あらすじ
ある日、上空に現れた異次元の存在、<未知なるもの>。
それに呼応して、白く有害な不定形生物<プーニー>が出現、無尽蔵に増殖して地球を呑み込もうとする。
少女、相川聖子は、着実に滅亡へと近づく世界を見つめながら、特異体質を活かして人命救助を続けていた。
だが、最大規模の危機に直面し、人々を救うため、最後の賭けに出ることを決意する。
世界の終わりを巡り、いくつもの思いが交錯する。壮大で美しい幻想群像劇。
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Posted by ブクログ
助けて欲しいくらい読み終わったあとの謎の喪失感に襲われている。私も誠一のいたユートピアに存在していたかったのかも。なんかすごい作品を読んでしまった感がする。
Posted by ブクログ
登場人物一人一人に魅力があり、とても引き込まれる文章だった。一気読みした。
特に、鈴上がプーニの核の部分に作り出された幻想世界おおまつり群で、そこの住人たちと仲良くなり、どんどん生活に溶け込んでいく様子が面白かった。また、人間対プーニ戦では、地球側の人間からみた幻想世界での様子(魔物たちが襲ってくる、核を壊さないと地球がダメになる、人がたくさん死んでいる)と、おおまつり群側の人々にとっての様子(街の住人が少しずつ行方不明、魔物(突入者)が強くなってきた)などの対比があり、どちらにも感情移入してしまう。鈴上の自分のおおまつり群(幻想世界)を守りたいという気持ちも分からなくもないが、その幻想のせいで、地球ではたくさんの人が死んでいるしなあ、、って感じ。てかそもそも、プーニってなんだったん。
Posted by ブクログ
面白すぎて一気読みしたけれど、この消化しきれない想いをなんと感想に書くべきかと思っていた。
最後の一節に全てが詰まっているように感じた。
『誰もが当たり前の美を生きている。私たちはまだ若く、あらゆる希望に満ちていて、何もかもを信じて疑わない。』
この世で生きる以上、みんなが損を被らずに幸せにいられる100点の解は存在しない。
その場における損害が最小になる解が存在したとして、その損害をすべて自分や自分の大切な人が引き受けるとして、私たちはそれを許容できるほど合理的じゃないし、大人じゃない。
Posted by ブクログ
鈴上誠一は自分の事しか考えておらず嫌いだったが、もしあのような現実ともいえる生活、妻子との幸せな日々を送っていたら、自分は核を破壊する行動に出れただろうか。
たぶんそれはNoで、8年もそのような生活を送っていたらどちらが現実かと言われたら現在の妻子のいる生活が現実の世界にしか見えない。
情も妻子の方に湧くし、地球の事は考えはするが行動には移せず誠一と同じことをしそうだ。
自分がどう生きるかが大切だな。
Posted by ブクログ
気付けば異世界に迷い込んだと思いきや、
実は謎の生物に囚われ幸せな世界を夢見せられていただけだった。
しかし、そんな中地球にはプーニーと呼ばれる謎の生命体が蔓延り、耐性がない人は近くにいるだけで死んでしまうし、世界もどんどんプーニーに飲み込まれていった。
幸せな世界で生き続けたい人間と、プーニーによる地獄を味わっている人間とが争うという
どちらが正解とも不正解とも分からない物語だった。
少し後味は悪いが、
正義と悪は視点によって変わってしまうということがよく分かるし、どちらにも感情移入してしまった。
Posted by ブクログ
この人にダークな世界を描かせたら、
秀逸だということをすっかり忘れていた。
最初は安心して安穏とした気分で読んでいたのだが、段々と暗雲が立ち込めてきて…そして、どんどん暗さに拍車がかかってゆく。
なんて救いがなく絶望的なのだろう。
この絶望感の破壊力は半端ない。
恐怖感や衝撃を淡々と描くことで、冷徹さが増している。
鈴上は、ただ幸せになりたかっただけだと思うのに。
彼に希望ある気持ちがあると、現実世界が災厄に見舞われるという、最悪な世界観。
気持ちがすっかり憂うつになりました。
胸を太い釘で打ち付けられたかのような、鈍い痛み。
悪夢を見そうで今夜は怖い。
やはり恒川光太郎氏は凄い…!
Posted by ブクログ
初の恒川光太郎。SFって感じで、あまり得意ではないが、よくこんなこと思い付くなという驚きのストーリー。鈴上の身勝手さにイライラした。解説のオメラスから歩み去る人々が気になった。