あらすじ
高収入でスマートな男性と結婚し、都心の高級マンションで人から羨まれる暮しを送る佐々木蒼子。しかし夫には愛人、自身にも若い恋人がいて夫婦の関係は冷めていた。恋人と旅行の帰途。偶然、一人で立ち寄ることになった博多の街中で昔の恋人・河見を見かける。彼に寄り添っていたのは、なんと自分そっくりのもう一人の「蒼子」だった。「ドッペルゲンガー?」名前も顔も同じなのに、全く違う人生を送る2人の蒼子。互いに言いようのない好奇心と羨みを抱いた2人は、1か月だけ期間限定で入れ替わり生活してみることにする。しかし、事態は思わぬ展開となって……! 「私より、あっちの蒼子の方が幸せなのかもしれない」読みだしたら止まらない、中毒性ありの山本ワールドが新装版で登場。
...続きを読む感情タグBEST3
このページにはネタバレを含むレビューが表示されています
Posted by ブクログ
ホラーって、別に心霊現象とかスプラッター映画だけでは無いよな、と思う。
今生きている現実を生き抜くことの方が、先が見えない不安のほうが、よほど恐怖に感じる事もあるだろうし。。
自分が二人いて、残りの一人に嫌なことをやらせようとしてもやりたがらずに喧嘩になる、という少年漫画もあるけれど、本作でも、個々の人間として生きればそうだよなぁ。
。と
(藤崎竜氏の短編で影が入れ替わる読み切り作品はむしろ異彩を放っているというか。。)
読み始めた最初はないものねだりというか、隣の芝生は青く見える、そういった結末になるかと思ったが
そんな簡単な話では無かった。。
解説柚木麻子氏の文章が興味深い。
一見わかりやすいようにドラマ化して結末を変えられるの、そういえば当時はよくあった。。(最近はSNSで個人の声が大きくなり炎上するようになったけれど)
『ミステリというなかれ』でも男性社会の同調圧力に女性がいることの意義を伝えるシーンがあったけれど
女性の敵は女性、というがわざと結託させないように構造化されているという見解。
『最初は…可愛いなどと思っていた。ところが今では、それが一番癇に障る。恋の終わりとはそういうものだ…』
優しい→束縛が強い、よく話を聞いてくれる→何も話さずつまらない、という別れ方をする人がいたなぁ。。
『恋は旅に似ている。非日常の楽しい毎日。けれど、それはいつか必ず終わる。そしてまた日常が始まるのだ。退屈な日常があるからこそ、刺激的は非日常がある。』
『努力して愛する、それは演技ではないか。うまい演技をすれば、素晴らしい人生の舞台が出来上がるとでもいうのだろうか。』
主人公に同性の友人がいないのがこの一文に表れている気がする。円滑に、波風立てないように、女性同士のコミュニケーションというのは 下手するとわざとらしいくらいでちょうどよい時もある。。
Posted by ブクログ
自分とそっくりなもう一人の蒼子。過去の選択しなかった方を入れ替わって演じてみる。あのとき選んだ夫は間違いだったのか?もう一人の彼と結婚していたら…経験したいようなしたくないような。多分誰しも戻りたい地点はあるよね…どちらの人生も経験して正しい方を選べるなら、相手もそれをする可能性はあって、うまくマッチングしないこともあるのか?
やり直したい選択もたくさんあるけど、選んできた人生を正解にできるようにしたい。
Posted by ブクログ
続きが気になり一気に読んでしまった。だけど、読んでいてイライラ感もあったなと。。
父に再会したシーンで、自分の人生を生きるのを諦めている感じがなんで??と思った。
自分の人生なんだから、前向きじゃないなら結婚しなくても良いのに。。と思ったり、生活を交換してから行くなと言われたデパートに行ったり、カードを使って良い=豪遊して良いと思って使いまくる所とかそんなわけないだろ‥。と思ったり。個人的にはミシン工場で働いている蒼子の方は好きじゃないなと思った。なんかイライラしてしまって
もう片方の蒼子が好きって訳でもないけど。。
最後はお互い発見があった、という形で本人たちはプラスに捉えているみたいだけど、殺されそうになった相手に対してよくそう思えるな‥。私なら無理!と思った。