あらすじ
安政七年(1860)三月三日、雪にけむる江戸城桜田門外に轟いた一発の銃声と激しい斬りあいが、幕末の日本に大きな転機をもたらした。安政の大獄、無勅許の開国等で独断専行する井伊大老を暗殺したこの事件を機に、水戸藩におこって幕政改革をめざした尊王攘夷思想は、倒幕運動へと変わっていく。襲撃現場の指揮者・関鉄之介を主人公に、桜田事変の全貌を描ききった歴史小説の大作。
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Posted by ブクログ
黒船来航、迫られる開国、国の存亡の危機!非常事態を受けて就任した井伊大老。甚だしい専制政治。雄藩の大名の意見も無視。御三家ですら弾圧する。彦根藩としての私怨も手伝い窮地に立たされる水戸藩。続きは下巻へ。・・複数名の老中が大名の意見を聞きながら執政する。江戸時代も合議制が機能していた。民主主義に移行し易い土壌があった。早急な判断が迫られる緊急時、意見を集約する時間がない?だから独断専行?反対意見に耳を傾けずに正しい判断ができるのか。コロナ禍、緊急事態条項の必要性が叫ばれる中、よく考えておく必要がある。
Posted by ブクログ
2011.1.19~2.14
著者が言う"江戸幕府崩壊と大東亜戦争敗戦はそこに至る経緯が似ている、とりわけ桜田門外の変(1860年)と二・二六事件(1936年)は極めて類似している"との指摘はなるほどと感じた。確かに事件によって前者は(尊王はともかく)攘夷派が敗れて開国に導き、後者は軍国主義の暴発と悲惨な敗戦に導いた。しかし暴力によって事態を打開しようとする野蛮な行いが76年後に繰り返されたとうことは歴史に学んでいない訳で、その代償は余りにも大きかったと思う。「長英逃亡」と同様、幕府側の捜査網の鋭さに驚く。
Posted by ブクログ
作者のいつもの作品らしく、時系列で淡々と進んでいくが、それでも水戸藩の差し迫った状況が浮かんでくる。
幕末は何度も何度も小説で読んでいますが、意外と水戸藩の状況って知らなかったのだなぁとの感想です。