あらすじ
ブラック企業の同期三人組。早朝から深夜まで働き会社に泊まり込む毎日。疲弊しきった三人はある日深夜の居酒屋に行く。一杯のビールで人間らしく笑いあった三人だが、極悪上司の壮絶な追い込みにあい――。
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この広い世界で1人の人が亡くなっても、覚えてくれている人は家族や知人だけではない、人はその人の名前を知らなくとも、その人との出来事は覚えている、そう思わせてくれた一冊。
この小説は、当時では「ブラック企業」という言葉が今までほど浸透していなかった時代を背景とし、3人の新卒入社のサラリーマンが上司から不当に罵詈雑言され、上司の奴隷になっていることから始まる。それはもはや、人間としての扱いを受けておらず、想像するだけで酷なものである。
章が変わるごとにメインとなる人物が変わり、人が人を紡いでいく。
社会という名の中にある、本来の人間の感情、優しさ、そして情を強く感じさせる一冊だった。
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ブラック企業に就職した大友、夏野、村沢の3人、束の間の休息で駆け込んだ居酒屋の店員のしんじさん、夏野が学生の時にやっていた六畳間のピアノマンを応援していた女子高校生、夏野のお父さん、夏野を助けられなかった警官の脇見さんらが、8年を経てまた関わりあう。その中心にビリージョエルのピアノマンがある。関わりあっていることに気づいてなかった人たちと、最後の最後に気づいたしんじさんがかけたピアノマン、、、。この場面が胸に響いた。お父さんが夏野にやさしい人になれと育てたことを悔やむ場面は辛い。
逃げられなかった君へ、という元のタイトルの方が内容を示してたけど、8年を経て今も聞かれている六畳間のピアノマンがタイトルとしてはエモいな。
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話が1人の自殺した男を中心に回っていて、最後はそれぞれが関わりあってて、あってなったし、感動して泣いてしまった。時間を忘れてしまうぐらい面白い作品だった。
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題名を見て、BILLY JOEL?!と思って、読んでみたら本当にBILLY JOELのPIANOMANだった。少し重いけど、うるっとするような話だった。辛いことがあるとまあこういうもんだよなと思い込んでしまうことが多いけど、逃げるという選択も大事なんだなと思った。
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最後にポロリと涙が頬をつたいます。
ピアノマンは周りをとりまく人たちの生き方に大きな影響を与えていて、いまもみんなの心の中で生きているんだなと。
自分自身、かつて毎日のように日付が変わる頃まで働いていた時期があります。
当時は色々な感情をグッと我慢しながら、逃げたら負けだと思い仕事に向き合っていました。
いま、同じような過酷な状況に出くわしたとしても、わたしは逃げるという選択肢を選ぶこともできます。
様々な経験を重ねるにつれ、逃げることが悪いことではないと思えるようになったからです。
大人になる・成長するということは、嫌なことや苦しいことをうまく避ける術を身につけることも含まれるものだと信じています。
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最高でした。今まで読んだ中で、間違いなくベスト5に入る。
短編小説と思ったら違った。全て上手く繋がっている、そして、各章ごとに出てくる主人公に驚く。それまでに登場しているのだが、そう来たか!と興奮してしまう。終わり方は普通なのだが、各章ごとに主人公が違い、色んな角度から見ることが出来る。ストーリー自体もいいが、見せ方が上手いわ。
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「六畳間のピアノマン」がたくさんの人の背中を押す物語。少なからず人間は暗い過去や、見限りたい過ちを抱えていて、それが新しい1歩を踏み出す障害になったり、今の生活を壊してしまうこともあるかもしれない。けれど生きている限り、人生が終わることは無いし、人との繋がりは切っても切れないんだなと。ビリージョエルのピアノマンでリンクする最後のシーンが好きでした。
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ビリージョエルの「ピアノマン」が好きだったので、「ピアノマン」と検索して出会った本。 ブラック企業と、人生で一番美味いビールと、名曲ピアノマンとを軸に、独立した話しが見事に繋がっていく。 思っていたのとは全然違う話しだったけど、とてもよかった。 この本、元々は「逃げられなかった君へ」というタイトルだったので、改題されなければ出会えなかったかもしれない。 やはり、本は、出会いだ。 ここまで酷くはないが、私も長時間労働の真面目なハードワーカーなので、他人事ではなく痛かった。 そう。逃げていい。逃げていいんだ。
