あらすじ
大勢に惜しまれながら、国民的画家・丹生雄武郎が亡くなった。享年九十七。彼は一方で寂れた民宿のあるじでもあったが、その生涯は未だ多くの謎に包まれている――。期待した筋書きを幾度も裏切られる破天荒な構成、そして昭和史の裏面を抉りながら最終的に物語が辿りつくのは……!? 小説界が驚倒した空前絶後、衝撃の大傑作。
...続きを読む感情タグBEST3
このページにはネタバレを含むレビューが表示されています
Posted by ブクログ
「さらば雑司ヶ谷」ではがっかりしけれども、本作は読んで驚いた。同じ作者が書いたものとは思えなかった。構成だけでも驚きだけれども、詐欺の本質を描きつくしたかのような内容は秀逸だと思う。かなりこの人引出が広そうなので、多ジャンル作家になりそうに思う。それにしても、さらば雑司ヶ谷はいったいなんなのだ、と云いたい。
Posted by ブクログ
久々に書店のPOPに惹かれて文庫を購入。
この作家、もちろん初。
日本画壇の大家にして北陸の鄙びた民宿の主人だった男。
生涯表舞台に現れず、謎に包まれた数奇な人生を送る画家の実像を、
あるジャーナリストが追う。高名な画家に隠された秘密とは・・・。
・・・という要約内容で果たして正解なのかどうかも解らない。
最初の章を読んでいる時からなんとなく感じる違和感が、ラストで
より大きなものになる。そして、読中いたるところでこう思う。
「なんじゃこりゃ?本当に小説か?」と。
あからさまに実在する(ないしは、した)人物や団体、メディア等
が多々登場してくる。それも一部は意味深なイニシャルで。文体も
地味な私小説風かと思えばとんでもなく突飛。細やかで美しい言葉
で描写されるのは、徹底した差別と猟奇。読んでいてアタマがクラッ
とする作品は、本当に久々に読んだ気がする。
コレ、ちょっと言葉で説明しきれないかも。
しかし間違い無く映像化出来ない世界だし、万人受けする作品でも
無い。読んでもらうしか方法が・・・。
思わず絶句してしまう程の問題作。コレを読んだ日の夢は、相当な
悪夢だった。覚悟の上、ぜひ!