あらすじ
緊迫のクライマックス!!
中国軍の輸送艦隊に向け
放たれるハープーンミサイル
自衛隊による陸・海・空攻撃が
激しさを増す中、
中国包囲網が動き出す!
中国軍による艦砲射撃によって、新港埠頭から一時後退を余儀なくされたレンジャー第一中隊と10式戦車部隊。湾内に多数の中国輸送艦隊が迫ってきたそのとき、日本の潜水艦『みちしお』の魚雷攻撃によって輸送艦二隻が撃沈する。
一方、石垣航空基地のレーダーは、沖縄本島をめざす多くの中国輸送機をとらえると、増山一蔵基地司令は宮古空港へ緊急避難した戦闘機隊に迎撃を命令する。いよいよ自衛隊による攻撃が本格化する中、ようやく那覇埠頭沖に到着した護衛艦隊は、輸送艦隊にハープーン攻撃を仕掛けるのだった。
シリーズ最終巻、戦場と化した沖縄を日本は中国軍から奪還できるのか?
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Posted by ブクログ
2017年1月上梓。シリーズ3作目で完結編である。このシリーズの背景にあるのは、沖縄の基地負担と沖縄の地政学上のリスク対応のバランスの問題である。このシリーズの発表後に発生したウクライナ問題は、地政学上不安定な地域にある地域が旧宗主国から独立を目指した場合は茨の道を歩まねばならないという厳然とした事実を突きつけた。沖縄においても中国という領土拡大を標榜する大国に隣接し、大国が軍事拡大を遂げて領土野心を隠さなくなった現在においてはウクライナの事案とリスクは同様であり、中国の野心を押し留めるカウンターバランスを持たない限り安寧とはいかない。現在では先島諸島に自衛隊駐屯地も作られて自衛隊の南西シフトが行われているが、一方で沖縄の基地負担軽減の名目で米国海兵隊基地は25年度にグアムを中心に撤退することが決まっている。ここのバランス変化は注意深く見守って行く必要がある。本作においても台湾と比較して沖縄に中国本土から直接手を伸ばすのは東シナ海という天然の要害があり、制海権、制空権共々自衛隊も簡単には渡さないと信ずるに足る状況である一方、台湾の動向如何においては難しい状況に陥ることは火を見るより明らかである。本書のネタバレになるので詳しくは書かないが、独立宣言に乗じて他国が乗り込む構図は傀儡政権の誕生を容易に彷彿させられ住民感情からしても難しいのではと思いながら読んだ。