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NHKのドラマ「六畳間のピアノマン」を観て原作も読んでみた。ドラマもよかったが原作も感動した。ビリー・ジョエルの「ピアノマン」の曲が頭から離れない。
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"ピアノマン”を軸に、それぞれの物語が繋がっていく過程に意外性もあって面白く一気に読み終えた。穏やかでない辛いお話もあるけど、「逃げる」ことは必ずしも負けではないと最後には希望も感じられるラストになっていて良かった。安藤先生の書くお仕事小説ら自分の仕事に誇りを持とうと思わせてくれるものが多くて好き。
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「本のエンドロール」がとても面白かったので同じ作者の作品を手に取った。「本のエンドロール」が斜陽の産業の中で戦っていく話の一方、こちらは陥ってしまった窮地から、どう逃げ出すかという話。辛いシチュエーションだけれども、読後感は悪くない。
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ブラック企業がどう人を追いやるのか、現実を織り交ぜながら登場人物が陰で繋がっている短編集に引き込まれました。
洗脳されると洗脳されていることに気づかない、弱者や馴染めない人は自分が悪いから駄目なんだと思い込む。その社会の構図はきっと人が存在する限り終わらないと思います。
でも、そんな中にも助けようとする人がいて、誰かの力になろう、這いあがろうとする人がいる。
ピアノマンが届けていた曲は確かに人を救っていて、救われた人がまた誰かを助けたいと頑張る。
それが当たり前の世の中になればいいなと思いました。
個人的に、ラストで二番目に美味いビール、と言われて泣いた男性店員のシーンがぐっときました。
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ブラック企業に所属していた3人から始まるお話。
私も最初に勤めていた会社がブラック企業であったが、外の世界を見ることで正常に戻れるのであって、洗脳されている状態を外側から解くのは結構難しいことだなという体感がある。
なので、一番最後の章に出てくる洗脳されている社員の気持ちもよく分かるなぁと思った。
企業に限らず、あるコミュニティでの行き過ぎた信仰というのは本当に怖いものがあるので、色んな価値観を持った人と普段から接することが大事だと思うお話しであった。
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ある日の出来事に関わった6人がその8年後、微妙に関係しながら、それぞれの価値観や過去に対する受け止めを背景に進められる話し。この本を通じ自分自身も生き方や人との関わりについて考えさせられました。
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ブラック企業さがリアルでキツくて
ブラックさを少しでも仕事で感じたことがある人はなかなか重たく感じてしまうかも。
だけどなぜか背中を押して貰えるような不思議な感覚。
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自分にとっては胸に刺さる内容だった。
前職は月に400時間〜500時間働くことも多く、上司の発言も過激で自分も洗脳されていたんだと思う。
作品で読むとなんでこんな仕事続けてんだと思えるし、こんな奴本当に現実にいるのか?と思うけど、実際には今でも沢山いるし、客観的に見れない人も沢山いると思う。
そんな過酷な環境で働いてる人にこそ読んで欲しい気持ちがあるけど、本を読む気力も時間も無いんだろうな〜。
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ブラック企業に勤める3人の会社員が人の心を持っていると思えないパワハラ上司に人権を無視した罵詈雑言を浴びさせられ、ボロ雑巾のように過酷な日々を送った結果、3人のうちの1人に不幸なことが起きる章から始まる短編集。短編集とは言えども、登場人物がそれぞれ1冊を通じてつながっていたから苦手なthe短編集ではなかったのが良かった。
印象に残ってるのは上河内とニドウのシーン。あまりにも非人道的な言動が過ぎてて読んでるこっちも怒りが沸々と湧いてきた。
8年経った村沢が同じ過ちを繰り返さないために、ナガツくんを必死に救おうとしてるところに心を打たれた。
悪いと思うことに対して目を背けずに立ち向かっていこう。
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過去の過ちを悔やむこと。
色んなことを考えて落ち込んだり、悲しくなるけど、大切なのはこれから。
前向きに生きないとなぁ〜って思いました!
