あらすじ
尼子拓真は新築一軒家を購入し幸せの絶頂だった。だが家の中でお香の匂いや女の笑い声がし出すように。なぜかそれは拓真にしか感じられず、霊能者にも異常ないと言われてしまう。この家に隠された秘密とは。
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Posted by ブクログ
ジワジワ迫る恐怖と、霊との壮絶なバトルがいい塩梅だ。主人公は、新築の家を買ったばかりの尼子拓真。入居してしばらく経つと、甘い匂いや女の笑い声、派手な着物姿などの霊現象に悩まされようになる。しかし見たり聞いたりするのは拓真と4歳の息子だけ。妻と高校生の娘には不審がられてしまう。接待で訪れたガールズバーの店員のミヤ(実は男)、ミヤの恋人で霊能者の波瀬アキラに助けられ、拓真は「おどろし」と呼ばれる霊に立ち向かう。
まず、冒頭で大ピンチに陥っているクズ男が、まさか主人公なのか?というミスリードもあって、もしやバッドエンドなのでは??と警戒しながら読み進んだ。普通に善良な人だよな〜と思いつつ、冒頭の男は、拓真の上司であり、パパ活を始めた娘の祐希を騙して襲おうとした変態だとわかり、一安心。でも、その祐希も呪われるはめになり、妻の茉佑も巻き込まれて大怪我を負ってしまう。この辺は、家の中で逃げ場を塞がれて追い詰められていく様子が怖かった。2人は死んでしまうのではと思ったぐらいで、間一髪、拓真とミヤとアキラに助けられるが、結果的に茉佑以外全員、ミヤの故郷にあるおどろしの棲む森に連れ込まれ、最後のバトルになだれ込んでいく。
ジャンルはまごう事なきホラーだけど。おどろしを生み出した、江戸時代の遊郭での悲劇、父と娘のすれ違い、高校生のスクールカースト、パパ活、児童虐待、と、いろいろとてんこ盛り。それでも、それぞれの話がストーリーに密接に関わって来るので、読みづらくはない。
ラスト、アキラが呼んだ山の神に斃されたおどろしに、ほんの少しの救いがあったのは良かった。
幼少時に、姉たちに無理やり禁足地の森に連れて行かれ、おどろしの呪いを広める役割を負ってしまったミヤは、悪夢を乗り越えて、アキラと歩もうと前を向く。パパ活相手に襲われて傷ついた祐希も、徐々に回復して彼氏ができる。
主人公の拓真はごく普通の、年頃の娘に嫌われて悩む善良なお父さんだったのに、すっごい頑張ったな〜と思う。
メインの登場人物が、誰も不幸にならない、むしろ良い方向に変化している。ホラーとしては甘いのかもしれないけど、散々怖がらせておいて爽やかに終わる、私はこういうの好き。
Posted by ブクログ
尼子家→夫婦、長女、長男
尼子家が家を購入。住み始め、旦那と長男を襲う怪異。
この怪異は、キスにより伝播する。
異変を最初に感じたのは夫。
家族を大切に思う夫…頑張る…
しかし、家族に呆れられる夫…
それでも、諦めずに家族のために…
家族愛、溢れていました。
Posted by ブクログ
ホラーだけど怖くない。面白いには面白い。
禁足地の森がある。村が廃村となり、そこの樹木が建築材として使用されてしまう。
森は江戸時代の岡場所の娼婦が捨てられた場所で、そこで怨霊(呪い)と化した娼婦が森から出るために呪いを拡散していく。
幼少期にその森の入っていった美女の外見を持つミヤという青年が呪われている。キスをすると呪いが感染する。
恋人のアキラも霊能力者。この二人の関係が普通の男女と思ったら、BL的なものだった。アキラが女だという仕掛けがあるのかな?と思ったらそうではなかった。
そうすればいいのに。
ただ、このキャラがよく立っていたと思う。
物語は、禁足地の森から伐採した木材で作った家を買ったサラリーマン一家が呪いに襲われ、ミヤ、アキラが助けるというもの。
サブストーリーとして、父、娘の関係。娘の葛藤、パパ活など、複層的な展開になっている。
このあたりが巧み。
文章がすっと頭に入ってくる読みやすさがある。ただ、この読みやすさが、恐怖を軽くしているような気もするのでなんともいえない。
ホラーと言うより、キャラ小説として面白かった。続編、シリーズ化されるのではなかろうか?
Posted by ブクログ
新築物件で起きる怪奇。家でしか起きないかと思いきや、徐々に出先でも起きるように。夫はこの怪奇を解決しようと霊能力者を頼るが、どうやら妻には見えないようで妻は夫の精神的不調を疑う。夫は無事に呪いを解き家族仲を元に戻すことができるのか……!?
正統派和ホラーなのでホラーとしては怖くはない。けどお互いを想う心とかそういうのが話のキーになっていくので、親愛の物語としてはわりと好み。かっこいいパパが見たい時にオススメの本。
うーん
すらすらと読めてしまう読みやすさ、吸引力はあると思います。でもこの作者さんの前の作品のほうが怖かったかなぁと思います。こちらはそこまで怖くないです。最初こそ、遊女の霊となると怖いのか?と思いましたが、後半は霊との剣を持ってのバトルですね。なのでしっとりじめっとした怖さではないです。