【感想・ネタバレ】滅びの園のレビュー

あらすじ

ある日、上空に現れた異次元の存在、<未知なるもの>。
それに呼応して、白く有害な不定形生物<プーニー>が出現、無尽蔵に増殖して地球を呑み込もうとする。
少女、相川聖子は、着実に滅亡へと近づく世界を見つめながら、特異体質を活かして人命救助を続けていた。
だが、最大規模の危機に直面し、人々を救うため、最後の賭けに出ることを決意する。
世界の終わりを巡り、いくつもの思いが交錯する。壮大で美しい幻想群像劇。

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Posted by ブクログ

ネタバレ

好き!
個人的に誠一は、『みんなを苦しめてすまない。自分が悪かった』と億が1に思うことがあったとしても、あの看護師に殺されていた気がする。
大前提として『《未知なるもの》に攫われた被害者』であると同時に『多数のために幸せを奪われて不幸な現実に突き戻された敵国の民』という立場なのを理解しておかなくちゃいけない。

「ここは夢です。幻の世界です。家族もみんないなくなるし、貴方も死ぬ可能性が九割ですが、世界を救って死ねるなら本望ですよね?良い生き方ですよね」
なんて言われて納得するかぼけ!!
自暴自棄入ってるとはいえ交渉下手くそか!!
その人は年月をかけて幻想を現実だと認識してるんだよ!?

でも、同時に『多くの人が死ぬ要因のひとつ』となった事実も残っていて……
今回の看護師は突入者の家族を殺された、暴言を吐かれ続けたという大義名分があるけれど、まあ、なくても『気に食わないから殺す、自分のように不幸になれ』と手を出していたに違いない。
野夏がされたように、自分のために他人を悪だと決めつけたい人は沢山いるだろうから。
だから、看護師と誠一は大きな差は感じない。
悪人(魔物)を成敗した。
どちらも今いる場所が現実だと信じて疑わなかった。
でも決定的に異なるのは、誠一は他者へ向け向けられる愛に由来にしていて、看護師はただの恨みでしかなくて、言い訳を取り繕って感情で動いていたところ。
だから、ふたりの信念には小さいけど明確な差が有るように私は思う

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2026年03月22日

Posted by ブクログ

ネタバレ

恒川ワールド、とても楽しかったです。
自分が鈴上誠一だった場合、愛する妻子がいる状況だったらそうせざる得ないよなと思いました。
最後、絶望を味わる際に言われた、鈴上さんと野夏さんが違うのは、地球の地獄を見たかどうかと言われ少し納得はしました。
プーニー現象と昨今のコロナ禍が被るところがあり、想像の世界でとても楽しく読むことが出来た小説でした。
恒川ワールド最高です。

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2026年03月02日

Posted by ブクログ

ネタバレ

助けて欲しいくらい読み終わったあとの謎の喪失感に襲われている。私も誠一のいたユートピアに存在していたかったのかも。なんかすごい作品を読んでしまった感がする。

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2024年09月04日

Posted by ブクログ

ネタバレ

あらすじを目にしてから読んだら、想像と違う始まり方で意表を突かれた。
異界と地球、それぞれに生きる登場人物の視点の切り替わりが、ファンタジーとSFを行ったり来たりしているみたいで独特な雰囲気。

プーニーが現れてから人々の営みが死と隣り合わせになり、様々なことが制限される状況は、3.11後やコロナ禍を思い起こさせる。
プーニーの生体や異界の仕組みなどについては科学的な解説があまりなく、ふんわりしている。しかし、社会がどう変わったかという描写は細やかでリアリティがあるので、世界観に説得力が生まれているように感じた。

鈴上さんに対する印象が、物語が進む中でどんどん変わっていくのは、バイアスに関する思考実験みたいに思えた。それくらい、複雑な立場のキャラクターだった。
彼だけが結果的に何かを成し遂げることなく終わったのは、自分が本来生きるべき世界と向き合って足掻くだけの未練がなかっただけ、というのが哀しい。









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2026年02月22日

Posted by ブクログ

ネタバレ

タイトルと装丁が魅力的で気になっていた作品。

プーニーという地球外生命体?が突如現れる。平凡な主人公がプーニーに取り込まれ、理想郷のような夢の世界で核となり幸せに生きて行く。
地球では、プーニーにより多くの犠牲が出ており、プーニーとの適合者が地球を守ろうと奮戦。

主人公と地球人、お互いに今生きている場所を守りたい。それぞれの大切な場所、でも、どちらか一方を守るともう一方の世界は滅びてしまう。
現実か幻かではなく、自分が大切に思う生活を守り抜きたい人々の群像劇でした。

突飛な設定であるも、とてもわかりやすい文章のため、すぐにこの世界に入り込むことができた。
恒川先生の物語は、どこか恐ろしくて優しい、日常の延長線上にあるような、紙一重な非日常。
自分だったら、主人公と同じ選択をしてしまう気がする。
地球では、人間同士のいざこざで被害拡大
地球にとっての異物は、人間なのだなと改めて感じる。きっと、どんな人が取り込まれても、この結果になるのではないか。
みんな同じ様に、何かしらのストレスを持ち、お金と言う概念に縛られて生きている。でも、プーニーの中の世界は、お金に価値はなく、欲しいものはなんでもある、そして優しくて穏やかな人と自然に囲まれて生きていられる。毎日の変わらないささやかな幸せ。
1番欲しいものを手に入れるには、他の多くの人の犠牲に目を瞑らないといけないけれど、それに抗うことができるのだろうか。
残酷なのに目の離せない世界のお話で、夢中で読んでしまいました。