この本を読めて良かった。
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上河内というブラック企業の体系のような人間の下で働く太下と夏野と村沢の3人の社畜の、4人で始まる物語で構成される短編小説。
この小説で伝えたかったのは、何気ない行動や言動が誰かの核に訴えかけることもあるのだよ、ということだと感じました。
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ブラック企業に就職した3人をめぐる物語。
どんなに理不尽な業務体系や言葉を言われても、何年かは耐えて働かないと他でもやっていけないという、強迫観念が存在する。いまの自分もここまでひどい職場ではないが、同じ気持ちで働いてる節があり、少なくともサビ残までして会社に尽くす必要は全くないと改めて思った。
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タイトルと裏面のあらすじが、どう繋がるのかピンと来なかったのですが、それが序盤で明らかになりました。
気配りがあって、一番しなやかなに生きていると思えた者の死。非常に衝撃的でした。
「明るく陽気に前向きに」を地で行くような居酒屋店員が出てきますが、どう頑張ってもそれができる状況にない人もいるとわかりました。
逃げることも時には大切。そういうこともある。決して人生の落伍者ではないのだと思いました。
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結構過激的なストーリーだけど、
こことここが繋がってるんだ!と
考えながら読むのが楽しく、ついつい止まらない。
同じ営業マンとして、と思って購入したが
その度を超すブラックさで当初の趣旨とは異なったが、
最後が最高。あまり得意でないスーパードライをキンキンに冷やして飲みたくなる一冊。
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連作短編6篇
ブラック企業のパワハラで心優しき6畳間のピアノマン夏野は首吊り自殺する。その死によって周りの人々の人生が変わっていく。パワハラを録音してリベンジした同僚、YouTubeでファンだったピアノガール、遅れた警官などがそれぞれの章で人生を見つめ直し力強く生きていく。出だしは哀しいけれどとても良かった。
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読んだことある内容なはずなんだけど、自分のレビューを検索しても該当作は出てこない、、、
なんでだろうと思ったら、最後のページで謎が解けました。
「逃げ出せなかった君へ」というタイトルから改題して加筆修正されていたんですね。
軸となる内容は変わっていないと思うのですが、改題前のものよりこちらの方が星の評価が高くなってて面白い。
どこが変わったかは分からないけど、タイトルにもなったピアノマンの内容が増えているのかな?
それぞれの人の関わりは、出来すぎな気もするけど、読んでいてスッキリするし、意外にそういう偶然のようなものが人生には起こったりするんだよなぁと、自分の経験からも思います。
ひとつ言えることは、ブラック企業、人を人とも思っていない企業は滅びろ!!です。
Posted by ブクログ
半年ほど前に読んだ「本のエンドロール」の作者さん。フォローしている方のレビューを見て手にしてみた。
ブラック企業に採用された同期3人が束の間会社を抜け出し深夜の居酒屋で飲んだ数杯のビールの記憶とビリー・ジョエルの「ピアノ・マン」がつなげる6つのお話。
全体的にとても巧く構成されていて、自殺した夏野の父が息子の友人たちを迎え息子を偲び自分たちの生き方が間違っていなかったことを確認する第3章や自殺の現場に臨場していた警察官が望む刑事の仕事につけなくても亡き父の背中を追って与えられた交通警察官の仕事に勤しむ第4章はまずまず感じるところがあった。
なのだが、それらを挟むブラック企業や地下アイドルの描写が酷くて、佳い話が霞む残念な印象。
第1章は、読み進めば本全体の大きな伏線みたいな話ではあったが、これだけを取り上げれば何のひねりもないくそみたいな話で、ここで読むのを止めようかと思ったくらい。第5章の自殺現場にいた女子高生の話もあまり感心しなかった。
それでも、全体が収束するラストの乾杯のシーンには泣けたけどな。
Posted by ブクログ
優しさは弱さの裏返しか?
ビジネスの世界で「他人を蹴落としでも」という気概のない人間は評価がされにくい。
0か100かが全てじゃないことを伝えてくれるだけでも救われる人がいる。