジーとしてではなく現実として受け入れられた。
今回が森見登美彦さんの作品のが初めてで、他の作品も読みたいと思えた。
私も無駄に人生を過ごさないように惰性で堕落してしまわないようにしたい。現実にはタイムマシンはないのだから。未来を自由に過ごせるように行動しようと思う。日々勉強。
実家にあった本を借りパクしてよんだ。皮膚科の待ち時間と寝る前の今。一日で。(2025/10/20 23:29:22)
Posted by ブクログ
一言で表すと最高。前作に続き、これまた別の四畳半の世界だが、前作がややくどく感じたのに対して、本作は爽快でこれこそ森見登美彦さんの作品に期待していたもの。登場する小津や明石さん、樋口清太郎らは健在。むしろ小津は腹立たしさ、小憎たらしさが増している気がする(笑)。中でも京福電鉄研究会の内紛にまつわる小津のエピソードは悪辣すぎて、逆に笑えてくる。結果的に何に罪もない主人公だけが蚊帳の外に置かれる結末は、作者のセンスの賜物だと思う。
最も好きな場面は、主人公が明石さんを五山送り火に誘うところ。不器用なのに格好をつけたがる主人公が、全然かっこよくない形でしどろもどろになりながらも積極的に明石さんを誘って、その結果うまくいく。なんだか自分のことのように嬉しい。
125年もの時をかけるリモコンは無駄に壮大で、しかも小津のこぼしたコーラで壊れるのも幕切れとして呆気なく、なんだか「らしい」終わり方。結末が暗示する未来も「読んでよかった」と思わせるものだった。
Posted by ブクログ
あの四畳半の住人たちが帰ってきた!
あの頃見ていた下鴨幽水荘の下宿人たち・・・彼らのひと夏のドタバタ劇など、見て面白いに決まっていた。
原案であるサマータイムマシン・ブルースは未視聴であるが、これを見て観たくなった。タイムマシンによる時空の整合性を取るため、奮闘する大学生たちの姿は、滑稽かつ青春の生暖かい風を読書に吹きかけてくれる。
私と明石さんの恋の進展もあり、またさらに先を見たく思った。四畳半は永遠なり!
Posted by ブクログ
心地よく文学的な文章で、主人公の堕落した生活を描写するギャップが面白い。ダメだなーと思いつつ、どこか主人公に共感してしまう。
いつもなぜか明石さんとうまくいく感じになることが予想できるが、そうなることに安心してしまう。
時空間を行き来することで、読者をどこか違う場所に連れて行ってくれる感じも好き。
人生の選択肢は無数にあり、どれを選ぶかで無数に分岐していくが、どれを選んでも影響は大差なく、変えることができるのは自分の心の持ち様だけと感じる。どんな場所に置かれても、自分からが変わらなければ変わらないし、逆もまたしかり。