【感想・ネタバレ】根津権現裏のレビュー

あらすじ

明治の末期に、病さえ治せぬ貧困の中に暮らす訪問記者の私。友人の急死によって浮かび上がる社会への怨嗟とは…。初刊から100年、不朽の名作私小説が堂々復刊! 歿後弟子・西村賢太の校訂による決定版。

...続きを読む
\ レビュー投稿でポイントプレゼント / ※購入済みの作品が対象となります
レビューを書く

感情タグBEST3

このページにはネタバレを含むレビューが表示されています

Posted by ブクログ

ネタバレ

  「ああ、何時までこうした生活を続けねばならないのか。」 

 これは、主人公が知人宅に着物を借りに行くも叶わず、帰りしな閉店間際の鮨屋に少し詰めてもらい食べながら吐露した言葉だ。とても他人事とは思えず身に沁みた。
 貧苦に加えて病苦にも囚われ抜け出せない主人公の不平不満、カネの渇望、富める者や健やかな者への羨望と嫉妬、貧乏や愚鈍への嫌悪と怨嗟、そして友人の自殺。陰鬱な繰り言・恨み言や出来事が落語か講談のような明るさと軽やかさのある文体で綴られている。持病に苦しみ、その日の食事どころか嗜好品の煙草1本すら儘ならぬ主人公の生活苦の生々しさに慄き、また本気で脱却改善を望んでいるのか判らぬ彼の中途半端な言動にかなり苛々とさせられもしたが、読み応えある一冊だった。

0
2024年03月22日

Posted by ブクログ

ネタバレ

初清造。これは一体誰が主人公なんだ?最初は"私"かと思っていたが、途中から雲行きが怪しくなってきたぞと。そしてある人物がまるで自分を見ているようで、辛いと同時に嫌気(恐らくというか、間違いなく同族嫌悪だと思われる)が差す…。"私"もそして《自殺》した岡田も、どちらも本当にどうしようもない男で、西村氏が著者を心酔してしまう気持ちが痛いほどよくわかる。
出だしはあまり面白くなかったものの、ある事件が起きてからは面白く読めた。どうしようもない人間の「弱さ」を描ききった私小説。星三つ半。

貧困は人間を殺す。それは昔も今も変わらない…。

0
2026年06月23日

「小説」ランキング