あらすじ
★2025年TVアニメ放送決定★
★コミカライズ好評連載中★
メグがファウストから告げられた余命は残り半年。焦りを感じるなか、『災厄の魔女』エルドラがラピスの街を訪れる。明かされるメグの過去、エルドラとの知られざる因縁は、未熟な魔女に師のもとから旅立つことを決意させる。
己のルーツを探し、世界を巡って、嬉し涙を集めるためのはてしない旅。出会いと別れを繰り返し、己の無力さに打ちのめされ、助けた人に裏切られ、悲しみの感情を何度も目の当たりにして。それでも魔女は下を向かない。
「いつも胸に希望を抱きな、メグ・ラズベリー」
希望を胸に宿し絶やさぬこと。それが絶望から人々を救う『魔法』なのだと、師が教えてくれたのだから。明るく愉快で少し切ない、魔女の師弟の物語。旅立ちの春は瞬く間に過ぎ、追憶の夏へと向かう第三幕。
余命1年の見習い魔女が織り成す、ほっこりハートフルファンタジー!
17歳の誕生日に、師匠から呪いによる余命を告げられる主人公・メグ。
“命の種”を使い、不死になることで呪いからは逃れられるが、それには人々の嬉し涙1000粒が必要だった。
日々嬉し涙集めに奔走するメグは、様々な人と関わり、想いに触れる中で魔女として成長していく。
そうこれは、未熟な見習い魔女・メグの成長譚でもあるのだ。
天真爛漫なポジティブおばけでありながら、口の悪さとおっさんくささを併せ持つ、メグの生き生きとしたキャラクター性も本作の魅力。
どうしようもない結末に涙せずにはいられない場面もあり、同時に優しさや希望を感じさせるものも。
心に残る余韻を求める方におすすめの一作。
感情タグBEST3
Posted by ブクログ
「ある魔女が死ぬまで」のカクヨミ版は読んだことがありますが、書籍版は新キャラがよりメグと馴染むような、ストーリーの構成が変更されていてどちらも面白かったです。また主人公メグの心情変化も、とても面白く感動しました。
Posted by ブクログ
『ある魔女が死ぬまで3』は、シリーズの中でも一段と深みを増した物語だった。
これまでの「死を見つめながらも笑う魔女」の旅が、ここでは“生きる”という意志の物語へと昇華している。メグ・ラズベリーという存在が、悲しみや孤独を引き受けながらも、そのすべてを笑顔に変えようとする姿に、読者は静かに心を揺さぶられる。
世界を巡る旅の中で彼女が出会う“嬉し涙”の数々は、単なるファンタジーの欠片ではなく、人が他者と向き合うときに生まれる希望そのものだ。痛みを避けず、苦しみの意味を探りながら、それでも前へと進む姿勢が、この巻を通して圧倒的な生命力として描かれている。
また、物語全体に漂う詩的な余韻が美しい。坂氏の筆は、軽妙な会話とともに、人生の重みをそっと包み込むように進む。ページを閉じた後、胸の奥に残るのは「終わりではなく、始まり」という確かな予感。タイトルにある“はてしない物語”という言葉が、まるで読者自身に「あなたも生きて物語を紡げ」と語りかけてくるようだった。
魔女が死を恐れず、それでも生を選ぶ。
その強さと優しさが、静かな夜の灯火のように心を照らす。
シリーズの中で最も「生きる意味」を問う巻であり、同時に、最も温かく希望に満ちた一冊だった。