あらすじ
店を畳む決意をしたパン屋の父と私。引退後の計画も立てていたのに、最後の営業が予想外の評判を呼んでしまい――。日常から外れていく不穏とユーモア。今村ワールド全開の作品集!
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Posted by ブクログ
「むらさきのスカートの女」を読んで以来2冊目の今村夏子さん。やはり不思議ワールドで、「世にも奇妙な物語」っぽい。「それで真相は?」と思っても答えは書かれておらず、「なんだったんだろう」と読み終わった後ぼーっとする。読者の想像力に任せるということだろうか、絶妙だ。
登場人物はみな孤独なようでいて人と繋がっているのがほっとさせられるところだ。
Posted by ブクログ
日常のちょっとした気になる状況に出くわした主人公たちが、とんでもない行動をしていく。そのとんでもない行動がどうなるかを…ほっておいて、とんでもない行動をただ読まされる短編集。こういうちょっと変なヤツの変な行動を写実するっていう手法で純文学を成り立たせることもきできるのかぁ。
周りにも変なヤツはいる。SNSで妻と娘を愛してるモード全開の投稿をしてるのに、複数の女性をストーカーしてるヤツとか(捕まれ!)、仮装登山投稿でファンを獲得しておいて、突然関係のない不幸話を投稿して視聴者を混乱させるユーチューバーとか、失恋した友人の肩を持ったまでは良いが、あまりにもしつこく振った相手を攻撃して、肩を持った友人にまで避けられてるヤツとか…。
俺もきっと変なヤツなんだろう。文章を上手にかければ、そいつらを交えた自伝を描けば俺も小説家に…(なれるわけがない)
Posted by ブクログ
初めて読む作家さん。タイトルでほのぼの連作短編集を想像してましたが、癖のある登場人物が織りなす癖のある物語でした。
それでいてどことなくユーモアを感じるのが不思議。
「せとのママの誕生日」のママと「父と私の桜尾通り商店街」のお父さん、大丈夫じゃないよね?早く救急車!と思ったら娘は早々に見切り付けて希望に溢れてた。すごい。
Posted by ブクログ
今村夏子の小説には、なにかしら違和感が存在する。
一般世界では起こらないような出来事が起こったり、登場人物がおかしな行動をとったり…しかも、普通の顔で変なことしているし、おかしいことが起こっても何事もなく時が流れている。
そんな気持ち悪さがちょっと快感でもあり、普通の世界を壊すような感覚があって面白いんだと思う。
あとがきでも書かれているが、登場人物に少し痛々しさがあるのもまたいい。
恥ずかしい、かわいそうと思うような登場人物が出てくるが、意外とどの人も自分の状況にへこたれず、たくましく生きていく感じが好きだ。
(こんな読み方であってるのかわからないが)何も考えず、読んでストレス発散になるような小説だと思う。