【感想・ネタバレ】仏教の形成と展開のレビュー

あらすじ

インド仏教について経典などの文献資料を根拠としながら、(1)原始仏教の時代、(2)部派仏教の成立まで、(3)大乗仏教の成立、(4)密教の成立という四区分法にしたがって見ていきます。教団形成からその後の分派・展開まで詳しく解説しています。加えて、13世紀初頭のインドでほとんど姿を消した仏教が、近代になって再受容されていく過程を探ります。また、考古学的遺品、美術品、建築物等の文献外資料については、写真を対応させながら考察しています。

【執筆者】
下田正弘、並川孝儀、池田練太郎、渡辺章悟、種村隆元、島田 明、粟屋利江、井坂理穂、榎本文雄、塚本啓祥、杉本卓洲、津田眞一、マイケル・ウィリス

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Posted by ブクログ

ネタバレ

私達が当たり前だと思って享受していた〈仏教学〉が日本の仏教思想や文化とは全く無関係に生まれたものだった。

この本を読めば〈仏教学〉というものがどんな流れで生まれてきたのか、そしてそれがどのように日本にもたらされ、適用されることになったのかがよくわかります。

日本仏教に対する批判で多いのは「原始仏教と比べればなんと日本仏教は堕落しているのか」というものなのですが、こうした批判がなぜ生まれてきたのかも考えることになります。そして同時にこの批判の問題点についても私達読者は気づくことになるでしょう。

仏教という宗教実践を伴う生活とは無関係に、文献によって研究を進めた西洋の仏教学。人々の生活実践やその地の文化を無視した文献研究の弱点の存在。

この本は改めて〈仏教学〉という学問そのものを俯瞰で見ることができる素晴らしい作品です。

ですがもちろんだからといって〈仏教学〉の価値が損なわれるということはありません。これまでの研究の蓄積があるからこそ最新の学説があるわけですし、緻密な文献研究あってこそ見えてくる世界があります。

大事なことはどちらかに傾きすぎることではなく、私個人としては僧侶として生活実践としての仏教を大切にしつつ、〈仏教学〉の知見もしっかり学ぶということなのだなとつくづく感じています。

これは刺激的な一冊でした。ぜひおすすめしたい参考書です。

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2024年08月22日

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