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2026年02月19日

Posted by ブクログ

ネタバレ

どう感想を抱いているのか言語化するのが難しい。

地球を覆うクラゲのような「未知なるもの」
地球はプーニーという軟体有機物により滅びつつある。

地球で生き抜こうとする地球側と、
「未知なるもの」にて自分の理想郷に住む鈴木誠一。
「未知なるもの」を倒す条件は、鈴木誠一が絶望すること。

そのために妻子や友人を皆殺しにした地球と、
明らさまに地球を見下す誠一と
善悪の区別が曖昧で、自分だったらと考えさせる作品だった。

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2026年02月02日

Posted by ブクログ

ネタバレ

登場人物一人一人に魅力があり、とても引き込まれる文章だった。一気読みした。
特に、鈴上がプーニの核の部分に作り出された幻想世界おおまつり群で、そこの住人たちと仲良くなり、どんどん生活に溶け込んでいく様子が面白かった。また、人間対プーニ戦では、地球側の人間からみた幻想世界での様子(魔物たちが襲ってくる、核を壊さないと地球がダメになる、人がたくさん死んでいる)と、おおまつり群側の人々にとっての様子(街の住人が少しずつ行方不明、魔物(突入者)が強くなってきた)などの対比があり、どちらにも感情移入してしまう。鈴上の自分のおおまつり群(幻想世界)を守りたいという気持ちも分からなくもないが、その幻想のせいで、地球ではたくさんの人が死んでいるしなあ、、って感じ。てかそもそも、プーニってなんだったん。

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2025年01月28日

Posted by ブクログ

ネタバレ

面白すぎて一気読みしたけれど、この消化しきれない想いをなんと感想に書くべきかと思っていた。
最後の一節に全てが詰まっているように感じた。
『誰もが当たり前の美を生きている。私たちはまだ若く、あらゆる希望に満ちていて、何もかもを信じて疑わない。』

この世で生きる以上、みんなが損を被らずに幸せにいられる100点の解は存在しない。
その場における損害が最小になる解が存在したとして、その損害をすべて自分や自分の大切な人が引き受けるとして、私たちはそれを許容できるほど合理的じゃないし、大人じゃない。

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2025年01月26日

Posted by ブクログ

ネタバレ

鈴上誠一は自分の事しか考えておらず嫌いだったが、もしあのような現実ともいえる生活、妻子との幸せな日々を送っていたら、自分は核を破壊する行動に出れただろうか。
たぶんそれはNoで、8年もそのような生活を送っていたらどちらが現実かと言われたら現在の妻子のいる生活が現実の世界にしか見えない。
情も妻子の方に湧くし、地球の事は考えはするが行動には移せず誠一と同じことをしそうだ。

自分がどう生きるかが大切だな。

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2024年09月01日

Posted by ブクログ

ネタバレ

気付けば異世界に迷い込んだと思いきや、
実は謎の生物に囚われ幸せな世界を夢見せられていただけだった。
しかし、そんな中地球にはプーニーと呼ばれる謎の生命体が蔓延り、耐性がない人は近くにいるだけで死んでしまうし、世界もどんどんプーニーに飲み込まれていった。
幸せな世界で生き続けたい人間と、プーニーによる地獄を味わっている人間とが争うという
どちらが正解とも不正解とも分からない物語だった。

少し後味は悪いが、
正義と悪は視点によって変わってしまうということがよく分かるし、どちらにも感情移入してしまった。

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2023年09月14日

Posted by ブクログ

ネタバレ

この人にダークな世界を描かせたら、
秀逸だということをすっかり忘れていた。

最初は安心して安穏とした気分で読んでいたのだが、段々と暗雲が立ち込めてきて…そして、どんどん暗さに拍車がかかってゆく。
なんて救いがなく絶望的なのだろう。
この絶望感の破壊力は半端ない。
恐怖感や衝撃を淡々と描くことで、冷徹さが増している。

鈴上は、ただ幸せになりたかっただけだと思うのに。
彼に希望ある気持ちがあると、現実世界が災厄に見舞われるという、最悪な世界観。

気持ちがすっかり憂うつになりました。
胸を太い釘で打ち付けられたかのような、鈍い痛み。
悪夢を見そうで今夜は怖い。

やはり恒川光太郎氏は凄い…!

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2024年01月20日

Posted by ブクログ

ネタバレ

初の恒川光太郎。SFって感じで、あまり得意ではないが、よくこんなこと思い付くなという驚きのストーリー。鈴上の身勝手さにイライラした。解説のオメラスから歩み去る人々が気になった。

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2025年04月20日

Posted by ブクログ

ネタバレ

色々な人の視点で進んでいき、それぞれの思う正しさに共感でき、「正しい」とは何なのだろうと考えさせられる。終わりが悲しい。

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2023年10月12日

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